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余計なことを言ってはいけない

 今日はバートン邸宅で我が家の魔獣達…もふ丸、スノータイガーの白雪君、カミナリトカゲの上村君、ウォータースパイダーの水月さん、クリスタルラビットの栗栖君、ウィンドホークの北条君、パラライズスネイクの真昼さんと出し物の練習をしていました。

 ヴァルキリーも参加しています。魔獣達に私の魔力を分けて使うのですが、魔獣達は得意属性なら私より魔力コントロールが上手かったりします。


「…素材ねぇ…」


 防具ならともかく、ドレスに適した素材が思いつかないなぁ。


「主、どうしたの?」


 もふ丸は最近、キングケサランパサランに進化したので喋りがカタコトではなくなりました。悩む私にもふ丸が聞いてきたので、素直に話しました。魔獣達は魔物素材に詳しいからです。


「んー、あのね…」


 もふ丸に素材の話をしたら、何を思ったのか、もふ丸はそっとハサミを私に渡してきた。


「主、切って」


「断る!!いや、自分の毛を差し出さなくていいから!………はっ!?」


 スノータイガーの白雪君がバリカンで素敵な毛皮を刈ろうとしていた。あの肉球で器用に刈ろうとして…って、そんな場合じゃないわ!必死に止めました。

 カミナリトカゲの上村君…皮を剥ごうとするなぁぁ!痛いから!それ絶対痛いから!本気で止めました。結局尻尾をくれました。痛くはないらしい。なら、いい…のかな??

 ウォータースパイダーの水月さんは……糸をくれた。ありがとう、とても綺麗だね。糸はネバネバしないやつも作れるんだそうだ。澄んだ水みたいに光に反射してキラキラするし、透けている不思議な糸だ。

 クリスタルラビットの栗栖君!割るな!身体を割るな!削るなぁぁ!!無茶すんな!!泣きながら止めました。

 ウィンドホークの北条君は羽をくれました。ありが………抜くな抜くな!それ以上抜くな!!ちょっとでいいから!!そういや鶴の恩返しって羽を使って織物作ってたけどこれでも出来るのかなぁ……

 パラライズスネイクの真昼さんは脱皮した皮をくれました。ヘビ皮を財布に入れるとお金がたまるというおまじないがあるけど、こっちでも有効なんだろうか…いや、もう脱皮はいいから!無茶すんな!!


 うちの魔獣さん達は私に献身的過ぎます。あげて困らないものはともかく、文字通り身を削るのはやめていただきたい。




 そして翌朝。玄関にふわふわした毛と、ふかふかした毛と、キラキラしたものが置いてありました。


「もふ丸!白雪君!栗栖くぅぅぅん!!」


 朝っぱらから猛ダッシュして魔獣達を探しだし、もと通りにしました。


「うぐっえぐぅっ…ふえぇぇぇ……」


 もふ丸と白雪君がマルガリータになっているのは衝撃映像でした。二度と見たくない!もはや別の生き物ですよ!!

 栗栖君がひび割れていたのも超ショックだった。

 流石の私も号泣である。


 そして、私が泣けば……



 たしーん、たしーん、たしーん、たしーん、たしーん。





 マイダーリンがキレるわけです。





「うちのロザリンドを泣かしたのは誰ですか?」


「はい…」

「グルゥ…」

「ぴゅう…」


 素直に挙手するもふ丸、白雪君、栗栖君。


 たしーん、たしーんとディルクの尻尾が怒りのリズムを刻みます。


「君たちがロザリンドを大切に思ってるのは知ってる。でも、君たちがロザリンドのために自分を傷つけたら、ロザリンドはこんなふうに泣いちゃうんだよ!二度としないで!!」


「…はい」

「グルゥ」

「…ぴゅう…」


 もふ丸、白雪君、栗栖君が『ごめんね』と言っていたのがわかった。


「うん…不用意に話しちゃった私も悪いし…」


「…君たちがこうして無理をすると、ロザリンドに頼られなくなるからね。ロザリンドは相談した自分も悪かったとか、自分を責めちゃうからね!」


「…主、もうしない!」

「ガル、グルゥ!」

「ぴゅ!ぴゅうう!」


 必死で私にすがりつくもふ丸達。二度としないと約束してくれました。


 しかし、私のこの不用意な発言によりさらなる事件が発生してしまったのです。解せぬ。

 軽い思いつきや発言から、事件を起こすロザリンド。ロザリンドだからしかたないね!


 次回は、初めて彼女が主役になりますよ!

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