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ポッチが作るもの

 ポッチ視点になります。

 僕は、あまり本当の両親を覚えていない。物心つく前にラビオリさんの家に預けられた。理由は多分、僕が獣頭だったから。僕は魔力コントロールが上手くなくて、いつも獣頭だった。差別対象である獣人。さらに獣頭な僕は、人からとても忌み嫌われて獣人からも嫌がられた。


 そんな僕を嫌わなかったのは、ラビオリさんやラビーシャ、ゲータ、ジェンド達。マリーはマリーだから、多分よくわかってないというか、マリーだから。ジェンドは僕を庇って怪我したこともある。


 そんな毎日をあっさり破壊したのが、ロザリンドお姉ちゃんだった。


 初対面のインパクトがスゴかったよなぁ…


「うわぁ、もっふもふ!触っていい!?触っていい!?」


 目をキラキラさせて触らせてと言う。そんなこと初めて言われたから、戸惑った。嫌われるか庇護されるだけの僕を全力で可愛がってくれた。ジェンド達と同じに、平等に扱ってくれた。


 ローゼンベルクの人は、皆優しかった。『獣頭』ではなく『僕』として扱ってくれる。そしてそれが当たり前なんだと態度で示された。

 獣頭も魔力コントロールの問題だったことが判明し、ロザリンドお姉ちゃんがアッサリ治してしまった。


 そんな僕の世界を変えたロザリンドお姉ちゃんのために、最高の飾りを作りたい。ロザリンドお姉ちゃんの結婚式を彩る飾りを任されたからには、全身全霊で取り組まなきゃ!






 とりあえず、本人に希望を聞いてみた。


「なんでもいいよ。ポッチの負担にならない程度でやってね」


 参考にならなかった。なんでもいいよが案外一番困るんだよ。ただ、ヴァルキリーとかロッザリンドはやめてと言われた。最悪お姉ちゃんの女神像を作る予定だったのがバレたのではないかと思われる。


 仕方がないのでもう一人の主役であるディルクさんに聞いた。


「なんでもいいよ。ポッチ君の負担にならない程度でやってね」


 なんだ、この似たもの夫婦。


 だからなんでもいいよが案外一番困るんだよ。でもナイト・ヴァルキリーだけはやめてと言われた。本当に似たもの夫婦だと思った。


 ロザリンドお姉ちゃんというか、お姉ちゃんの半身である贈り人のリンさんに詳しいリンカさんに相談してみた。


「そッスねぇ…ステンドグラスとか、白薔薇に赤い絨毯のバージンロードって感じッスかね。キャンドルで飾ったりもありッスけど、規模が規模ッスからねぇ…」


 リンカさんはわりとまともに考えてくれた。すてんどぐらすは色ガラスを組み合わせて作るらしい。聞くだけで綺麗なものだとわかる。


「百聞は一見にしかずッスよ!」


 リンカさんはわざわざ異世界から教会のシャシンとか、ぜく○ぃとやらを持ってきてくれた。異世界の結婚式の飾りは綺麗だった。僕は、すてんどぐらすを作りたくなった。でも、作るとなったら窓を変えなきゃいけなくなる。先にセインティアでどこまでやっていいか確認をとることにした。


 事情を説明したら、いきなりセインティアのトップである教皇様達と面会させられて、あっさりと許可をもらえた。しかも、結婚式のためなら大改装も可と、何をしてもいいという許可を貰ってしまった。




 制限がないならば、作りたいものを作ろう。どんなすてんどぐらすがいいだろうか。先ずはデザインの案を出さなくては。


「ポッチ、お手伝いしたい」

「ポッチ、お仕事ない?」


 ロザリンドお姉ちゃんの弟妹であるルチルとルシルがやって来た。


「今、デザインを考えているんだ。ルチルとルシルが綺麗だと思うもの、何かあるかい?」


「僕はこないだ、ジェラルディンおじさんが連れてってくれた蒼の洞窟。オンセンにつかりながら、月あかりに照らされた真っ青な水晶に囲まれてる場所があるんだよ」


「私はジェラルディンおじさんが連れてってくれた、光の花畑。七色に輝く不思議な花がたくさん咲いていたの」


「へー、僕も行ってみたいなぁ」


 聞くからに綺麗な場所だ。見てみたい。しかし、軽い気持ちでした発言を僕は心底後悔する羽目になる。

 きりがいいので、短めですがここまでになります。

 ポッチは何を作るでしょうか。次回をお楽しみに。

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