ほうれんそうは、大事だよね。
とりあえず、招待客リストはできました。会場も決まりました。想定していないレベルの大規模結婚式です。
「ディルク、招待客リストができました」
「ありが……………なんで巻物なの!?」
「…長いので。とりあえず、チェックしてください」
本当は私のちゃめっ気爆弾によるものです。長い!とかなんで巻物!?と驚くディルクを妄想しつつしたためました。
「…うん」
黙々と読むディルク。なんだか表情が青くなってきました。
「…あの、何故関わりがない国の国王一家がやたらと居るの?」
私は無言でソッと『招待してくれ状』をディルクに差し出した。
「これは…?」
内容を確認するディルク。そして、私は友人のせいでこうなったのだと説明した。
「罰として、結婚式で凛花や優姫、彼方さんと一発芸をやらせるつもりです。というか、どうしましょうか…流石に他国の王族も来るから、なんか娯楽も用意すべき?」
「…そうだね…というか、ロザリンドはこれでいいの?完全にロザリンドの希望とは真逆のド派手な結婚式になっちゃうけど」
ディルクはちゃんと覚えてくれていた。確かに、私がしたかった結婚式とは真逆になるだろう。
「そうだね。でも…大切な人が沢山いて、お祝いをしたいって言ってくれる人が沢山いるってことだから、私は幸せだと思う」
「…それは…そうだね」
ディルクは穏やかに微笑んだ。
「ところで話は変わるけど、余興自体は賛成だよ。ただ、凛花さんと優姫さんがやる一発芸って不安しかないんだけど」
「…彼方さんがいれば、多分…きっと…恐らく大丈夫!」
「…大丈夫なのかなぁ…それと、この人数じゃクリスティア大聖堂でも入りきらないんじゃないの?」
「はい、だからセインティア大聖堂でやります。ついでに神父役は4教皇です」
ディルクが机に頭を打ち付けた。気持ちはわかる。
「…どこからつっこんだらいいかわからないけど…場所は人数から仕方ないとして、神父役は一人じゃないの?」
「神の代理戦争を引き起こしたくなければ、4人に任せるしかないと説得されました」
「聖職者が率先して争ってどうすんの!?」
「それは私も思ったけど、武の教皇という脳筋がいる時点で譲り合いは消えたらしいよ」
「頭が痛い…」
「同感です」
まぁ、私はディルクに愚痴れてちょっと落ち着きましたけどね。
「とりあえず、招待客はそれでいいですか?よければ招待状を作ります」
「うん。俺も手伝うよ」
「パソコンとプリンターがあればなぁ…入力して一気に印刷………いや、作ればいいか!」
というか、何のために私の天恵があるのよ!きっと作れるに違いない!
「というわけで作りました!」
一から作るのは大変なので、日本のパソコンとプリンターを電力から魔力で動くように改造しました。これ、エルンストあたりに見つかったら分解されちゃうだろうなぁ。いや、構造の説明を求められそう。よくわからんから、聞かれても困る。よし、内緒にしよう。
そんな事を考えながらパソコンを起動する。ついでに年賀状ソフトを買ってきて流用することに。はっ!よく考えたら、ゲームもできる!買ってくればよかった!
「ふははははははは!」
昔…高校時代に延々と入力作業をしていたから、パソコン入力は得意です!
大人になってからもパソコン業務してましたしねぇ。体弱いから出勤は最低限の自宅業務でしたけど。なのでパソコン入力の早さには自信があります!
「………」
「ふははははははは!」
そして、プリンター様が稼働すると、あっという間に山盛りの招待状が出来上がりました。
「すごいねぇ」
不思議そうに招待状とパソコン・プリンターを眺めて首をかしげるディルク、かわゆす。
ちなみに招待状は僻地の場合、基本精霊さんや魔獣さんやジェラルディンさんがお届けしてます。近場は商人さんに頼んだり、私やディルクが直接渡したりしています。
英雄ジェラルディンの行動範囲は異常なので、転移の魔具さえあれば世界中に行けちゃいますから、特に僻地の王族へお届けを頼んでます。仕事を任されて、本人は超喜んでました。
日本から来た便利な文明の利器。これが、まさかあんなことを引き起こすなんて思いませんでした。
便利だからと、安易に使うべきではなかったのです。私には、配慮が足りませんでした。
次回、何が起きてしまうのか!ちなみに作者の予想は2パターンほどあります(笑)
どっちも出しますけどね。




