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罪悪感と当て馬感

 ロザリンド視点になります。

 腐界の侵食により、精神的に疲れた私。とりあえず腐界の危機はもう諦めるとして…当面の危機は回避したし、解散しようとした。


「ロザリン、お待たせ☆」


 お願いだから、帰らせていただきたい。しかし、今回の魔的なナマモノの件があるので帰宅するわけにもいかない。


「クラリン…」


 クラリンに何やらキラキラエフェクトがついていた。

 ディルクを見る。普通だ。

 凛花を見る。女を腐らせている以外は普通だ。

 アルフィージ様を見る。腹が黒そうだ。うむ、普通だ。

 アルディン様を見る。今日もまばゆい。おい、ラート君!?対抗すんな!目がチカチカする!


 つまり私の目がおかしいのではなく、クラリンは物理的にキラキラしているらしい。


「ロザリン、クラリンは世界の危機に立ち向かった結果、レベルアップしたの」


「マジで!?」


「あ、さっきそーいやクラリンがゆでる前の肉団子的なやつ倒してくれたッスわ」


「やめろ、肉団子が食えなくなるだろうがぁぁ!いや、先に言え!馬鹿凛花ぁぁぁぁ!!」


「ぎにゃああああああ!?」


 私の怒りを込めたウメボシが凛花に炸裂した。




(ゴッド)変身(チェンジ)!クルクラ☆クリクラ☆ミラクルクラリン☆素敵な笑顔で、明日も元気にな~れ☆」


 そして魔法少女的な姿になったクラリンが、ビシッとポーズを決めた。


「ブラボー、ブラボークラリン!!」

「素敵ッス!クラリン!!」


 惜しみ無い拍手を贈る私と凛花。


「よく見たら、あのじーさんはセインティアの魔法少女じいさんか。やはりロザリンドの関係者だだったんだな…」


 それ、少女だかじいさんだかが微妙だね。クラリンはクラリンだしクラリンだから仕方ないけど。


「せやな、大概の変なもんはロザリンドちゃん関連やなぁ…」


 なんか、優姫と彼方さんがすごく失礼なこと言っているが、それは濡れ衣だと思いたい。


「サンキュー、ロザリン!サンキュー、リンカー!!さぁ、覚悟なさい、キラリン!愛に目覚めさせてあげるわ!!」


 ビシッとアルディン様を指さしたクラリン。


「俺か!?」


 キラリン…ピッタリすぎるアダ名ですな。


「キラリン、覚悟!」


「弟に何をする気だ!?」


「ミラクル☆デリシャス☆ダイナミック☆ラブリーシャワー!!」


 クラリンのステッキからハートのキラキラたくさん噴き出して、アルディン様を包み込んだ。


「!?」









 そして、なにも起きなかった。








「え?不発??」


 マジで、何も起きなかった。


「…くっ…イケると思ったのに…!」


 クラリン、四つん這いになると縞ぱんつが見えるよ。いや、どうでもいいか。どんだけ拗らせてんですか、アルディン様。神にもどうにもできないとか、おかしいですよ!

 

「キラリンのばかぁぁぁ!!」


 クラリンは泣きながら空へ飛んでいった。


「……なんだったんだ?」


 アルディン様が首をかしげる。うん、クラリンです。


「……………………」


 ラヴィータが何やら考え事をしていたが、発言することはなかった。






 それから、私はそれなりに忙しかった。例の肉団子みたいな奴がその後大量発生したからだ。

 主にジェラルディンさんとジェンド、ディルク、私、凛花、ミルフィが中心になって狩りまくった。ようやく落ち着いたらしく、それからさらに1週間が経過した。







 久しぶりに授業を受けた私。学校を無理矢理単位制にして良かった。私確実に留年してたわ。


 夕暮れの教室に、アルディン様と二人きり。そして、我々の周囲に漂うあのハートのエフェクト。





 今かよ!

 時差ありすぎだよ!

 お爺ちゃんかよ!

 そういやクラリンはお爺ちゃんだよ!

 つうか、相手が違うじゃんよ!


 全力で内心ツッコミをしまくっているのだが、全く声にならない。なんてこった!


 もう変顔でもしようかと考えていたら、アルディン様が真剣な顔で告げてきた。


「ロザリンド、俺はロザリンドが好きだ」


「はい?ああ、私も好きですよ~」


 かるーく返事をしたら、アルディン様が倒れた。なんで??


「…異性として、好きだ!」

「ごめんなさい!」


 間髪いれずにお断りした。いや、私にはディルクだけですから。


「…ロザリンドがディルクを愛しているのは、知っている。俺とロザリンドが結ばれる未来も…あったのか?」


 ちょっと考えてみた。


「いや、ないですね」


 ないね。絶対ないね。まず、ロザリアと結ばれる未来なら沢山あったけど、のきなみ破滅エンドだ。凛の推しキャラはディルク様1択だし。


「…そうか。本当は俺がロザリア…ロザリンドの婚約者になるはずだったと知ってから、かな。ロザリンドが好きだった…好きなんだと気がついたのは。ロザリンドは俺の憧れで、目標で、初恋だ」


「…そうでしたか。気持ちは嬉しいですが…ごめんなさい。」


 コレに関しては、私はごめんなさいしか言えない。私はディルクしか選ばないし選べない。


「うん。気持ちを押し付けてすまない。ありがとう」


 目に涙をためながらも、そう言ってアルディン様は去っていった。





 なにこの罪悪感!






 ぬあああああ!ディルクに癒されたい!フッた方もダメージでかいぃぃ!!


「…アルディン様?」


 この声は…レティシア嬢?思わず魔法で聞き耳をたててしまった私。


「…どうなさいましたの?」


「いや、なんでもない。情けないな」


 アルディン様は泣いているようだ。ざ、罪悪感!


「…すいません、私…ロザリンド嬢への告白を聞いてしまいました」


「…そうか」


「アルディン様はかっこいいです。ロザリンド嬢は見る目がありません!」


「…は?」


「アルディン様は真面目でキラキラしてて、優しくてかっこよくて、キラキラしてます!!」


 まあ、アルディン様はまばゆいからキラキラしてるよね…物理的に。


「ありがとう?」


 アルディン様もそう来るとは思わなかったらしく、明らかに声が困惑していた。


「アルディン様が好きです!」


「へ?」


「ずっとずっと、好きでした!以前お城のお茶会でスカートを破いてしまって泣く私を慰めてくださった時からずっと!」


「…うん」


「み、見る目がないロザリンド嬢でなく…少しだけでも、私を見てください!」


「…うん」


「待ちますから!貴方の心が…変わるのを何年だって待ちますから!」


「…うん…ありがとう」


 涙を流して必死に訴えるレティシア嬢は可愛かった。アルディン様の涙は止まり、レティシア嬢を優しく見つめている。

 アルディン様が次の恋に落ちるのは、すぐだろうな。








「…帰ろう」


 なんかもう、精神的にズタボロですよ。なにこの罪悪感と当て馬感!酷いよ、クラリン!


 とりあえず帰宅したらお酒呑んでディルクに甘えよう!ディルクさんはしょんぼリンドに激甘だから、絶対慰めてくれるはずだ!

 お膝に乗ってナデナデして、ついでに胸毛のモフ枕をねだろう!


 私はそう決意して帰宅するのでした。

 なんかヒロインなのに当て馬感満載のしょんぼリンドさんでございました。

 なんかかわいそうだから、次はそれはもうディルクに甘やかしていただいて、復活させてあげようと思います。


 アルディン様の拗れはロザリンドへの恋心が原因でした。ロザリンドを困らせたくない。信頼関係を壊したくない等の理由から告げられず、諦めきれなかったようです。

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