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第九話 悪戯のような、試練のような。前編

 はい。こんにちは。

 今、馬車に揺られて目的の村に向かっています。特にここまでで面白いことは無かったですね。普通に起きて、そのまま来た。


「久しぶりに乗りました。馬車」

「俺も久しぶりだ」


 窓は無く締め切られた空間だが二人しかいないので、かなり広く感じられる。道の整備が出来ているのか、揺れも少ない。



「この依頼はランクの昇格試験も兼ねている。一人はこの村で、もう一人は少し遠くの村で降りてもらう」


 そのような事らしい。まぁ、どのランクから初めても、金さえあれば何とかなるのでどうでもいいのだが。


「村に着いたぞ、どちらが降りる?」


「な、なら。ボクが最初に降りるね」

「おう。行ってこい」

 ナズナが先に降りたいと言っている。別にどちらでも良いので、先に馬車から降りていった。


 降りてから、悲鳴が上がった気がしたが気のせいだろう。さすがに、こけるとかはないだろう。ナズナがそこまでドジでは無いと信じたい。



「着いたぞ。降りろ。帰りは自力で帰ってこい。仲間さんも、依頼を達成したら町に帰るように伝えてある」

 揺り動かされて起こされた。どうやら、眠ってしまったらしい。だが、ようやく着けたので良かった。


「ありがとうな」

「なら、依頼頑張れよ」


 馬車を降りると村長が立っていた。手招きしているので、こちらに来いと言っておるのだろう。


 だが、目の前には不自然な残留魔力が残っていた。感覚的には土系統の魔力だな。まぁ、土を耕したとかそのくらいだろう。


 そう思って村長の方に歩き出した。すると、一瞬で目の前が真っ暗になった。


 しかも、全身がドロッドロになってしまった。これは、泥か? そして、これは落とし穴か。


 これは、あれか? 日本に居たときによく見ていたドッキリって奴だな。やられているのを見る分にはいいが、やられると腹立つなこれ。



 しかもわざわざこれを作るために、魔法を使ったのか? 逆に関心する。まぁ、落とし穴自体が浅いので直ぐに抜け出せた。村長が笑いを堪えている。我慢だ。


 依頼主を攻撃するなどあってはならないからな。



 なるほど、かなりの数の落とし穴が掘ってある訳か。残留魔力があちこちに残っている。


 村長の目の前まで、薄く空間遮絶結界を張る。この上を歩いていけば、安全である。そして、ほぼ全身がドロドロになりつつも村長の前に辿り着いた。



「すいませんね。忘れていましたよ。そこに落とし穴が有ることを」

「はぁ、こちらも不注意だった。だから別にいい」


「ようこそ。今回はどんなご用件で?」

 にこやかに手を出してきた。とりあえず、手を握る。と、勢いよく引っ張られた。


 まさか引っ張られるとは思わずに、前に倒れそうになるが、落ちた先には明らかに落とし穴がある。


 こうなれば、村長ごと落とす!



 足で思いっきり、村長を蹴りつける。体勢が体勢である。威力はそんなにないだろう。だが、俺と同じようにバランスを崩してこちらに倒れてくる。


 ふっ。ざまぁみろだ。



 優越感に浸りながらも、落とし穴に落ちていった。こんどは、大量の粉が穴の下には引き詰めれていた。背中から倒れた俺は、あまり被害を受けていない。


 だが、村長は顔面が真っ白になっている。ついでに、ものすごく咳き込んでいる。


 泥がついた体に白い粉が混ざり、急速に水分が抜けていったのか、泥が固まってきはじめた。しかも、かなり熱い。火傷はしないとは思うが、体温がぐんぐん上がっていくのが分かる。



「ごほっ、ごほっ、ごぼっ。一度、体を洗いましょうか。さすがに、その姿では依頼は出来ないでしょうから」


 どうやら、風呂場があるらしいな。遠慮無く使わして貰おう。さすがに、風呂場にも落とし穴は無いだろう。


「なら、ありがたく。使わして貰います」

「ならこっちですよ」


 ナズナは大丈夫だろうか? さすがに、心配になってきた。それか、こっちとは違って普通の村だった、とかな。




 風呂は、まぁ宿の風呂を少し小さめにしたような感じであった。ドロドロでカピカピになった全身を丁寧に洗っていく。


 ふむ、この分だと他にも何か考えてあるのだろう。だが、落とし穴以外には引っ掛からないようにしてやる。


 ドッキリクラッシャーになってやる。



 着替えって、割りと面倒くさく感じてしまう。だから、いつもの空間収納の裏技で着替える。


 脱ぐのは面倒くさいが、さすがに汚れた服を空間収納に入れるのは何となく嫌だからちゃんと脱ぐのだが。



「ふぅ、気持ち良かった」

 一瞬で着替え終わり、髪をちょちょいと乾かした。こんなに長かったら普通は、乾かすのに時間が掛かるだろう。


 もってて良かった能力である。



「村長さん! 依頼の話をしますよ!」

「はいはい。分かりましたよ。あれ?」


 ん? どうしたんだろう。がっかりしたような顔をして入ってきたのは。意味が分からない。まさか、着替え終わっていないとでも思ったのか?


「それでは、依頼の話なんですが──」

 まぁ、いいや。早く依頼を終わらせて町に帰ろっと。

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