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本物、どっち?

 さて、偽リンドと偽ルチル・ルシルはさておき…ジェラルディンさんの見分けがつきません。


「鏡みたいッス」


「ジェンド、どっちが本物か超直感でわからない?」


「そう都合いい能力じゃないよ。僕のは戦闘特化してきてるから、こういうのは専門外」


 そっか…でも超直感は予知に近い天啓だし、見分けたりって力ではないのかも。


「匂いは?」


「どっちも絵具(ポッチ)と血とお父さんの匂い」


 本物もポッチを担いでいたので匂いがついてしまったらしい。微かに片方のジェラルディンさんからルチル・ルシルの匂いがするが、絵の方も同じ匂いなのでやはり判別不能らしい。


「仕方ない、呼ぶか」


 というわけで、ジェラルディンさんの長男であるジャッシュに来ていただきました。ラヴィータも来ました。結界サンドして足止めしやがった凛花に苦情を申し立てています。頑張れ!


「………なんで二人!?」


「ですよねー」


「一人でも手に余るのに、二人もどうするんですか!?軍事力として量産する気ですか!??」


 私に必死で詰め寄るジャッシュ。ちょっと待て。なんだその壮大な計画は!?しかも、食費とオッサンの気まぐれで破滅する未来しか見えないんだけど!!いや、つっこむべきはそこじゃない!!


「待って!何故私に言うの!?」


「…お嬢様の仕業じゃないんですか?」


 キョトンとして首をかしげるジャッシュ。


「いや…今回は(多分)ポッチのせい」

「半分はロザリンドちゃんのチート魔具のせいッス」


「…なるほど」


 凛花の横槍に納得するジャッシュ。


「納得しないで!?」


「いや、これまでの経験から説得力が…」


「…………」


 ジャッシュは私をどんな目で…いや、聞いたら絶対やぶへびだから聞かないもんね!


「で、見分けはつく?」


「……………つきません」


 残念ながら、長男でも無理でした。


「ポッチは?」


「…我ながら、完璧な出来だと思う」


 つまり、制作者にも見分けがつかないらしい。


「あ、ならば偽物が知らない情報を使うッスよ!」


「例えば?」


「えー、ルーミアさんとの出会いは?」


「「忘れた!」」


 この脳みそが筋肉な英雄の記憶はあてにならない事がわかりました。他にも色々聞いたが、オッサンはほぼ覚えていなかった。

 そして、偽物はなんとウルファネアマスクに変身もできた。偽物すごい。

 戦わせてみたが、戦闘力も完全に互角。偽物超スゴい!!




 仕方がないので色ボ賢者を召喚しました。


「こんな危険なとこに連れてくるなよ!しかも、無茶苦茶な移動をさせて!!」


※まだコルド遺跡のボス部屋です。

 どうやら、移動手段がお気に召さなかったらしい。フロアを安全かつ最短で抜けられるようにダンジョンマスターに許可をもらって滑り台を造ってあげたのに、我が儘なじじいである。まあ、滑り台が急傾斜だったとか、魔物が半分埋まってたとか、色々問題はあったが些末な事だ。


「で、何をしろって?」


「どっちが本物ですか?」


「………そもそもなんで英雄殿が増えたかを説明せんかい、この非常識弟子!思いつきでアレコレソレコレするんじゃない!!」


 いきなり私のせいにされました。なんでだ!?とりあえず説明したら、汚部屋製造機賢者からため息を吐かれました。


「理由は解った。異常発想力弟子が作ったトンデモ魔具を使った天才絵師による結果なわけね」


「で、見分けは?」


「視覚は不可能なレベルでそっくりだ。魔力波長まで完璧に複写されている。魔法院の器具で調べたとしても、どちらが本物かは判らないと思う」


「つまり、役立たずと」


「どう考えても遠路はるばる来た師匠への言葉じゃないよね!?ほぼ拉致されて無理矢理連れてこられたあげく役立たず呼ばわりとか酷すぎないかな!?」


「…お土産あげるから許してください。確かに言い過ぎました」


 コルド遺跡でゲットした素材をあげたら許されました。賢者はチョロいです。大丈夫かな?悪い女に騙されたり…奥方様が居るから大丈夫か。



 結局賢者を呼んでもわからなかった迷惑なオッサン達。仕方ないので最終手段を使いました。


「仕方ないなぁ。この質問はしたくなかったけど…貴方の主は誰?」


「「?主は主だろう」」


「主の名前は?」


「ロザリンドだ」

「ポッチだ」


「こっちが偽物だね」


「流石はロザリンド!」


 さて、本物の迷惑なオッサンの髪にリボンをつけました。


「…おい、天災と馬鹿は紙一重弟子」


「天才の誤字が気になりますが、なんでしょうか?若い妻に性的に可愛がられてるお師匠様」


 賢者が倒れた。この賢者、下ネタに弱いよね。


「ああああもう!君、僕が来なくても実は最初から英雄殿の見分けがついてたんじゃないか!?」


「いえ、見分けはついてなかった。判別方法を賢者様召喚後に思いついただけです」


「馬鹿弟子ぃぃ!!」


 どうせ取り繕ってもバレるだろうから素直に話したら、超叱られた。まったく、短気なじいさんですね。

 賢者とロザリンドの会話、なんとなく好きです。いじりがいがあるからですかね。

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