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ポッチ、逝っきまーす!

 ポッチ視点になります。

 僕は、呆然としていた。血を流す冒険者さんを助けようとしたんだ。だから、ツヨシに言われるがままにこの世で一番強いものを描いた。魔力が根こそぎ持っていかれたから動けないのもある、けど……多分動けても固まってたよね。


「ロッザリンドォォ!!」


 多分さ、直前まで見てたものも悪かったんだよ。つまりジェンドのお父さんのせいなんだよ。


「ロッザリンドォォ!!」


 お姉ちゃんが強いのは知ってるけど、僕はあまり討伐とかについていかなかったからどう戦うかとかよく知らないし。


「ロッザリンドォォ!!」


 あとほら、今でもフィギュアを大事にしてるけどヴァルキリーのイメージもあったんだよ。


「ロッザリンドォォ!!」


 だからこう、イメージが絶妙に混じった結果が…これだ。


「ロッザリンドォォ!!」


 現実から逃げても仕方ないよね!とりあえず、今僕に迫る危機をどうにかしなくちゃ!

 僕がツヨシを使って生み出してしまったロザリンド(偽)…いや偽リンドにしようか。長いし、明らかに偽物だし。


 なんていうか、顔だけロザリンドお姉ちゃんで、体が多分ジェンドのお父さん的ナイスバディ(つまり筋肉ムキムキ)でヴァルキリーっぽい武装をしている。そして何故か「ロッザリンドォォ!!」としか話さない。どうしてこうなった。お姉ちゃんへの冒涜でしかない。お姉ちゃんは騒ぐけど多分許してくれる…でもディルクさんに殺される。ディルクさんはお姉ちゃんを冒涜するものを許さないだろう。


 でも、さっき…魔物にやられそうになった冒険者を助けることができた。偽リンドのおかげだ。

 偽リンドは素手で一撃で倒してしまった。お姉ちゃんはあんな益荒男ではない。会ったらとりあえず土下座しよう。ごめんなさい、お姉ちゃん。僕はお姉ちゃんが益荒男だなんて思ってません。お姉ちゃんはもっとずっと綺麗で優しくて可愛いです。

 

「ロッザリンド?」


 魔力回復薬で魔力を回復し、怪我をした冒険者さんに過保護なお姉ちゃんに昔持たされた魔法の傷薬を分けてあげた。綺麗に傷が癒え、お礼を言われた。

 主に偽リンドをどうディルクさんに誤魔化すか、あるいは謝罪するかについて考えていたら、偽リンドに持ち上げられた。


「うわ!?あ、僕は怪我してないよ」


「ロッザリンド」


 頷いている。なぜ会話ができないんだろう。もしや、ヴァルキリーの呪い?僕に怪我がないのを確認すると、偽リンドは僕を俵担ぎした。


 なんとなくフィットする、覚えがある担ぎ方に、嫌な予感しかしない。


「ま、まさか…」

「ロッザリンドォォ!!」


 そして、偽リンドは爆走した。さらに下の階層まで来てしまった。迷子の基本はじっと待つことなのに、このままではすれ違いかねない。偽リンドを叱ったらしょんぼりされた。


「ロッザリンド…」


「ぐっ!?」


 偽リンドは顔だけはお姉ちゃんにそっくりだ。お姉ちゃんにしゅんとされると弱い。


「つ、次からは気をつけてね!」


「ロッザリンドォォ!」


 ニコニコして頷く偽リンド。悪い子ではないんだよ…多分。



 暫くしたら、通信が入った…というか、スーツの耳部分からいきなり声がしてびっくりした。


「ポッ…ザザッ無事!?」


「お姉ちゃん!?僕は無事だよ!」


 聞き取りにくかったけど、間違いなくロザリンドお姉ちゃんだ!助けに来てくれたんだ!


「す…ザザッ…助けに…ザザッ…からね!」


 お姉ちゃん…と嬉しくなると、ツヨシが騒ぎだした。


『母様、ツヨシは立派に役目を果たしております!』

「ロッザリンドォォ!!」

『母様、母様ぁぁぁ!!』


 何故かツヨシと偽リンドが騒ぎだした。というか、主にツヨシがうるさい。


『母様、母様、母様ぁぁ!!』

「ツヨシうるさい!ディルクさんもいるよね?ごめんなさいって謝っといて!ヤバい、敵が集中してきた!?切るね!」


 どうやら偽リンドが騒いだせいで敵が集まってきてしまったらしい。どうにか偽リンドが凌いでいるが…数が多すぎる!僕も絵で爆弾を作って攻撃してるけど、このままじゃ…


「!?」


 スーツが白く輝く。感覚が研ぎ澄まされ、力が沸き上がってきた。


『ご主人!?』

「ロッザリンドォォ!?」


 大丈夫だと偽リンドに頷く。今度は間違わない。僕は頭に焼き付いたイメージの通りに描いていく。


「さあ、出てきて!!」


「わはははははは!」

「「きゃはははは!!」」


 そう、ジェンドのお父さんとルチル・ルシルを僕は描いたのだ。さっきまで見てたから、イメージもばっちりだ。次々に魔物達を倒してくれた。




「…………ジェンドのお父さんだけでよかったかな?」


 地面に転がる大量の魔物の死骸と、走り回る僕の絵達。うん、オーバーキルとは正にこの事だ。


「ロッザリンドォォ!」

「わははははははは!」

「「きゃはははは!!」」


 僕が描いた絵達はなんだかわかりあっているらしい。そして、走り回っていたジェンドのお父さん(偽)と偽リンドがこっちに来た。

 僕は偽リンドとジェンドのお父さんに担がれた。嫌な予感しかしないよ。


「ロッザリンドォォ!!」

「わははははははは!」

「「きゃはははは!!」」

「うわあああ、やっぱりぃぃ!!」


 そして、僕はまた強制的に移動させられるのだった。お姉ちゃん、ごめんなさい。僕…迷子の鉄則『迷子になったらその場で待つ』ができないみたいです。若干現実逃避しつつ、筋肉ムキムキな二人に運搬されるのでした。

 次回のウルファネア戦隊ロザリンジャーは!!


 なかなか見つからないポッチに、ついに彼女が立ち上がる!


 次回、ちんちくりんの本気をお楽しみに!!


※作者の気分で予告なく変更になる可能性があります。ご了承ください。

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