第1話 転生
俺の名前は佐藤優馬。大学に通う19歳だ。
なぜ自己紹介をしているかって?それはもちろん…死ぬ前に皆に名前を覚えてもらおうかと思ったからだ…。
そう…俺は今トラックに轢かれようとしてる…。
なぜ轢かれようとしてるんだって?ふふっ…。なんでだろうな…。俺の目にはトラックの運転手が居眠りをしている所が見えるよ…。
居眠り運転主を見ている間にどんどんトラックが目の前に迫ってきてそれからはスローモーションだ。
トラックと俺の方を見て悲鳴をあげる通行人。
(あぁ…。俺の人生ここで終わりか…。)
そう思った瞬間激しい衝撃と共に俺の意識はフェイドアウトした。
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「ん、んぅ。」
誰かに頬を突かれてる。
うざい。
パシッ
俺の頬を突いてる手を掴む。
「あぅっ…。離すのじゃ!」
すると可愛らしい声が聞こえる。
目を開けると
「おぉー。」
巫女服を着たとても可愛らしい幼女がいる。
いいね。
「おぉーじゃない!離すのじゃ!」
「あー、悪いな。」
俺は幼女を掴んでいた手を離すと辺りを見渡す。
当然だが見覚えのない場所。きょろきょろしてる俺に気づいたのか幼女が喋りだす。
「お主!自分が死んだのは分かっているな?」
「あぁ、衝撃的だったぜ…。」
「そ、そうか…。」
おや?幼女が若干引き気味だ。
「さて、本来なら死んだ者は同じ世界での転生を待つことになる。だがお主はちょっと特殊な例でな、元の世界では転生出来ないのじゃ。」
「え?転生できないんじゃ俺どうするの?」
「よくぞ聞いてくれた。簡単な話別の世界に転生させることになるのじゃ。」
「ち、ちなみに別の世界ってどんな世界なんだ…?」
「転生してからのお楽しみじゃ☆」
えっ?大丈夫かな、やばい所に転生しちゃわないかな…。かわいい女の子いるといいな…。
「あ!そうじゃ!1つ説明しとかないといけないものがあったのじゃ!」
おぉ?なんだなんだー?
「魔法適性とアイテムボックスなのじゃ!」
「魔法?別の世界では魔法が使えるのか?」
「うむ!しかし適性がないと使えないのじゃ!そこで魔法適性!頑張れば全部の属性魔法が使えるかもしれんな!」
「いいねいいね、アイテムボックスは?」
「お主にだけ使える固有魔法じゃ。しまっておきたいもの、例えば荷物など嵩張るものじゃな、それに手を触れて「収納」と唱えればしまえるのじゃ。
しまった物を出したい時は出したい物を想像すればOKじゃ!
ちなみにこのアイテムボックスは一応これから行く世界にある収納魔法に似せてあるのじゃ!
収納魔法と違って魔力は取られないのでな、いつでも使えるのじゃ!」
「へぇーいいねぇ。」
「さて…そろそろ時間なのでな…。説明はここで終了じゃ。」
神様が時間だと言うのとほぼ同時に俺の体が淡く光りだす。
「うわ、うわなんだ?!」
「さて、佐藤優馬よ。」
あ、俺の名前。
「お主はあと少しで転生することになる。こちらとしても異世界人は久しぶりなのでな、お主の活躍を期待しておる。」
更に光が強くなり、俺は眩しさに目を閉じる。
「では、無事を祈るぞ。」
それを最後に俺の意識はまたフェイドアウトしていった。
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