先ずは、招待客リスト作り
兄から、まず招待客がどのぐらいかを決めないと結婚式場も決められないからというわけで招待客リストを作ることにしました。
「家族は当然だよね」
「ロザリンド的に、どこまでが家族なわけ?」
「両親と兄様、ルシル、ルチル、凛花、ジェンド、マーサ、アーク、ジャッシュ、ルーミアさん、ジェラルディンさん、ポッチ、オルド、ネックス、マリー、ラビーシャちゃん、ゲータ、ダン、トムじい、精霊さん達。あ、魔獣さん達も」
カリカリとメモする兄。
「うん。いいかな。ディルクの親族は?」
「お義父様とお義母様と……」
「待って」
「はい」
「…ディルクの母上って死去してなかった?」
「神様からのプレゼントで見事復活されました」
「…………………」
あ、兄がめっちゃ笑顔だけど目が笑ってない。これはアカン奴だ。
「ロザリンド、説明!」
「へい、喜んで!」
もはや条件反射である。私はなぜ、自分のせいでは(多分)無いことで叱られるのだろうか。いや、説明すっかり忘れてたのは自業自得だけども。
※説明中
「…言いたいことは色々色々色々あるけど、仕方ないね」
兄はどんだけ私に色々言いたいのだろうか。頭を抱えながらも兄はリスト作成を続行することにしたようです。神さまがすいません。
「ディルクの両親に、お祖父様…親族は招待するつもりです」
「うん」
ディルクの父方親族はお義父様以外だと遠縁ぐらいしかいないので、招待なしです。
「後は友人ですね」
「アルディン様、アルフィージ様、ミルフィ、シーダ君、エルンストは絶対ですね」
「うん」
「それから…」
クラスメートからも数人、もちろん私の侍女候補であるリリアーナとリリアンも参加だ。それから前の学校からの友人であるガーヴとルフナも。それから、先生も数人。
「学校関係はそのぐらいかな。後は…友人だと贈り人さん達は?」
「もちろん参加で!」
贈り人ネットワークは大事なんですよ!今や世界各国で米を布教したり共同事業展開しているから、ないがしろにしたら大変なことになります。
「後は、ウルファネアかな?」
「…ウルファネア王族は…」
「呼ばないと拗ねるだろうね。特にジェス様」
「………招待で」
「カナタさん家とレオールさんは」
「もちろん招待で」
「ミケルとトサーケンは」
「もちろん招待で」
大体は決定したが、ここで問題が発生した。
「領民はどうする?」
どうしよう。領民の皆さんと良好な関係にある私。代表者だけ、というわけにはいかない………
「………招待で」
「…ロザリンド、現時点で既に『ささやかな』結婚式は無理だよ」
「ぐっ…」
「会場は大聖堂でいいね?アルフィージ達も招くんだから『ローゼンベルク家』としては付き合いがある貴族を招かないわけにはいかない。ロザリンド達があげた式はあくまで簡易的だから、招かれなかった貴族も多かったんだ」
「ううう……ルーミアさん達みたいな身内だけが良かったけど、そうもいかないかぁ……」
「そう、だね。ごめんよ、ロザリンド。君はささやかな結婚式をしたがっていると知っているのに…」
「いえ、私はローゼンベルクのロザリンドですから、仕方ないですね」
苦笑せざるをえなかった。まぁ、祝ってくれる人が沢山いるのはいいことだ。
そんな風に苦笑した。結婚式は私の誕生日と決めていたので、すぐに招待状を書いて出した。偉い人はスケジュールもあるから、早めの連絡が大事なのです。
ちなみに騎士はディルクが担当だから、私はノータッチです。
その、翌日。
「お嬢様にお手紙が届いています。大量に」
嫌な予感がしたが、放置するわけにはいかない。そして、手紙を読んで頭を抱えた。
手紙の内容は…
招待状ならぬ『招待してくれ状』だった。
色んな意味で前代未聞である。いや、セインティアはさ……宗教問題に発展しそうだからあえて避けたんですよ。でもさ、こんな…(多分)涙?で滲んだ手紙を寄越さなくても…あと、教皇自ら神父役とかしなくていいから。神父さんが泣いちゃうから。
それ以外にも、世界を救った姫勇者の結婚を我々にも祝わせてほしいと各国から招待してくれ状が届いていた。
なんでこうなった!?とりあえず、兄に報告した。兄も頭を抱えたが、すぐに復活して未記入の招待状をそっと渡した。
「…諦めなさい」
兄の瞳は、悟りをひらいたかのようになっていた。
ですよね!これ無視したら国際問題ですよね!
仕方なく夜なべして招待状を追加した私。しかし翌朝、さらなる苦難が待ち受けているなど、予想もしませんでした。
皆様からの無理じゃね?コールいただきました。いや…うん。無理だったよ!どうやっても無理だったよ!想像力が貧しいお母さんを許して許して!
まぁ、そんな冗談はさておき、一番初回の作業である招待客リストでつまづきまくるロザリンドさん。まだまだ苦難が続きます。




