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どうしよう、とやたら思った日

 爽やかな朝、もふもふマイダーリンにくるまれ、幸せを感じる。まだ起きたくないと思いながらも起きなきゃと少しずつ意識を覚醒させていく。

 朝日の眩しさ、柔らかな風、窓の外から聞こえてくるかけ声。


……ん?………かけ声??


「筋肉肉肉!ロッザリンドォ!」


「肉肉筋肉!ロッザリンドォォ!!」


「筋肉ムキムキディルク様!」


「ハッスルマッスルディルク様!!」


「朝っぱらから近所迷惑じゃああああ!!解散!解さぁぁん!!」


 幸い近隣にはほとんど住人がいないとはいえ、なんで!??朝っぱらから暑苦しいわ!!


「朝っぱらからどこのどちら様ですか!?」


「我々は、ロザリンド様ファンクラブ!人呼んで『白銀の姫勇者を崇める会』です!!」


「我々は、ディルク様ファンクラブ!人呼んで『至高の筋肉を目指す会』です!!」








 どうしよう。関わりたくない。








 しかも相手が敵ならば倒せばよいが、多分彼らに悪意はない。その分たちが悪い。どうしようか。


「ロザリンド、大丈夫」


「ディルク…」


 なんて便りになる旦那様なんでしょうか。ディルクは爽やかに微笑みました。


「(拳で)語り合ってくるから」


「ストップ、暴力!殴りあう必要はないから!!」


「大丈夫(拳による)話し合いだよ」


「()内が見えてますからね!?拳で語らないでください!」


 彼らの要求は、私達の結婚式を祝いたいということでした。また招待してくれ攻撃ですか。


 結局、大騒ぎしない・静かに祝う・迷惑行為禁止を条件に招待することになりました。

 朝っぱらから非常に疲れたものの、とりあえず登校しました。しかし、何故か校門前が大渋滞です。校門になんか居るよ。


「サボ!」

「サボ!」

「サボ!」×100


 間違いありません。実家によく遊びに来ているサボテンさん達です。何故なら、昔私があげたリボンをしてるうえに、金色だからだよ!

 あああああ、皆さん怯えてるよ!そりゃ校門にサボテンの魔物がみっしり居たら入れないわ!






 どうしよう(本日二回目)





 いや、どうにかするしかない!!


「総員、ステルス!」


「サボ!」×100


 実は、サボテンさん達にはステルス魔法があります。この魔法により、周囲を驚かせずローゼンベルク邸に来ていたのです。


 学校に事情を話して教室を借りました。金色サボテンに囲まれつつ、サボテンさんの代表であるサボさんから話を聞くことに。


「ロザリンドノケッコンシキヲ、イワイタイノダ」


 私は崩れ落ちた。いや、気持ちはありがたいが、結婚式場がパニックにならないだろうか…ちなみにサボテンさん達は兄から聞いたらしい。兄に苦情を言った。


「当日になんの備えもなくサボさん達からサプライズお祝いと言う名の奇襲をかまされるのとどっちがよかった?」


「断然先に言われて備えた方がいいです!」


 兄はクールでした。今日も兄はイケメンです。ありがとう、ありがとうお兄様!!


 サボさん達にはサボテン用席を準備することにしました。案内状に注意事項としてあらかじめ記載しておこう。




 そして授業を受けていたら、くじらみたいな雲…ああ、あれはバハムートみたいな…………雲?いや、雲じゃないわ!本物のバハムートだよ!空飛んでるよ!!ま、まさか……


「ロザリンドちゃーん、いるかい?」





 どうしよう(本日三回目)





 やはり私の可愛い精霊さん、クーリンのパパさんでしたか!バハムートの知り合いなんて、クーリンパパしかいません。

 教室内の生徒達から感じる視線…どうにかしてと言われている…!!


「ロザリンドちゃーん、いるかしら?」


 そして、コウのママまで来てしまったよ!コウのママドラゴン、マリアさんや、貴女は人化できたよね!?ドラゴンのまま来るんじゃ来るんじゃありません!


 そして、ひしひしと感じる『どうにかしてくれ(切実)』という視線。私は挙手した。


「先生、用事ができたので…」


「是非行ってきてください」


 先生が真顔でした。すいません、本当にすいません。





 またしても教室を借りての話し合いである。クーリンパパさんは金魚サイズ。マリアさんは人化しました。最初からその状態で来てほしかった!


「実は…」


 二人?いや、二匹??の用件は同じでした。私の結婚式に伴侶を招待してくれないか、ということでした。待ち人である私の結婚式をどうしてもお祝いしたいが招待されないのに行くのは図々しいというジレンマにより、謎の渦潮が発生したり火山が活性化してしまったらしい。招待状でまさかの天変地異発生の危機である。

 うちの精霊さん達が拗ねるから精霊王達はどうしようかと思っていたのですが…ミニサイズなら可と言っておきました。招待状は後日発送でと話して終了しました。



 そして放課後、空を埋め尽くすクリスタルドラゴンの群れを、死んだ魚みたいな目で見つめる私。


「ロザリンドはいるか!?」


「…ルラン達は参加者を確認してから招待状を送る予定でした。パニックになるから、ドラゴンのまま来んなって散々話したでしょうがぁぁぁ!!」


 朝からのストレスが大噴火した私は、クリスタルドラゴンを戦乙女のハリセンで次々に撃墜したのでした。






「ロザリンド…」


「ディルク!」


 愛しの旦那様がお迎えに来てくれました。ディルクに抱きついて今日の愚痴を話そうとしたのですが…おや?ディルクの様子が……


「ロザリンド、今日の件で騎士団長(フィズ)から呼びだしなんだけど…心当たりは?」


「悲しいことに、めっちゃある」





 どうしよう(本日四回目)





 叱られる未来しか思い浮かびません。仕方なく私は叱られに騎士団に出頭しました。意外と叱られませんでした。フィズに説明して、私のやたら刺激的な1日が………


「ロザリンドちゃぁぁん!!」




 どうしよう(本日五回目)

 終わってくれなかった。





 自宅前で、エルフ村の皆様が待ってました。

 エルフ村も参加者を確認してから招待状を送る予定でしたから、それを説明してお帰りいただきました。


「ロザリンド…」


「うう…気持ちは嬉しいけど疲れた…」


 行儀が悪いけど、リビングのソファに寝転がる私。そして、私のお腹に天使が舞い降りた。


「に、にゃーん」


 恥じらう子猫…いや、子豹ディルク様である。

 なんと!スリスリしてもいい!シャンプー・リンス・モフモフ可ですと!?癒してあげるですと!?


「ディルクぅぅぅ!!」


 生きてて良かった!天国はここにあった!!


 そして、我がゴールデンフィンガーが100%中の120%(ストレスにより実力以上の威力を発揮してしまった)が炸裂した。


「にゃふ~ん……」


「ディルク!?ディルクぅぅ!!」


 やり過ぎました。ごめんよ、ディルク。でもおかげで超癒されました。明日も頑張ります。


 それにしても、結婚式の準備って大変なんですね…(遠い目)

 うん、楽しかったですね。

 これ、騎士団長(フィズ)視点もあった方がいいですかねぇ。ちょっと悩み中です。

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