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第6話 村へ降りる(前半)

長いので二話に分けます

 今日は父さんと村に行く日だ。

 アリシア姉さんに聞いたことだが領主の子供は5歳になったら領地を見て回らないと行けないらしい。お披露目会的なやつって言ってた。


「いい?お父さんに色目使う子がいたら遠慮なく魔法をぶっぱなすのよ!」


「えぇ…」


 今のは母さんだ。前に色目使った子がいたのかな…。


「おーい!アベル!そろそろ行くぞ!」


「はーい!」


 父さんに呼ばれて家族に挨拶してから向かう。


「いってきます!」


「はぁい。いってらっしゃい」


「「いってらっしゃい。」」


「ふん!気をつけて帰ってきなさいよ!」


 アリシア姉さんが最近ツンデレ化してきてるのが辛い…。



 ------------------------------------------------------------

 村へは家からの1本道で行ける。

 家から出てしばらく行くと黄金色に輝く畑が…黄金色。


「黄金色ぉ!?米ぇ!」


「アベル。あれはライ麦だ。」


「ライ麦めぇ…ぬか喜びさせやがってぇ」


 うぐぐ…。米が食いたくなってきた…。味付けの濃い肉を食べて米をかきこみたい…。


 ぎゅるるるる。


「ぶはっ。」


「今笑ったよね。」


「笑ってないよ。んぐっ。」


 肩が震えてるぞ。


「村についたら食堂で何か食べよっか。」


「本当?!やったー!」


 食堂!どんな料理があるんだろう?楽しみだなぁ!


 あれ?誰かが近づいてくる。


「クラウスさん!前に教えてもらった方法で作物が動物に荒らされずに済んだんだよ!」


 筋肉質なマッチョのおじさんが父さんに声をかける。


「良かった良かった!」


「良ければこれ持っていってよ!」


「いいのか?」


「あぁ!」


「じゃあありがたくいただくよ。」


 父さんがマッチョのおじさんから中身がパンパンに詰まった麻の袋を受け取る。


「ところで…そちらの坊ちゃんは?」


 その顔で坊ちゃんは駄目よ。


「あぁ、俺の息子だ。1番末の子なんだ。」


「そうなのか。どうりで見覚えがないと…。」


 マッチョが膝を曲げて俺の視線の高さに顔を合わせる。


「俺はラットスだ。坊ちゃんの名前は?」


「アベル・アウデンリートだ。よろしく。」


「なんか堂々としてるなぁ。嬢ちゃんの時は落ち着きがなかったよな。」


「アリシアの方はしょうがないよ。」


 マッチョに父さんは笑いながら返す。

 アリシア姉さん落ち着きなかったのか…まぁしょうがないよね。


「ところで…ラットスよ…。」


 父さんがいつになく真面目な顔をしながらマッチョを手招きする。


「今日あの子はいないよな?頼む。いないと言ってくれ…。」


「残念だったな…。今日家を出る時にちらっと見かけたぞ。」


「はぁ。そうか…。」


「頑張れよ…。」


 何の話をしているんだろう…。

 近づいて声をかける。


「ねぇ。」


「おわっ!!なんだ?!どうした!」


 そんなにビックリしないでよ…。


「何の話してるの?」


「あー…。内緒だ内緒。」


「えー!」


「坊ちゃん。俺が教えてあげますよ。」


 マッチョがニヤニヤしながら顔を寄せてくる。


「実は〜、クラウスさん商人の娘さんに言い寄られてるんすよ。」


「ほほぅ。なるほどね。」


「おい。ラットス。お前覚えとけよ。アベル行くぞ。」


 そういうと父さんは俺の手を引いて歩く。


「父さん、どこ行くの?」


「ん?食堂だよ。アベルさっきお腹鳴ってたろ。」


 先ほどとは打って変わって優しいお父さんに…。


「わーい!楽しみだなあ!」


「じゃ!行くぞー!」


 そういうと父さんは俺を肩に乗せて走り出した。


 え、走り出した…?


「うわぁぁぁあ!!!しぬぅぅう!」


「ははっ。このくらいで人は死なないよ!」


 いや、死ぬから。何笑ってんだよ。

ここで一旦区切り

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