第4話
さてと、父さんが戻ってきてから5ヶ月色々なことを聞かせてもらい、分かったことがかなりある。
まず1つ目は今まで知らなかった母さんと父さんの名前だ。
母さんはアリス・アウデンリート
父さんはクラウス・アウデンリートというらしい。
名前まで格好良いとか…。
それから2つ目、今までこの家にはメイドが1人だけかと思っていたが探索をしている途中にメイドがもう1人と料理長がいるらしいことが分かった。
料理長の名前は分からなかったがメイド2人の名前は分かったので紹介しよう。
まず1人目はリナ。このメイドは俺が最初に見たメイドだ。金髪碧眼のとても真面目で融通があまり聞かなさそうなタイプ。
もう1人はカルラと言っておっちょこちょいな見た目のメイド。この世界に来てから久しぶりに見た黒髪に赤眼。見た目と同じでおっちょこちょいなタイプだ。
顔は2人とも可愛い…。
それからもう1つ…非常に残念なことだ。
1歳になった俺は授乳を卒業して離乳食になった…。
家族と食卓を囲めるのは嬉しいが授乳の卒業は悲しい…。
あ、それから10ヵ月くらいに歩けるようになり今では転ぶこともあまりなくなり自由に家の中を移動したりしている。
家の中を探索しているうちに沢山の本が置いてある父さんの書斎を見つけた。そこではアル兄さんとロイ兄さんが何やら難しそうな本を読んでいた。
最近拙いながらもようやく喋れるようになった俺は2人に声をかける。
「なにしてるの?」
「「わっ!びっくりした!アベルか!」」
まるっきり同じ反応を見せる双子…。
「おなじー!すごーい。」
「「あはは。」」
「ところでアベルはどうしてこんな所にいるの?」
「あるいてたらついたー!」
「そうかそうかー。」
「アベルも一緒に読む?」
ロイ兄さんが絵本を取り出してきて聞いてくる。いつも持ってきていた絵本はここから持ってきていたのか。
「よむー!」
「ふふっ。じゃあ僕が読んであげるね。」
絵本はロイ兄さんが読んでくれるらしい。
俺はロイ兄さんの膝に乗せてもらい。絵本を覗きみる。
あれ?普通に日本語だ。もっと異世界の文字とか書いてあるのかと思ってた。
そう。絵本に書かれてある文字はなぜか日本語だったのだ。と言ってもあってるかも分からないのでロイ兄さんの読み聞かせを静かに聞く。
「はーい、終わりー。どうだった?」
「面白かったー!」
書いてある内容とロイ兄さんの読み聞かせはあっていてこの世界では日本語が使われていると言うことが分かった。
日本語が使われているということはアル兄さんとロイ兄さんが読んでいた難しい本も読めるということ。
今日はもう部屋に戻されたが明日が楽しみだ。
次の日俺は朝ごはんを食べ終わったあとすぐに書斎に行きお目当てだった本を探した。
欲しかった本はすぐに見つかり、部屋に持ち帰ってページをめくる。
「なるほど。この中で家で比較的安全に使えそうなのは風魔法と水魔法かな?」
そう俺が探してた本は魔法のことが書かれている本だ。ライトだけじゃ物足りなくなってしまい。新しい魔法にチャレンジしたくなったのだ。
とりあえず今日は水魔法を試してみようと思う。部屋の中を濡らしてしまうと大変なので桶もちゃんと用意してある。
最初は初級魔法のウォーターボールからやってみようと思う。本には呪文を唱えると書いてありその隣に物凄く厨二病感溢れるセリフが書いてあったが見て見ぬふりを決めた。あの幼女にも魔法は想像するだけで大丈夫って言われたし、うん。
「さて、と。」
両手を桶の真上に出し水の玉が浮いてるのを想像しながら魔法を唱える。
『ウォーターボール』
ぱちゃん
少量の水が出たが桶の中に落ちてしまった。
もう少し大きいイメージかな。
「よし、もう1度!『ウォーターボール!』」
水が集まってきてだんだん丸くなっていく。
が、少し気を抜いてしまいコントロールを失った水はこれまた桶に落ちてしまった。
「あらぁ、アベル。それじゃぁダメよぉ。」
「うわっ!母さん?!」
いきなり背後から声が聞こえたのでびびってしまった。
「そうよぉ母さんよぉ。」
「いつから??」
「えーとねぇ。さっき少しだけアベルの部屋から魔力を感じてねぇ?もし魔力が暴走してたりしたら大変だわぁって思ってぇ来たんだけどぉ。」
「魔力の暴走?」
「そうよぉ。初めて魔法を使う時に結構起きるのよぉ。私も起きたわぁ。」
「へぇ…。」
てか母さんって魔法使えるの…??
「ということでぇ、暴走なんかされちゃったらぁ大変だからぁ、一緒に練習しましょうかぁ。」
「本当?!」
まじか!やったな!
「ただし、3歳になるまでライト以外の魔法は禁止よ。」
「えー!なんでー!?」
「あなたライトは普通に使えてるじゃないの。」
えっ、なんでバレてんの?
「魔力を感じたからそっと覗いて見たら赤ん坊が使ってるんだもの。びっくりしたわぁ。」
「うぅ…。3歳になったら本当に教えてくれるんだね??」
「本当よぉ。ただし、ライト以外の魔法を使ったら二度と教えないわぁ。気をつけてねぇ。」
「はい!わかりましたお母様!」
「じゃ、おやすみなさぁい。」
3歳かぁ…あと2年?それまでライトだけとか辛すぎる。
その日の夜俺は悲しさにくれながら眠りについた。
次から一気に年齢が飛ぶかも…です。