原因は発覚したが、やはり解決不可でした
とりあえず、腐界のさらなる拡大というトンデモアクシデントがあったものの、いつまでも落ちこんではいられない。やることが山積みだからだ。
招待客が決まり、招待状をすべて送付した。招待状の返事を待ちつつ、次の段階に進まなくてはならない。
今日も実家で兄と結婚式準備のために話し合いです。
会場はセインティア大聖堂で問題なし。
ドレスは母達にお任せ。私の希望はすでに伝えたので問題なし。
ブーケは今回も兄が作ってくれるから問題なし。
問題は、出し物かなぁ。
「どーしようかなぁ…」
とりあえず、無茶ブリで真琴達に隠し芸披露を依頼したけど、他にもいくつか用意すべきだろうなぁ…国賓もいるし。
「…ロザリンドと言えばヴァルキリーだから、ヴァルキリーにダンスさせるとか」
「頑張リマス」
「滑らかに快諾しないで!見ごたえはありそうだけど、場所の確保が大変だよ!」
「ダメかぁ…」
「残念デス」
兄よ、最近兄も非常識人に片足突っ込んでませんか?ヴァルキリーが万が一転倒したら大惨事ですよ?
「話は聞かせてもらった!私がその出し物に参加させてもらおうか!」
どこから聞いていたのか不明だが、シーダ君のパパことミチェルさんが部屋に入ってきた。
「先生!」
「ミチェルさん!」
「僕もいるよ~」
あ、よく見たらディーゼルさんも居たわ。こんにちは。ミチェルさんがでかいから完全に隠れてました。
「ロザリンド、是非先生達にお任せしよう!先生、ディル!僕も全力でサポートします!」
この面子が揃うと、不安しかない。
「…条件があります」
「なんだい?」
「シーダ君が許可した内容であるということです」
「「「……………」」」
3人が、笑顔で固まった。別に無理難題ではないはずですが?
「シーダは厳しいからなぁ…」
「そこは必須です。国賓も来ますから、安全第一!」
「…ジェラルディンかうちの元国王陛下ではダメかい?」
「絶対ダメです!あんないい加減な人達の許可はあてになりません!!」
結局、3人を説き伏せてシーダ君に依頼をいたしました。
「…どこまで出来るかわからんが…やれるだけはやってみるよ」
シーダ君が疲れた笑顔で頷いてくれました。すまん!彼らを止められるのは君だけだ!信じているからね!頭痛の種を増やしてすまん!!
つうか、兄までミチェルさん達についていっちゃったよ……。
某ゲン○ウさんのポーズで悟りを開きそうになった頃、可愛い声がした。
「お姉ちゃん、クーリン達もだしものしたいの!」
「僕も!」
「わたしも~」
クーリン、コウ、アリサでした。ミニサイズのぷりち~金魚とぷりち~ドラゴン、永遠の幼女?によるダンスは『かわゆい』の一言である。
しかし、ひねくれたロザリンド脳は…バハムートとドラゴン、大樹となったマグチェリアによる大怪獣ショーへと画像を変換した。
「…そのままのサイズでやるの?」
「「「ううん、おっきくなる」」」」
大怪獣ショーで間違ってなかった!!
「…なんで?」
「小さいと見えにくいし、でかい方が見ごたえがあるよね。ついでにお姉ちゃんに逆らおうというアホも削減できるよね!」
え?
「そーそー。ジェンドがゆって…もが」
慌ててコウがクーリンの口を塞いだ。まさかのジェンドプロデュース!君は本当に私思いだよね!!
「ママ、アリサがんばって絶対お客さんが危なくないようにすごくすごーく練習する!ルラン達もすごくやる気で今更ことわれな…もが」
慌ててコウがアリサの口を塞いだ。
「…どういうことか、話してくれるね?」
私はゲン○ウポーズでにっこりとコウに微笑んだ。
このダンス、バックダンサーにクリスタルドラゴンの若手が参加するらしい。彼らは暇だから…いや、比較的人間との交流をしたいドラゴンなので是非恐ろしいドラゴンのイメージを払拭したいんだとか。
場所問題も「飛ぶから」の一言で難なくクリア。どうしよう、反論材料がない。
白目をむきそうになりつつお願いしたというか、するしかなかった私でした。
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだと呟いていたら、エルンストが来ました。
「ロザリンドの結婚式でなら大がかりな魔具使ってもいいって噂を聞いたんだが」
「その出所を吐け。絞めてくる」
「ジェンド」
エルンストはあっさりと白状した。お前、簡単に友達を売るなよ。
「何がしたいんだ、ジェンド…」
「ロザリンドの経済力を示しつつ、ドラゴンでバカな輩を一掃するって言ってたぞ?」
ジェンド、ジェンド君や…君はお姉ちゃんをどうしたいんですか?恐怖の女王的な位置にやりたいの??
「俺の案はこれだ」
エルンストはきちんと企画書を持参していた。本格的だな!
「ふむ…」
飛行魔具による曲乗り、魔法による色つき煙や花を降らせる…危険がないよう結界による万が一の防御要員についてまで記載されている。全く文句がない企画だね。
「費用はこっち持ちで、好きにやっていいよ」
「やった!派手にやるからな!」
「うん…」
派手じゃなくていい、とは思ったが…珍しくいい笑顔で悪気の欠片もないエルンストにはなにも言えませんでした。
そして魔獣達…もふ丸、スノータイガーの白雪君、カミナリトカゲの上村君、ウォータースパイダーの水月さん、クリスタルラビットの栗栖君、ウィンドホークの北条君、パラライズスネイクの真昼さんが出し物をしてくれるとのこと。私と練習することになりました。
これだけあれば出し物は充分でしょう。しかし、なんだかモヤモヤする。何故だ。
「ディルク、真琴達以外の出し物が決まりました」
私から報告書を渡されたディルクは、すぐに目を通してくれました。
「…なんていうかさ…国際会議か国際祭りでもやるのかってラインナップじゃない?」
「それだ!!」
モヤモヤの原因は、出し物の規模が明らかに結婚式レベルではないことでした。しかし、わかったからといってやはり解決にはならないのです。
人生、諦めが肝心であります。
どんどん愉快な方向に脱線していく結婚式。本当にどこ行くんですかね。
茶目っ気爆弾が最近ノンストップで楽しいです。




