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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

??の魔性

作者: 高月水都

当初は何故かカンデラの魔女と言うタイトルが脳内で浮かんだけど。自分の脳内でどうしてそんな言葉が浮かんだか不明

「ここから出してくれないかい?」

 その言葉に子供達は泣きそうな顔で、

「ごめんね。おかあさん。あたしたちじゃあけれないの」

「おねえちゃんがだめだって」


 外から鍵が掛けられているそこにいる女性を子ども達は慕っている。

 とても大好きで大好きな存在だけど。お姉ちゃんのいう事も大事。

 だから開けれないと泣きそうになりながら告げる。


「じゃあ、お姉ちゃんにナイショにしてあげるから出して」

 扉にはおぞましいほどのお札が張り付けてあった――。





 ………むかし話をしましょう。

 私はかつて、貧しい村の子供として生まれました。

 流行り病で親が亡くなり、誰も私の面倒を見る事が出来ないという理由で、人買いに売られました。

 ………よくある話ですね。


 でも、そのよくある話は、よくある話ではなくなるのはここからです。

 私を含めた人買いに買われた子供はモノのように馬車にぎゅうぎゅうに入れられました。まあ、それで死んだら元の子もないのでそれでもマシだったようです。

 ああ。話が逸れましたね。


 私達が乗った馬車が何者かに襲われて急に止まりました。

 盗賊です。

 

 護衛の人達は居たようですが、歯が立たず、命あっての物種とばかりに私達は捨て置き、人買い達は逃げていきました。

 私達? ああ、逃げれないように外から鍵を掛けられていましたから。


 死を覚悟したくなかったけど覚悟せざる得ませんでした。

 ああ。おわるんだと。でも、


「終わらなかったです」

 今でも生きています……。


 盗賊達……ああ。ここから家族と呼んでいいでしょうか。私達は家族の一員として育てられたので。まあ、その家族に連れられて、親分……お父さんと呼べと言われました。お父さんの元に連れてこられました。

 お父さん達の目的は最初から人買いに連れられていた子供だったのです。


 子どもを自分達の仲間として育てる事。そして、”お母さん”の願いを叶えるため――。


 お父さんはお母さんが大好きで、お母さんが子供の世話をしたいと願ったのでアジトには子供が常にいる状態でした。


 ”お母さん”は綺麗な人でした。物語に出てくる天女様はこんな感じだろうかと思わせる雰囲気で、お父さんはその天女のような”お母さん”を自分だけのものにしたいと常に思っていて、その手段が私達子どもでした。


 人買いに連れられていたと聞かされると”お母さん”は目に涙を溜めて『もう大丈夫よ』と抱き寄せてくれました。

 その温もりと香り。優しい眼差しに私達は一瞬で”お母さん”が大好きになりました。


 そう。”お母さん”の為ならんでもしてあげたいと思うほど――。


 だけど、”お母さん”に関して、決まり事がありました。

 ”お母さん”は普段。小屋に閉じ込められているのです。扉は外から鍵が掛けられていて、お姉ちゃんがその鍵を掛けていて決して出してはいけないと。

 出る時は当然お姉ちゃんが居る時で、”お母さん”の身体に何かを付けてから出れるようにしていました。


 今ならそれも当然だと思ったんですけど、幼い頃はその意味を知らなかったからお姉ちゃんが悪人に思えましたよ。


 ああ。お姉ちゃんですか?

 私達と同じ人買いに売られるところを助けてもらった一人で、見る目がある人が近くに居ればどこぞの尼寺か神社で徳を積んで行けるような感じの……霊力がある人でした。


 凄い博識で、たくさんの子供を養っても生活できたのはそのお姉ちゃんの知識のおかげでした。お姉ちゃんの知識によって食べ物も薬草もたくさん手に入り、冬の蓄えも用意できるし、片手間に紐などの生活必需品を作れて、商品として売れそうなものもたくさん作ってそれをお金に変えていました。


 だからこそ、お姉ちゃんが”お母さん”閉じ込めるのを納得いかなかったのですが、それに表立って文句を言わなかったんです。


「お母さんとそのお姉ちゃんの仲はどんな感じだったんですか?」

「それが……悪くはないんですよ。いいとも言えなくて……お姉ちゃんもお母さんに育てられたクチだったので、ただ、お姉ちゃんは『今はいいけど、近いうちに貴女が本性を現してしまうから駄目です』と言って枷を付けていました」

「本性……?」

「………………それは後でお話しします(身体を震わせて、怯えている)」

 

 まあ、そんなこんなで”お母さん”に愛されて、お姉ちゃんの知識で正直村での生活よりも幸せな日々を過ごしていました。


 で、お父さんが気が付いたら代替わりしました。若いと思っていました。それでも突然亡くなって、次に強い人が新しいお父さんになって家族をまとめていきました。

 その時お姉ちゃんが複雑な顔で”お母さん”を見ていたのが印象に残っていましたけど。


 お父さんは入れ替わりが激しくて、ころころ変わっていきました。で、私達が大人になる辺りで今までお兄ちゃんだった人が新しいお父さんになったです。

 橙のお父さんはお父さんになったら”お母さん”もそのまま自分の手元に置きます。………お母さんはずっと同じでした。お父さんは何度も代わるのに”お母さん”は変わらず、姿も変わらない……。

 いつまでも若い見た目……。


 その変わらなさに流石に女性陣は怯えました。そして、お姉ちゃんがあそこまでやった意味も悟ってきましたけど。男性陣は気にしません。全員”お母さん”に心を奪われていて、そんな事は些細な事だったので。

 ……あっ、いえ。全員ではありませんでした。

 新しいお父さん……お兄ちゃんは”お母さん”をそういう対象に見ていませんでしたから。





「お母さん。嫁を貰う事にした」

「あら…? お嫁さん?」

「そう。――いつまでも盗賊として生活できない。ここの領主さまは戦で手柄を立てたら俺ら全員を部下として取り立ててくれるとおっしゃった。だから、戦に出て手柄を立てたんだ」

「それでどうして嫁になるの?」

「それが……俺達の活躍を目に留めてくれた領主が姫を褒賞としてくださると……」

「…………」





「降嫁。ですか」

「はい。お兄ちゃんはお姉ちゃんがいろんな事を教えたのもあって、お姉ちゃんと同じくらい博識で、顔立ちは端正だったんです。身近過ぎて分からなかったというか”お母さん”が綺麗すぎて後は霞んでいたというのが正しいんでしょうね」

 ただの褒賞として大事な姫君を渡すわけない。それはお兄ちゃんを手放したくないという領主の想いがあったのでしょう。


 領主に認められたという事で家族全員で祝いましたよ――いえ、一人を除いて。


 それからしばらくして、姫君が降下してきました。

 綺麗な人は”お母さん”以外見た事なかった私達ですが、その姫君は”お母さん”と別の意味で綺麗な人でした。


 ……みんなその姫君に夢中になりました。姫君も私達に馴染もうと一生懸命だったから余計。


 でも、その姫君を見て男性陣が不穏な空気を持つようになってきました。


 今までお父さんは”お母さん”を自分のものに出来ていた。それが決まり事でした。じゃあ、”お母さんは”?

 ”お母さん”を欲する者達が暴れ、次の実力者が手に入れれると争いだしました。


 そして早々に敗れた者はその憂さ晴らしのために女性陣に手を出していきました。一人、また一人。

 女性陣も盗賊です。中には抵抗して難を逃れた者もいましたが、そうじゃない者も多くいて、手籠めにされて、取り返しのつかない状態になった者も居ました。

 無理やり孕まされて、産むのを嫌がった女性の手によって子供は生まれる前に処理されました。


 近くの川が、嬰児の死体で埋まるほど――。


 その犠牲者の中にはお姉ちゃんも居ました。知恵のある者がお姉ちゃんを襲って、そのお姉ちゃんが持っている鍵を手に入れれば別に勝たなくても”お母さん”が手に入ると考えたのです。


 ――それが災厄だと知らずに。


 欲に目がくらんだ者達はお姉ちゃん押していた枷の意味が分かっていない。その枷の無い状態で”お母さん”を解放したら――。


 ………人買いから助け出された子供。

 お姉ちゃんのおかげで食べる者が困らず無事に成長していたけど、全員ではなかった。

 亡くなった子供はどこに埋葬されたのだろうか?


 お父さんの代替わりが激しい。若くて強いから選ばれたのに亡くなる時はまるでミイラのように痩せぼそっていくのは何故だろう。


 川に沈んでいる嬰児の死体。

 その死体が時折減っているのは――。


 ずっと若い”お母さん”は――。


「人外。だとは思っていました……」

「…………」

「人じゃないと……」

「…………」

「だけど……」

 

 枷の無い状態で解放された”お母さん”は血の臭いに興奮して一人また一人と食らっていきました。


 ”お母さん”を奪おうとした男は当然。子供も大人も。目に入る者はすべて……。


「――じゃあ、なんで貴女は……」

「………私はお姉ちゃんからお守りの作り方を教わっていました」

 お姉ちゃんは自分の能力の低下を感じて後継者を探していたのです。


 後で知らされたのですが、”お母さん”は人間にある程度依存して、人の傍で成長する。そして、程よく育った時にその育てた人間を食らい、子をなす魔性……。


 そう。育ててくれた代わりに成長するまで富と栄誉を与え、子どもを育て、幸せな気持ちにさせて依存させる。

 ――それゆえ、座敷童と勘違いさせるのだ。


「……枷があれば、ある程度封じられたのです」

 本当はその”お母さん”から離れた方がいいとお姉ちゃんは知っていたけど、人は”化け物”のおかげで手に入ったとはいえ、贅沢からは逃げれない。


 誰もお姉ちゃんの意見に賛同せずに、お姉ちゃんが封じていれば大丈夫だろうと判断したのだ。


「……その姫君を貰った青年は?」

「………お兄ちゃんは」

 それきり黙ってしまった。





「…………どう思う?」

「蟲毒に近いかもしれないな……」

「この女の所に居た魔物は恐らくどこかで子を産んでいるだろうな」

「………処理できるか?」

「見付けれたらな」

 女性からすべてを聞いた者達は困ったように話し合う。


「まあ、ともかく。――討伐する。それが」

 神の役割だからな。




――貴方に富と名誉を与えましょう。だから、”私”を飼って

殴り書きなので意味不明かも……

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― 新着の感想 ―
多夫一婦、ではないのか。 一夫一婦で夫が短期間で死に別れるという保険金殺人にありそうな状況。 こんなんで座敷わらしとは勘違いはしないような気がするが…………。 こういう代償ありきの幸運って、大抵精気を…
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