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ロザリンドとアルディン

 皆様こんにちは!ディルクとのイチャイチャにより、すっかりご機嫌なチョロザリンドです。


 学校に行ったら、アルディン様とレティシア嬢の桃色オーラがすごかったです。なんとなく気まずいと思いつつ授業が終わったのでクラリンを探そうとしたら…窓の外で金色に輝くブッ……仏みたいなクラリンが現れた。


「クラリィィン!?」


 しかも、クラリンは何故か縛られて吊るされていた。


「クラリィィン!??」


 縄の先には、頭は鳥で首から下がムキムキナイスバディ全身白タイツな、初対面で門前払いした変態仕様のポッポちゃんがいた。


「ポッポちゃぁぁぁぁん!???」


「はい」


「いや、クラリンはなんでこんな目に!?」


「我が姫勇者様を傷つける者は、神であっても許しません!!」


 キリッとしてポッポちゃんは言い切った。気持ちは嬉しいが、方法に問題がありすぎるぅぅ!!


「気持ちは嬉しいけど、私は罰も折檻も拷問も求めてないから!気に入らなきゃちゃんと文句を言うし、ケンカするから!!」


「…すいません、出過ぎたことを…」


「ううん…気持ちは嬉しかったよ、ポッポちゃん」


 ションボリするポッポちゃんを慰めた。やり方に問題しかなかっただけだよ。気持ちだけでよかったんだよ。


「そうですね。ロザリンド様は気にくわない相手を自分でいたぶるのが大好きですものね」


「待て」


 ポッポちゃんが、私にそっと縄を渡した。


「くるっぽ~?」


 ポッポちゃんは可愛らしく首をかしげ…いや、首から下がマッチョメンだから可愛くない。


「私は!別に!嗜虐趣味はなぁぁぁぁい!!」


「くるっぽぉぉぉぉ!??」


 私のコブラツイストをくらったポッポちゃんは、気絶して天に召された。一瞬死んだんじゃないかと焦ったが、非常時の脱出的なものらしい。


 数分後にケロッとして語るポッポちゃんにイラッとしたのは言うまでもない。


「ロザリン」


「あ、ごめんね!クラリン!」


 縛られたまま放置していたよ!縄をほどこうとしたら、クラリンが首を振った。


「うしろ」


「…うしろ?」


 背後にはドン引きしたクラスメート達。そういえば、ここは教室だったよ。幸い全員いるわけではなく、たまたま残ってた半数以下のクラスメートだが……



「それでは皆様、また明日!ごきげんよう!!」


 クラリンを担いで猛ダッシュするはめになりました。もはや説明できる気がしなかったよ!!









 人気のない空き教室で、話をすることになりました。


「で、クラリンが黄金色にシャイニングなのは…」


「キラリンへの介入が成功したからよ」


「だよね」


 アルディン様=シャイニング。もはや、輝き=アルディン様。発光物=アルディン様だ。とても納得した。


「キラリンはロザリンが好きだったの。でも、ロザリンと関係が壊れるのが嫌で、言えなかったの」


「はい?」


「キラリンはこのままだと結婚しないで、甥っ子を養子にしちゃう予定だったの」


「拗らせすぎでしょ!?」


「仕方ないの。ロザリンはそれだけ魅力的で…キラリンはロザリンが大切だったの」


 私は迷わずクラリンをハリセンで叩いた。あ、やべ。戦乙女のハリセンだから威力が思ったより……クラリンめっちゃ転がったよ!?


「勝手に私を巻き込んで私を微妙な気持ちにさせた貸しはこれでチャラです!じゃあね!!」



 私は走り、アルディン様を発見して……護衛(ヒューとアデイル)ごと戦乙女のハリセンでブッ飛ばした。


「ちょっと!?いきなり何すんのよ!」


「いや、アルディン様をしばこうとしたら邪魔するだろうから、先に排除しました!先手必勝☆」


「アルディン、何をやらかした!?誠心誠意謝れば、多分、きっと、恐らく許してくれるかもしんねぇぞ!ロザリンドちゃんは何があろうと敵にまわしたらダメだ!」


 的確に私の怒りを感じ取ったヒューだが…その台詞は今の私にとって、完全な地雷だった。


「……はい?」


 物理的にも気温が急速に低下した。怒りMAXである。


「ロザリンド!?どうしたの!?」


 しまった、そういえば今日はディルクが講師で来てる日だった。


「ディルク、助かった!ロザリンドちゃんを止めてくれ!」

「ロザリンドをこんなに悲しませたのは、誰!?」





『は?』






「…小娘は、怒ってる、わよね?」


「違うよ、すごくすごく悲しんでる。だからこうやって駆けつけたんだ!ロザリンド、もう大丈夫だからね!俺はロザリンドの味方だよ!」


 やめてほしい。

 泣きたくなるし、甘えたくなるからやめてほしい。


「…おうちに帰ってから甘やかしてください」


 ちゃんと自分で言うし、ケンカしたければケンカする。大丈夫、だから。


「アルディン様、ひどいです。私、アルディン様に告白されたぐらいで友達やめません。アルディン様が弟みたいに大事だから、アルディン様が恋心にけりをつけるためなら、ちょっとぐらい嫌な思いしたって我慢します」


 泣くな。泣くならディルクと二人きりになってからだ。


「ひどいです。私はアルディン様がいい王様になれるように、ずっとずっと手伝うつもりなのに…私達、そんなもろい関係じゃ、ないでしょう?」


 少なくとも、私はそう信じている。友人で、いつか仕えるべき相手で、家族みたいな大切な存在だ。

 アルディン様が瞬いた。


「私、今冷静じゃないから、うまく言えない…けど…とりあえずヒューにはなんか仕返しします」




 まさかここでヒューが出ると思わなかったらしく、全員が硬直した。



「ナニする気!?」


 他人事ではないヒューがすぐに我にかえった。


「なんか。主のために八つ当りされなさい」


「…すまなかった、ロザリンド。本当にロザリンドに失礼だったな。俺が臆病だっただけだ。これからもよろしくな」


「………うん」


 私とアルディン様は握手をした。アルディン様は心のつかえが取れたせいか、いつもよりキラキラ…を通りすぎてギンギラギンとなっている。

 どうでもいいが、ギンギラギンな時点でさりげなくならない。超めだつよ、マサヒ□=コンドウ様。


 そんな風に、現実逃避したくなる光景だった。神様を手こずらせまくった分、アルディン様のラブによる効果はすごかったのだろう。窓の外では8枚の羽を広げた愛の神様が太陽のごとく輝き、生徒達をドン引きさせていた。

 今日は金色に輝くフリルつきのヒモぱんでした。せくしー。





「ロザリンド」


「…クラリン効果によりアルディン様の恋が終わり、クラリンが(多分)レベルアップしました」


「……………そうか」



 全員なんて言うべきかわからず、ひたすら窓の外を眺めていました。なんかもう、モヤモヤとかが全部どうでもよくなる光景でした。


 後に、学園七不思議に入ってました。

『謎の発光する女装じいさん』だそうです。これ、クラリンじゃなかったらどうしようと思いました。

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