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ロザリンジャー、出動!

 ロザリンド視点になります。

 凛花の推理に従い、地下へ地下へと進む。エクストラダンジョンと違って崩落の恐れがあるから穴を開けることはできず、無駄に記憶力がある凛花に先導してもらい、最短ルートを駆け抜けた。


 地下11階でに到着したら、ジェラルディンさんがしんなりしていた。


「ジェラルディンさん、ポッチは!?」


「まだ見つかっていない…」


 珍しくションボリしている。叱りにくい。紫水晶の護りも居たのだが…空気が冷たかったです。お怒りですね?わかります。


「お父さん…馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、ここまでとは思わなかった。戦えないポッチに何かあったら…僕一生許さないから」


「きゅ…きゅうん……」


「返事!」


「は、はい!」


 もはやどっちが親かわからない。息子に説教される父なのであった。


「…ポッチに何かあったら、俺も一生許さないから」


「!?しゃべれたのか!?」


 めったに喋らないネックスが、表情もわかりにくいネックスが、明らかにイラっと………いや、ガチギレしていた。


「そこは今、どうでもいいよね?ふざけてんじゃねーよ、オッサン。ポッチに何かあったらどうすんだよ。馬鹿なんだから死物狂いで走って探せよ」


 うむ、マジギレしていらっしゃる。エルンストとオルドもビビっているよ!私もビビっているよ!!オッサンことジェラルディンさんの尻尾が股に挟まってるよ!!


「ジェンドのパパさん」


「ぬ?」


 おお、私の癒し!マリーたん!


「マリー、ポッチに何かあったら……ぜっったいゆるさない。ネックスの言うとーりだよ。こんなとこでグダグダしてないで……走って探して、ポッチを連れてこい!!」


 マリーもキレていたよ!癒されなかったよ!!


「ワオオオオン!!」


 オッサンは泣きながら走り去った。わりと仲良しだったマリーからの精神攻撃は効果が抜群だったらしい。



「ロザリンド、このフロアはほぼ探したけどポッチはいないみたいだ。ところでリンカの変な格好はなんなの?」


「これは…」


「見た目は子供!頭脳は腐女子!その名は、名探偵リンカ!!」


「今はノーおふざけでお願いします」


 ハンドクローをかましてあげました。懲りないバカタレである。ノーおふざけでと言っただろうが。しかし、このフロアに居ないと判断したのにオッサンに走って探せと…お怒りなんですね。


「あだだだだだ!自分の推理でも、このフロアにはいないと思うッス!」


「さっきはここかこの下って言ってたろうが!」


「さっき、ロッザリンド的な美女の話があったじゃないッスか!多分状況が変わったんスよ!上がるより下りてボス部屋から転移したほうが早いと判断したんじゃないッスか?」


「なるほど」


 そして、紫水晶の護りにポッチがウルファネアボーイ6号になっている可能性が高いことを伝えた。また、ロッザリンド的な女性がいるらしいとも。本当に、誰なんだろう。


「にゃはははは、へーんしーん!ウルファネアがーる!」


 マリーが変身した。可愛い。


「すーつは強いし、おんなじカッコの6号見ませんでしたかってきけばいーよね!にゃははははは!」


「変身!ウルファネアボーイ2号!」


 オルドも変身した。けっこうノリノリだね。ポーズをキメてますわ。


「変身!ウルファネアボーイ4号!」


 エルンストもノリノリだねぇ。そんな場合じゃないけど、楽しそうで何より。


「変身…ウルファネアボーイ5号」


 ネックスも変身した。じっとジェンドを見る。


「わかったよ!やればいいんでしょ!?ウルファネアボーイ1号!!」


「どうせなら3号も!」


「変身!ウルファネアボーイ3号!!」


 コウも変身しました。ジェンド以外は皆さんノリノリです。


「ウルファネアボーイ1号ぉぉ!」

※もはやヤケクソ


「ウルファネアボーイ2号!」


「ウルファネアボーイ3号!」


「ウルファネアボーイ4号!」


「ウルファネアボーイ5号」


「ウルファネアがーる!」


『勝利を我が手に!ウルファネア戦隊・ロザリンジャー!!』


 1列に並び、上半身を円の動きで滑らかにスライドさせた。少しずつずらしているから全員顔が…というか覆面が見えているはずだ。そして、指がそれぞれの並び順だ。素晴らしい。ちなみにマリーのみにゃんこのポーズです。



「ブラボー!ブラボー!!」

「素敵ッス!イケてるッス!」


 息の合った動きに、惜しみ無い拍手をおくりました。


「私も変身!」


「え!?」


 髪は結い上げ、白いマントつき軍服風の格好になりました。


「ウルファネアコマンダー!!」


『おおー!!』


 皆から拍手されました。


「ずっるい!普通にカッコいいッス!」


「ふはは、今思い出したけどコマンダーには通信機能があるのだ!ウルファネアボーイ・マスク・シャドウと特殊回線でお話しできちゃうのだ!」


「ロザリンドちゃん」


「…はい」


「忘れてたッスね?」


「……うん。ゴメン!」


 早速通信してみた。多少のノイズはあるが、なんとか話せそう。


「ポッチ、無事!?」


「おね…ちゃん!?…ザザッ…は無事…よ」


「すぐに助けに行くからね!」


「ツヨ……ザザッ……ルクさん……ザザッ…ごめ…ザザッ集中…ザザッ…切るね…」


 んん?通じたけど、電波?魔力??が通じにくいみたい。切れてしまったが、ポッチは無事とわかった。ロザリンジャーにも通じるので、凛花以外は聞いていたはずだ。


「ポッチ…よかった」

「ポッチ…元気みたい」

「ポッチ…助けなきゃ」

「運が良かったようだな」

「良かった…」


 ジェンド、マリー、ネックス、オルド、コウがホッとした様子ですね。状況が状況だから、最悪の場合も想定していたらしく皆涙ぐんでました。

 エルンストはポッチと付き合いが短めですがコラボで物作りして仲良しなので、こちらもホッとしたようです。


「あ、皆にポッチの無事を伝えなきゃ」


「あ、待って」


「え?」


「お父さんには伝えなくていいから」


 英雄の息子は無表情でした。超真顔でした。


「誰もがお父さんみたく強いわけじゃない。軽い気持ちでこんなとこに連れてきて、はぐれるなんて…無責任だよね?」


 英雄の息子は正論を語りました。笑顔が怖いです。


「…して、本音は」


「いい薬だよね?」


 そして、私は泣き叫びながらポッチを探すオッサンを見かけたが…真実を伝えられませんでした。


 ジェラルディンさん、息子さんはいろんな意味で立派に育ってます!

 ちなみに紫水晶の護りはポッチの生存が絶望的だと理解していたのでやや現実逃避してました。死物狂いで探し回ってはぐれたフロアにいなかったから、仕方ない。

 そして、オッサンが責められたのも仕方ない。


 ウルファネアコマンダーは作ったはいいが使いどころがなかったアイテムです。まだまだ作ったはいいが使いどころがなかったアイテム…ありそうですね(笑)

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