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第十三話 二重影。

「ちっ。ナズナ少し待って──」

「一緒に行く!」

 珍しく食い気味に言ってきた。まぁ、そう言うなら仕方がないな。



「あ、なんか近づいてくる」

 ナズナが呟くと共に、声が聞こえた。それは、幼子の声に聞こえた。


「我ら、アルセイムがこの村を乗っ取ったっ。大人しく投降すれば命までは取らない! 村人よ集まれっ」

 どうやら、目的の組織の人員みたいだな。なら、捕まえて情報でも頂くとしようか。




「お前は、アルセイムの幹部か?」

「そうだっ。部隊長を任されている!」

 声に少し誇らしい気持ちが入っていた。今夜は満月である。月明かりで、辺りは見渡しやすい。なので、目の前の幹部を見てみた。


 年齢はかなり若いことが分かる。背丈が低いのだ。だが、それだけではない。上半身は裸でありそこには、こびりついた結晶のようなモノがあった。


 まるで、植え付けられたかのような結晶である。



「なら、話は早いな。《時凪》《空喰》来ませい」

 相手がどのような境遇にあろうとも、決してテを抜かないのが俺である。


「時凪、空喰、来ませい」

 なんと、向こうもまったく同じように二振りの刀を出してきたのだ。まるで、コピーしたかのように。



「なっ。まぁいい。裏神楽二刀流、参る」

「二重影、ドッペルゲンガー。参る?」


 まるで、鏡の中の俺と戦っているような感じだ。まったく同じように攻撃してくる。


 攻撃は完全に弾かれる、向こうの攻撃も弾くのでどちらも未だに無傷だが。それでも、今のままなら、決定打が足りない。




「お前の能力はコピーか」

「そうだよ」



 ギンギンっ、と音が鳴る。それは、飛来してきた矢を弾く音。目の前の子供だけではないのだ、敵は。



 この矢もかなりうざったい。当たりはしない。だが、一々弾くのは隙になる。もっとも当たるのは論外だ。



 ナズナは、恐らくまだまだ自身の魔力を掌握しきれていない。眠っているときに、呼吸が荒かったからだ。


 完全な、魔力欠乏の症状。しかも、意識を手放すほどなら実践では使い物にはなり得ない。意識を手放せば、もうニ度と戻ってこない可能性が高いのが戦場である。




「神楽二刀流。紅剣舞」

 だからこそ、一瞬で型をつけてやろう。目の前にはいるドッペルゲンガーには。


 攻撃の隙すら与えない。何百年と合理化が測られてきた剣舞。一度でも、鍔迫り合いに持ち込んでしまえば、終わるまで回避不能の必殺技。




「めんどくさいっ! 空間遮断」

 飛来してきた矢が、まるで突き刺さったかのように止まった。まるで、見えない壁に阻まれたかのように。そして、勢いを失なってそのまま落ちていった。



「空間遮だ──」

「切り裂けっ! 空喰」


 パリン、と乾いた音がした。それは、ドッペルゲンガーの空間遮断を破壊した音。




 完全な攻めの舞ももうそろそろ終わりそうである。さすがに、これ以上舞続けると後々に支障が現れる。



「まさか、全て防がれるとはな」

「なら、こっちの番だよ。紅剣舞」


 先程と同じように、今度はドッペルゲンガーが舞っていく。至近距離過ぎて、交わすことが出来なかった。右から左へと振るわれる剣を交わして、往なしていく。




「さっき、お前の能力はコピー、と言ったな。訂正する。お前の能力は、劣化コピーだ」

「なにをっ! ちゃんと、全てコピーしているだろうっ」



「足を抜くのが一瞬遅い。だが、足を入れるのが早い。振るう刀も、少しズレている。気迫が足りない。だから、劣化だ」


 紅剣舞が終わる。俺よりも、ずっと早く終わった。なぜなら俺が全て交わしたから。



 何千回と舞ってきた動作だ。さすがに、何処にどの剣が来るかぐらい覚えている。




「神楽二刀流を舐めるなっ」

 剣閃が煌めく。それは、一瞬にしてドッペルゲンガーの胸元を深く切り裂いた。こびりついた結晶が砕け散る。





「さて、幹部さん。本部の場所を教えて貰おうか」

「教えるもん  ぎゃぁぁぁぁぁっ!」


 手の先から、足の先から、灰色になっていく。それは、凄まじい速度で進んでいく。それに、短く叫んでから声すらも出なくなっていた。



 恐らく死んだのだろう。さすがに、死者の蘇生まではできない。



「ちっ。死んだか。じゃぁ、いいや」

 辺りを見回すと、ナズナが少し先で弓兵を倒していた。どうやって倒したのだろうか。それに、辺りが氷漬けになっている。


 まさか、あの一瞬で掌握したのか? あの膨大な量の魔力を? だとしたら、凄まじい才能である。さすが、水人族である。



「ナズナ、凄いな」

「でしょっ!」


 後ろで、村長が苦笑いしてる気がしないがそんなものは無視だ。無視。

 初めましての読者様。初めまして、暁月夜です。それ以外の読者様。お久しぶりです。暁月夜です。


 あ、ここからの内容はあまり、小説とは関係無いので読み飛ばしても結構ですよ!



 この度は、「異世界転移はニ度目なんですけどっ!」をお読み頂き有難う御座います。なんと、今までに見たことのない勢いでブックマークもPVも伸びているのを見て、嬉しい限りです。相変わらず、感想は来ませんがっ! …………そんなことは置いといて。


 なんと、ブックマークが二桁&総合評価二桁&PVが二千を超えました。久しぶりに見てびっくりしました。


 感想、誤字報告、意見、批判等ありましたらお伝えください。今後にできるだけ生かしていこうと思っております。


 まだまだ、二人の旅は続きます。今後ともによろしくお願いいたします。そして、お読み頂き有難う御座います。


暁月夜 詩音

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