リンカーさんとユキ様
今回は優姫視点になります。
ざっくり人物紹介
・佐原優姫
➡リンのネトゲ友達。悪役令嬢になんかなりません。でセインティアに捕まっていた贈り人。
・ユーロ
➡優姫のパートナーで犬獣人ハーフ。悪役令嬢になんかなりません。でセインティアに捕まっていた。
たまたま立ち寄った忘却の迷宮でスタンピードに巻き込まれた。相棒で夫のユーロと交戦しているが、このままではまずいだろう。敵がいっこうに減らない。かなりの数を倒しているが、倒しても倒しても減っている気がしない。
ロザリンドが事態に気がついたようだが、救援を求める通信をする暇もない。必死に戦い続けていると、ソレは現れた。
「シャイニング☆イリュージョン!!世界を繋ぎ、世界を救う!魔法勇者☆リリカルリンカー!!」
とりあえず、ロザリンドの仕業だなと思った。騎士服にフリルがついた可愛らしいデザインは悪くない。
「リンカー様!」
「リンカー様がいらしたぞ!」
「姫勇者リンカー様!」
「リンカー様ぁぁぁ!!」
冒険者達は拝みかねない勢いだ。え?彼女は有名人なのか??
「今日はガンガンいくッスよ!疲労回復!疾風迅雷!獅子奮迅!!堅牢堅固!!」
力がみなぎってくる。疲労が消えていく。すごい…こんな魔法があるのか。俺はただ、目の前の敵を倒す魔法ばかり使っていた。
レベルが違う。同じ贈り人なのに…いや、これが『勇者』との差なのか?
「変身!!地上最強を誇りしもの!それは雷☆OYAZI!」
強いがアホだ。はげちゃびんになってどーすんだ。
「ハゲピカリアタック!」
禿げ頭からビームが出た。威力がまたすごい。
「ちゃぶ台クラァァッシュ!!」
待て。そのちゃぶ台どっから出した…いや、その破壊力はおかしい!!
「地震雷火事☆OYAZIぃぃぃ!!」
終いには七色のおやじが突撃していた。あまりにもツッコミが追いつかない。とりあえず、勇者リンカーがアホなのはよくわかった。
冒険者達はこのわけがわからない光景を眺めて、普通に喜んでいる。許容範囲が広すぎるだろ!確かに魔物が倒されたのはいいけども!!
「きゃん!」
しかし地震雷火事OYAZIの快進撃は気持ち悪い魔物に遮られた。
「なんだあれは……」
醜悪な肉の塊としか言いようがない化け物が現れた。
勇敢な冒険者達が攻撃をしかけたが、冒険者達の攻撃も効いてないようだ。魔法も効かない。
肉の塊から触手が出てきた。全員遠巻きに肉の塊を見ている。
そんなとき、奴は現れた。
「愛の神☆ミラクルクラリン、降臨☆☆」
うん、可愛らしい魔法少女ルックのじいさんが現れた。きっとロザリンド関係者だろう。なんか見覚えがある。俺はもうツッコミを諦めた。
「ミラクルクラリン☆クラリンリン☆ラブリー☆シャワー!!」
可愛らしいじじいの魔法?により肉の塊は溶けて消えた。
「クラリン、サンキューッス!」
「お礼はいらないわ、リンカー。私たちは魂の友達なのだから」
そして可愛らしいじじいは羽を広げて飛び去った。
なにあれ。
もはやそれしか浮かばなかった。
じじいに手を振っていた勇者がこっちに寄ってきた。しかし、リンカーってどっかで聞いたような…
「…………リリカル☆リンカーさん?」
そうだ、あの日本の一大イベントで…灼熱の聖地で俺達はすでに出会っていたのだ……
「その名は捨てた!!いやもう、黒歴史なんで勘弁してえぇ!!」
「…いや、君の同人誌はとても面白かったよ」
「貴女は…ユキ様!?ユキ様ッスね!?」
彼女は俺のコスプレイヤーとしての名を知っていた。そうか、やはり君はリリカル☆リンカー先生だったか!
「リンカー!」
「ユキ様ぁぁぁ!!」
俺達は聖地で出会い、今この地で再会を果たした。そしてリンカーからおすすめ小説と我らの聖書である『さぶソングは永遠に』の新刊をくれた。
「本当にいいのかい、リンカー。これは我々にとって大切な聖書だろう?」
「いいんスよ。もう内容を丸暗記しているし…それを読んだユキ様と語り合いたいッス!」
「リンカー!」
「ユキ様ぁぁぁ!!」
俺達は、わかりあった。
追伸・うちのユーロが完全について行けず、この後拗ねて大変だった。
超どうでもいい追記。
・凛花さんも昔は薄い本を自作していましたが、今は読み専門です。布教に力を注いでます。
・優姫さんはコスプレイヤーとしてかなり有名な人でした。




