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ソウル腐レンドと広がる腐界

 凛花視点になります。時間軸も少し戻ります。

 いやあ、人生何があるかわからないもんッスね!まさか有名なレイヤーさんとこんなところで再会するとは思わなかったッスよ!


「あの、本までもらって申し訳ないんだが、ひとつ頼まれてくれないか?」


「いいッスよ」


「魔法を教えてくれないか?私は恥ずかしながら我流なんだ」


「いいッスよ。自分もかなり我流ッスから…ロザリンドちゃんの方がいいと思うッスけど、それでよければかまわないッス」


「ありがとう」


 ユキ様は微笑んだ。相変わらず美人…いや、美少女ッスね。


「あ、ユキ様!これこっちの超絶オススメ小説ッス!」


「ありがたくいただくよ。まさかこっちでもBLが読めるとは思わなかった」





 30分後。





「これは素晴らしいな!」


「でしょ!?作者のウサメガネ大先生はマジ天才なんスよ!」


「ああ…まさか異世界で神本に出会えるとは思わなかった」


「自分も神本だと思うッス!異世界における腐の聖書ッスよ!」


「きゅーん…きゅーん…」


「「………………」」


 悲しげに鳴く大柄な男性。しかし、ユキ様はシカトしたッス。


「どんな女性が書いたんだ?」


「あ、自分の親友…いや心友(ソウルフレンド)ッスよ!」


「きゅーん…きゅーん…」


「そうなのか。いや、素晴らしいな」


「きゅーん…ぐす…」


 あの、先ほどから鳴いている男性、ついに泣き始めたッスよ?


「ユーロ、さっきからウザい」


「ユーキひでぇ!さっきからそこの女とばっか仲良くして、ひでぇよ!ユーキはお、俺の嫁なのに…お前、俺からユーキを盗る気か!?」


「いや、自分にはラヴィータ君という恋人が…ああ!?ラヴィータ君を縛ったまんまッス!」


「「え」」


「た、大変ッス!ほどいてこなきゃ!」



 ユキ様とユーロさんもついて来たッス。しかし、ラヴィータ君を縛りつけて放置していた部屋の中には誰もいなかった。


「たたたた大変ッス!ラヴィータ君のお尻が大ピンチッスよ!」


「は?」


「ラヴィータ君はそれはもう美少年なんスよ!縛られた美少年なんて、ご法度の世界ではご馳走ッス!ラヴィータくぅぅん!」


 それはもう取り乱したッス。しかしユキ様は少し考えて、自分に話しかけたッス。


「とりあえず、ロザリンドに協力してもらわないか?」


「そッスね!」


 困ったときは、ロザリンドちゃんッスよ!助けて、ロザえも~ん!





 ロザリンドちゃんに連絡したら、ラヴィータ君はあっさり見つかった。ラヴィータ君はロザリンドちゃんが召喚したらしい。


「ラヴィータくぅぅん!」


「ぐはっ!?」


 勢いよくラヴィータ君に抱きついた。


「ケガは!?お尻は無事ッスか!?」


「脱がすな!なんでピンポイントに尻を心配するんだよ!?」


「ラヴィータ、世の中には知らない方が幸せなことがたくさんあるんだよ」


 ロザリンドちゃんが死んだ魚みたいな瞳をしていたッス。


「なんだそれ…とにかく!僕はそんなに弱くない!もう縛って置いていくなよ?」


「でも、ラヴィータ君を危険な目にあわせたくないし…」


「僕は、凛花が危険な目にあって助けられない方が嫌だ。あいつみたいに、間に合わなくて後悔する方が嫌だ!」


「それに、ラヴィータがす巻きで召喚されるほうが危険な気がする」


 ロザリンドちゃんがしれっと爆弾を投下したッス。ロザリンドちゃんが召喚したラヴィータ君はす巻きのままだったらしいッス。



「「……………………」」



 なんという説得力か。す巻きで呼ばれるラヴィータ君を想像して、納得してしまったッス。


「すんませんでしたッス」


 もう置いていったりしませんと約束したッス。


「わかったならいい」


 ラヴィータ君は寛大ッスね。あっさり許してくれたッス。逆にユーロさんはめっちゃ拗ねてるッスよ。緊急事態だから普通にしてたッスが、今はそれはもうふててるッス。



「あ、そういやユキ様から凛姉ちゃんとユキ様がネトゲ仲間だって聞いたッス!自分ともユキ様は知り合いだったッスよ!」


「マジか、世間は狭いね」


「ああ、灼熱の聖地で我々は出会った」


「まさか、異世界で黒歴史を発掘され、再会するとは思わなかったッスよ」


 ロザリンドちゃんがまた死んだ魚みたいな瞳をしていたッス。


「…お前、女を腐らせた以外にまだ黒歴史があるわけ?」


「それは言えな「同人誌(うすいほん)を作っていたのが黒歴史らしい」


「のああああああ!?ばらしたらだんめぇぇぇ!!」


「しかし、あの同人誌(うすいほん)は素晴らしかったぞ?」

「きゃあああああ!!」


「…漫画?小説?」


 いやいや、ロザリンドちゃんも聞かないでッスよ!


「漫画。かなりえろ「みぎゃあああああああ!!」


「エロか…「ひぎゃあああああああ!!」


 そんな死んだ魚みたいな瞳で見ないでほしいッス!!痛いのは自分でも解ってるッスよ!自分は必死でごまかしたッス!


「ゆゆゆユキ様!そちらのウサミミ美少女があの神本を作ったウサメガネ大先生ッスよ!」


「なんだと!?ファンですサインください!!」


 ユキ様はラビーシャちゃんに頭を下げた。まさかのノンブレスだった。


「ぴゅいっ!?サイン!?いや、リンカちゃん!どんどん他人(ひと)にばらさないでよ!」


 アワアワするラビーシャちゃんと、あくまでもマイペースなユキ様。


「いや、あの氷王子と白兎は秀逸で………………ああ、実話?」


 ユキ様はラビーシャちゃんとアルフィージ様を交互に見て、納得したようでしたッス。


「い、いやああああああ!!」


 そして、いきなり見破られたラビーシャちゃんは逃げたッス。


「サインは今度もらっといてあげるッス。ウサメガネ大先生は照れ屋さんだし、白兎は実体験8割らしいからそこつっこんだら駄目ッス」


「そうか、今度ゆっくり話をしたいな」


「自分、セッティングするッス!どうせならコスプレとコミケを世に広めるッスよ!!」


「やめろ!腐界を広げるんじゃない!!」


 ロザリンドちゃんの説得は効果がなく、燃えあがった自分達の活躍によりクリスティアにおいて『こみけ』というお祭りが定期的に開催されることになったッス!


 確実に腐界は広がっているッスよ。それから、クリスティアでコスプレが流行したッス。ただ、なんでかウルファネアマスクやらナイト・ヴァルキリー様が人気になってるッス。不思議ッスね。

 腐界は確実に異世界を蝕んでいます(笑)

 こういう寄り道するから進まないんですよね…

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