そしてやはり○○○ンドのせい
サブタイトルの○○○にカタカナ3文字を入れよ。
簡単すぎますよね。
騎士団は、いきなり門をノーチェックで通過した蜘蛛の魔物の大群に驚いていた。しかし、こうも思った。
『またロザリンドちゃん絡みだろうな』
すぐに騎士団長のフィズに連絡が行き、フィズが急行した。
「止まれ!」
あっさりと止まる蜘蛛の魔物達。よく見れば魔獣種の蜘蛛だった。確か、ウォータースパイダーの上位種で…アクアスパイダーだったか…とフィズは群れを観察する。
すると、アクアスパイダーに乗ったお騒がせ英雄が現れた。
「騎士団長殿、どうした?」
「どうもこうもない!何故大量のアクアスパイダーを連れているんだ!?」
お騒がせ英雄は首をかしげた。
「忘れた!」
いっそ清々しい返事だった。駄目だ、こいつでは相手にならないとフィズは困惑した。
こうなったらこのお騒がせ英雄の主である責任者を呼ぶべきか?と思案した。
すると群れの中からひときわ大きく、異形な蜘蛛が現れた。
美しい女の上半身をしているが、瞳はまるでサファイアを嵌め込んだかのようで作りものめいている。肌も水晶のように光に透けていて、人の形を真似た彫像のようだ。下半身は巨大な蜘蛛で、明らかな異形だった。
「お騒がせしテ、すいませン」
女性の上半身がぺこりとお辞儀をした。どうやら話が通じるタイプのようだ。かなり上位種の魔獣なのだろう。登録している魔獣が自分の群れを連れてくることが稀にある。今回ほど大掛かりなものはそうないが、フィズは納得して上位種と思われる蜘蛛に話しかけた。
「君の主は?」
「ろざりんど様でス」
「責任者を連れてこぉぉぉい!!」
即座にキレたフィズに、上位種の蜘蛛は明らかにドン引きしていた。フィズの叫びを聞いて慌てて騎士がロザリンドに連絡を取った。上位種の蜘蛛はフィズに気圧されつつも懸命に謝罪する。
「すいませン、ワタシが勝手にしたことなんでス。主は悪くないんでス」
「…とりあえず、元凶が来るまでに事情を聞こうか」
幸いにも、上位種の蜘蛛はきちんと説明してくれた。ロザリンドのドレスのために故郷の上位種に頼んだが断られ、自分が上位種となり仲間と共に彼女のドレスのため糸を作りに来たそうだ。
普段はちゃんと目立たぬよう行動するが早く主を喜ばせたいといつものように小さくなるのを忘れてしまったとのことだった。
「そうか。しかし、町を混乱させたのだからロザリンド嬢には注意をせねばなるまい。君に悪意がないのは理解した。まぁ、そんなに強くは叱らないでおこう」
「ありがとウございまス!ありがとウございまス!!」
上位種の蜘蛛は何度もお礼を言った。素直で真面目である。
「目立つし住人が不安がるから、小さくなってバートン邸に移動してくれ」
「はイ!」
蜘蛛達は全員小さくなった。そして、上位種の蜘蛛は……
「あレ?」
全裸の美女と大量のミニ蜘蛛を前にして、フィズは鼻血を噴いて気絶した。
女性に免疫がない騎士達が次々に鼻血を噴出する。妻帯者はかろうじて無事だったが、デレデレしたところを運悪く嫁に見つかってしまい修羅場となった。
「…え?ナニコレ…」
そしてようやく到着したロザリンドは、鼻血と物理的血の海にドン引きしつつ、とりあえず美女に服を着せるのだった。
「主、ワタシは頑張ったヨ!」
「…………どちら様?」
「あ、主…ひどイ………」
さめざめと泣く美女(元蜘蛛)にオロオロするロザリンド。正しく現場はカオスであった。
どうしてこうなった!??




