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華麗なるクラスチェンジ

 ジェラルディンさんの見分けがついた。偽リンド達も調べた結果、彼らは魔力を糧に動くのだとわかった。どちらかといえば精霊に近く、魔力を補充できるものがあれば半永久的に稼働する。


「どうする?ポッチ」


「…え?」


「放置すればこの子達はいずれ消える。制作者はポッチなわけだし、ポッチの決定に従うよ」


「………え」


「きゅーん…」

「「じー」」

「ろっざりんど…」


 じーっとポッチを見つめる偽物達。そんな中で偽リンドが動いた。身ぶり手ぶりをまじえて、必死でなにかをポッチに訴える。


「ロッザリンド!ロッザリンド!ロッザリンドォォ!!」


 でも、ロッザリンド連呼はやめてほしい。


「えっと…」


 そして、なんて言ってるかさっぱりわからん。


「出来ソコナイノ自分ハ消サレテモカマワナイ。デモ、他ノ絵タチハ消サナイデクダサイ。彼ラハご主人様ノ傑作ナノデスカラ…ト言ッテイマス」


 ヴァルキリーが通訳してくれました。健気だな!偽リンド!本人もうんうん頷いているから正しいらしい。


「…私カラモ、オ願イシマス。彼ラハ貴方ノタメニ生マレタ。デキルナラ、側デ貴方ニ仕エタイト願ウ気持チハヨクワカル」


 ヴァルキリーも頭を下げた。


「主…」

「「お兄ちゃん…」」


「…わ、わかりました。ロザリンドお姉ちゃん、どうすればいいの?」


「ん?適当な魔石を核にすればいいんじゃない?」


「…獣人の子よ。お前の絵を1枚くれ」


「え?はい」


 素直に絵を差し出すポッチ。ダンジョンマスターは嬉しそうに絵を眺めた。私も1枚ほしい。部屋に飾るからくれないだろうか。


「…いい絵だ。我がコレクションに相応しい。人間はカネで品物をやり取りするが、生憎我はカネなどもっておらぬ。対価にこれはどうだ?そやつらの核とするには充分であろう」


 4つの魔石…いや、これは魔結晶石か!親指の爪ぐらいの水晶みたいな石をダンジョンマスターはポッチに渡した。小さいながらもSSSランク魔石相当の魔力を感じる。

 賢者が羨ましそうにしているので、かなりのレア物らしい。


「…いいんですか?」


「この絵が気に入った。かまわぬ」


「…また、来てもいいですか?」


「うむ。また遊びに来るがよい」


 ポッチとダンジョンマスターはすっかり仲良くなったらしい。


「…皆、おいで」


「うむ」

「「はーい」」


 偽ジェラルディンさんと偽ルチル・ルシルは魔結晶石に吸い込まれて消えた。彼らが入ると魔結晶石に色がついた。


 しかし、偽リンドは戸惑った様子で…考えてから首を横に振った。


「…ロッザリンド、ロッザリンド…」


「私ハ失敗作デスカラ、コノママ消エマス…ト言ッテマス」


「偽リンド…」


 その名前は固定なんですか?気になるけど聞けない!


「君は失敗作なんかじゃないよ。確かに意図しない結果にビックリしたけど…君は君だ。お姉ちゃんと違うだけ。失敗作なんかじゃないよ。悲しい思いをさせてごめんね。僕と一緒にいてくれる?」


 偽リンドはふわりと笑って魔結晶石に入り込んだ。魔結晶石に私がちょいちょいっとポッチの余剰魔力を吸って貯める術式を刻んであげた。さらに無くさないようツヨシにはめこんだ。


 魔結晶石に興味津々なマリーが聞いてきた。


「ねーねー、これでポッチは偽リンド達を喚べるにゃ~?」


「そうだよー」


「ジェンドパパを用があるときだけ喚べるとか、すごいにゃ~」


「…そう、だね」


 確かにすごいな…オリジナルと互角の戦闘力だったし…オリジナルと違って普段は魔結晶石の中だからおかしなこともしないだろう。すごく便利じゃないか!?


「ルチルとルシルと偽リンドとジェンドパパかぁ…ポッチ、最強にゃ!」




『…………………』




 マリー以外の全員が固まった。


「た、確かに!村人(芸術家)から世界最強の召喚師にクラスチェンジッスね!」


「………え?ナニソレ」


 ポッチの表情があからさまにひきつった。


「確かに…最高難度のコルド遺跡を踏破しちゃったし…ポッチの絵達に勝てるのって…そういない気が…」


 考えてみたら、ものすごい戦力なのではないだろうか。ジェラルディンさんの偽物だけでも超強い。そこに魔法特化の双子に、偽リンド。偽リンドの戦闘力は未知数だが、独りでもポッチを守りながらコルド遺跡を移動できていたのだからかなりのものだ。


「…………うえ?」


 ポッチが涙目になった。人生諦めが肝心だよ、ポッチ。


「ようこそ、非常識人枠へ!」


 滑らかにポーズを決めたアホっ子凛花。


「待て!なんだその枠!」


「え~、なんとなくッス。当然ジェラルディンさんとロザリンドちゃんとディルクさんと…皆仲間ッスよ!」


「やめろ!私を仲間に入れるんじゃない!外せ!」


「むしろ非常識人の頂点が何を言う」


 賢者があきれたご様子で失礼なことを言いやがった。誰が頂点だ!断固として異議を申し立てる!訴えて勝つぞ!!


「非常識な色ボケ老人め!なんてことを言うんですか!奥方様にとんでもない下着を送りつけてやるぞ!ふははははは、後悔するがよいわ!!」


「的確な嫌がらせすんな!」


「…とかいいつつ楽しんでるくせに。こないだ、奥方様からそれはもう赤裸々な閨「わーわーわー!!すいませんでした!ロザリンドさんは頂点じゃありません!」


 必死で私の口を塞ぐ色ボ賢者。口で私に勝てるわけがないでしょ!


「そうだよ~。お姉ちゃんは頂点じゃなくて、規格外なんだにゃ~。頂点なんて突破して、枠から飛び出てるんだにゃ~。枠になんかはまらないんだよ」


 マリーさんはどや顔でした。彼女に悪気はありません。


「ぶひゅっ」

「ぶっ」

「ぐひゅっ」

「ぐふっ」


 周囲が一斉に痙攣しました。なんという天然爆弾!私も倒れました。


「マリー!?」


「にゃ?だってお姉ちゃんは『かてごり・ロザリンド』だって皆言ってるよ?」




『…………………』




 皆が一斉に目をそらしました。それが答えでした。盛大に拗ねた私でしたが、ディルクにちょっとかまわれたら復活しました。ディルク限定でチョロザリンドですから。

 というわけで、ポッチ君は見事なクラスチェンジをしましたとさ。


どうしてこうなった…

(U´・ェ・)ショボン

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