そんな気はしていたよ
朝からもぐら獣人達(ハクの一族)による招待してくれ直談判攻撃を受けました。うん、忘れてた訳じゃないんだよ……。
それから学校に行き、リストを大幅修正してから昼休みにまた結婚式のプランを相談したのですが…
「ロザリンド」
「はい」
「会場にお客が入りきらないです」
「…………」
「何その顔。なんかこう…口の中に入ってるみたいな…」
そんな気がしていた顔です。多いよね!招待客、多すぎるよね!
「そんな気はしていました」
「………そう」
「「……………………」」
いや、マジでどうしよう。
「お城、借りる?」
兄、まさかのレンタルクリスティア城を提案。いや、そんなレンタルできるシロモノじゃないでしょ。城だけに。
「えええええ…」
「うちはかまわないぞ」
「そうだねぇ、世界を救った姫勇者様の結婚式だし、別にいいよ」
王子様二人は、超あっさり許可した。アルディン様、うちって…まぁ、家がお城ですよね。
「ちょっと!あっさり同意しないでくださいよ!」
「しかし、大聖堂に入りきらないとかどれだけ招待するつもりなんだい?」
無言で兄がアルフィージ様にリストを渡し、無言で確認するアルフィージ様。だんだん顔がひきつってきました。
「これ、正気?本当にこのメンバー全員来ちゃうの?もはや世界会議ができてしまうよ??むしろ、世界会議しちゃうかい?」
私は無言で手紙を渡しました。無言で手紙を読むアルフィージ様。そして、頭を抱えた。
「王族よりもゲストが豪華なんじゃ…しかもほぼ国交がない遠方の国からも国家元首から参加させてくれと手紙が来るとか、ロザリンド嬢はどうなってるんだい?」
「知りませんよ!私のせいじゃないです!………多分」
私は半泣きです。会ったこともない人達からがほとんどですよ!
「でも、たくさんの人がロザリィのお祝いがしたいということですわ。流石はロザリィですね」
ふんわりと笑う、ミルフィ。なんというマイナスイオン!!
「ミルフィ、大好き!」
「きゃあ!?」
とりあえず、癒し系のミルフィを愛でました。はぁぁ、癒されるぅ……
「ロザリンド、現実逃避してないで帰っておいで。とりあえず、今日は実家で話し合いだね。議題は会場をどうするかについて」
「はぁい……」
というわけで、授業終了後に実家に行きました。
「…建てるか」
真面目な顔で何を言ってるんだい?父よ。客が入らないなら建てちゃえばいいじゃな~い?って?どんなマリー様ですかい。お菓子を食えばいい的な問題じゃないですよ!
「建てないでください!」
そんなお金の無駄は許しませんよ!ちょっ…しょ、しょんぼりしたって許可しないんだから!
「はっ…ユグドラシルなら…!」
「兄様、それだ!みたいな顔しないでください!土地問題がありますから!」
「いい案だと思ったんだけどなぁ……」
ついでに何か試す気だったんだろうなぁ……まぁ、兄だから仕方ないですね。
「ならば、セインティアはいかがですか?セインティア大聖堂は世界中から信者が来ますから、クリスティアの大聖堂より大きいですよ。すいません、立ち聞きするつもりはなかったのですがお困りのようでしたので」
穏やかに知の教皇が話した。はあ?なんで居るの?
「えっと…今日はどのようなご用件で?」
「いや、神父役を任せていただけないかと…直接交渉しに参りました」
「お断りします。宗教問題通りすぎて神々の喧嘩に発展しそうだから……………やるなら全員で!」
「かしこまりました。既に台本を用意しております!」
「用意がいいですね!いや、4教皇で結婚式とかないわ!うちの近所の神父さんにお願いしてるから、間に合ってます!」
知の教皇はにこやかに笑った。あ、目が笑ってない。
「その神父の名前をうかがっても?」
「や、やっぱり教皇様にお願いしようかな?」
何故だろう。神父様が危険な気がしました。
「そうですか、説得する手間が省けました」
うん、いい性格してやがるな。ちょっとイラッとした。
「でも4人は多いので、代表者1名でお願いします」
「私はかまいませんが、骨肉の争いが勃発しますよ?」
「は?」
「先ず、武の教皇が武闘会で代表を選出します」
「………は?」
「そして、知、技、魔からも代表を選出します。近接が不利な3者が手を組み武を潰し……」
「おい」
「3者がそれぞれ知恵と魔法と技術を尽くして甚大な被害をセインティアにもたらします」
「うおぉぉぉい!?何それ!?話し合え!」
「武の教皇がいる時点で無理です」
「なんでそんなに血の気が多いの!?聖職者でしょ!?争わないで平和的解決をしなよ!」
「信じるものを貫くためには多少の犠牲は仕方ないのです」
「結婚式の神父役ごときで争うな!」
「正直、毎日毎日真面目にやってるとたまにはっちゃけたくなるんですよ」
「健全に発散しなさい!神様が泣くぞ!」
「いえ、それが神々も神父役を勝ち取れとむしろ煽っておりまして…」
「後で説教しておきます!」
「是非よろしくお願いいたします」
知の教皇、本当に頼みたかったのはそれだったんじゃないだろうか。いい笑顔でした。
「本当に、貴女は寛大だ」
「はい?」
「いえ、こっちの話ですよ」
よくわからないけど、知の教皇はとても優しい瞳で微笑んでいた。
結局、会場はセインティア大聖堂。神父役は4教皇に決定しました。知の教皇は台本を置いていきました。神父の台詞が分割されてました。
「…ゲストも会場も神父役も、無駄に豪華だね」
「……そうだね」
現段階ですでに不安要素だらけの結婚式ですが、準備はまだまだ続きます。
確実に神様達も争っています。ぷちラグナロクが発生していますよ、きっと。
ふっ、ロザリンドの結婚式をするのは知の教皇だ!
byインジェンス
いいえ、ロザリンドの結婚式の神父役はうちの教皇よ!
byミスティア
いやいや、ロザリンド…リンを喚んだ神様…つまり私の教皇だよ!
byシヴァ
(オロオロオロ)ヽ(д`ヽ)
け、けんか、よくない…
byスレングス




