素敵なドレスと女子会
色々問題が発生したものの、着実に結婚式の準備が進んでいます。ディルクという素敵な旦那様に甘やかされて、今日もご機嫌です。
学校で優雅にランチタイムをしていたら、兄から話しかけられました。
「母様が『ロザリンドちゃん、ドレスのデザイン案ができたから見にきてね』って言ってたよ」
「わかりました。兄様、母様の声真似上手いですね」
「そう?あ、こないだロザリンドの真似したらウケたよ」
「何してるんですか!?何を真似たんですか!?」
「ロッザリンドォォ!!」
響くイイ声に、全員硬直した。確かに似ている。そっくりだ。しかし、しかし…
「それはヴァルキリーです!!でも、兄様めちゃくちゃ声真似上手い!!」
「いや、ロザリンドとヴァルキリーは大体似たようなものでしょ。ウルファネア基準だと」
「ウルファネアを基準にしたらいけません!!適当にも程があるわ!!」
「…そろそろカーティスが笑いすぎで呼吸困難になりそうだからやめようか…ぶふっ」
アルフィージ様も堪えきれず笑ってますよ。確かにカーティスとアデイルとヒューが笑いを通り過ぎて痙攣しているけども。元暗殺者達は笑い上戸だよね。
「そッスよ。カーたんが笑い死ぬッス…ぐふふっ」
「そのまま笑い死ぬか?」
イラッとしたのでハンドクローをかましました。
「あだだだだ!暴力反対ッス!」
「ロザリンド、謝る!俺が謝るから許してくれ!」
ラヴィータがかなり必死だったので許してあげました。凛花はハンドクローごときでどうにかなったり(多分)しないよ。
「ロザリィのお母様と言えば…バタフライ・ローズのデザイナーもなさってますわよね?」
「え!?あのバタフライ・ローズの!?上品かつ繊細で、コルセット不要ドレスなど、画期的な!?」
ミルフィの話に食いつくレティシア嬢。正確にはミス・バタフライと私と母のブランドです。最近私は忙しいからミス・バタフライと母がメインになってますけどね。あ、でもコルセット不要ドレスは私が欲しいから開発しました。デザインは私と母の共同案で作成はミス・バタフライです。
レティシア嬢が是非デザインを見せてほしいと言ってきたのでOKしました。凛花とミルフィもついてきました。
放課後、実家に到着してマーサに案内されて応接室のドアを開けたら、
「待ってたわよぉん!お嬢様!!」
「ぶふ!?」
分厚い胸板に歓迎されました。鼻が痛いです。毎回毎回、嫌がらせなんだろうか。
「ロザリンドちゃん、待ってたわ」
母がふんわりと微笑みました。そういや母は当初からミス・バタフライに動じなかったなぁ…。
「ぶ、無礼ではありませんの!?男…いえ女!?どちらにせよ、ロザリンド嬢から離れなさい!」
私を庇おうとするレティシア嬢。や、優しい!
「大丈夫ですわ。ミス・バタフライはロザリィや私達の友人ですのよ」
「そッスよ。見た目はおっさんだけど中身は乙女っぽい何かッス」
「んもう!中身は可憐な乙女よん!やだわぁ、リンカちゃんったら!」
ミス・バタフライにバシバシ背中を叩かれる凛花。
「ぐふっ!?力強いからやめてほしいッス!」
「ミス・バタフライ、嫁と子供がいるのに乙女とかないわ。乙女っぽい何かだよ。むしろ乙女でもなんでもなくカテゴリ『ミス・バタフライ』だよ」
「それッス!!」
「んもう!どれよ!ロザリンドちゃんと凛花ちゃんのイジワル!」
プンスカくねくねしながら拗ねるミス・バタフライ。レティシア嬢がドン引きしてます。確かにインパクトあるよね、ミス・バタフライ。
「あらあら、うふふ。そろそろデザイン案を見てくれるかしら?」
そして母から出されたデザイン案。どれも可愛い。カラフルなドレスに心が踊る。
「どれも可愛い…あ、これいいなぁ」
清楚な白いドレスのデザインを手に取った。
「やっぱりロザリンドちゃんは白を選ぶのね」
「そうですね。凛の世界で結婚式といえば白でしたから」
私の選んだデザインは繊細な白レースのドレス。マリアヴェールであるのもいいと思う。
「素敵…私もいつか…」
「私もシーダ君との結婚式では是非バタフライ・ローズのドレスを着たいですわ」
「自分もラヴィータ君と結婚したいッス…」
レティシア嬢、ミルフィ、凛花はウットリしている。確かに乙女の夢だもんね。
「アタシもこのデザインはイイと思うのよ」
「ですよね」
「でも、パンチが足らないと思うの」
「ドレスにパンチは求めてません」
しかし、ミス・バタフライはやれやれというリアクションをとった。
「わかってないわね、ロザリンドちゃん」
「はい?」
「結婚式の料理について聞いたわ」
「……はい」
まずい。嫌な予感しかしない。
「ドレスにも、ロザリンドちゃんだから使える素材を使いたいのよ!でもどれもピンとこないのよ!!」
「素材ねぇ…」
四つん這いで号泣するミス・バタフライの後頭部を見つめつつ、思案した。防具素材で綺麗なやつ、あったかな?
「こちらでもいくつか用意してみます」
「期待してるわ、お嬢様」
にっこり笑って投げキッスを回避した。
「「…………………」」
そして、しばらく続くミス・バタフライの投げキッス攻撃と華麗に回避する私。
「………何をなさっているんですの?」
「ふふ、ロザリィは遊んでますのよ」
「そッスね。気にしなくていいッスよ」
そんな会話がされているとは知らず、私はしばらくミス・バタフライと戯れました。
「母様ねぇ、セカンドドレスはウルファネアテイストのドレスにしようと思うの。柄はディルク君と対で、彪ね」
「母様天才!」
ミス・バタフライ?私の体力についていけるはずもないですよ。今はスタミナ切れで死んでます。
「それから、更に更に…」
「ロザリィ、こちらはきっとロザリィに似合うと思いますわ」
「ロザリンドちゃんのナイスバディならこれを着こなせるはずッス!」
「ロザリンド嬢にはこれが似合いますわ!」
「母様、皆、ストップ!何着作るつもり!?」
『10着ぐらい?』
おいぃ!?何言ってるの!?無理だっつーの!!
「着れませんから!どんだけ着替えさせるつもりですか!?」
『えー』
その場の女性とカテゴリ【ミス・バタフライ】の全員から『えー』いただきました。
「気に入ったドレスはそれぞれの結婚式で着たらいいよ」
「自分にこのドレスは無茶もいいとこッスよ!」
確かに、凛花にこの大人セクシードレスは…
「いや…諦めたらそこで試合終了だよ」
「アザリンド先生…!ナイスバディに…ナイスバディになりたいッス!」
「……揉んでもらいなさい」
「ウッス!!」
翌日、真っ赤になったラヴィータから苦情が来たのは言うまでもない。据え膳食べたのかと聞いたら、更に怒られた。
凛花に気になったので確認したら、据え膳は味見されたらしい。凛花に確認したのがバレて、またラヴィータに怒られた。だって気になるじゃないか!解せぬ。
ちなみに、ウルファネア基準だとウルファネアマスクとシャドウの見分けがつきません。基本的に獣人はかぎ分けはできますが、見た目については超絶うろ覚えです。
ただし職人は本物そっくりに作るため注視しているので例外となります。




