紫水晶の護りと英雄
今回はネックス視点になります。
※忘れてる方もいるかもなんで、紫水晶の護りざっくり紹介。
・ジェンド
➡脳筋英雄の次男。ジャッシュは異母兄。ロザリンドの従姉弟で1歳下
・ネックス
➡蛇獣人。ロザリンドに救われた孤児。ロザリンドをお姉ちゃんと慕うが、実は1歳年上。
・マリー
➡白猫獣人。ロザリンドに救われた孤児。ロザリンドをお姉ちゃんと慕うが、実は同い年。
・オルド
➡梟の獣人で元暗殺者。ロザリンドに処刑される所を救われ、ローゼンベルク邸に居着いた。
・エルンスト
➡魔法院の天才。ひきこモヤシはすっかり返上し、たまにと採集目的で迷宮攻略に同行したりする。冒険者として紫水晶の護りにパーティ登録されている。
俺たち『紫水晶の護り』は、スタンピードに巻き込まれた。俺たちは問題ないけど、他の冒険者達は疲弊していく。このままではまずい。パーティリーダーであるジェンドもそう思っているようで、苦しげな表情だ。
打開策を思いつかない中、通信が入った。ジェンドが持っていた通信魔具からだ。
「強制通信!こちらロザリンド!ウルファネアで最低5ヶ所のスタンピードを確認!手が空いている人は討伐協力を願います。転移ができる人はウルファネア王都、冒険者ギルドに来てください。転移が出来ない人は迎えに行きますから、準備ができ次第通信魔具に連絡を!」
5ヶ所!?他でも起きているの!?しかしまずい。こちらにも救援は来るのだろうか。
そして、救援は空から来た。
「わははははははは!!ウルファネアマスク・見参!!」
でかいオッサン…じゃなかった。ジェンドのお父さんが来た。なんで空から?
※わざわざ木に登って飛び降りてました。
「わはははははは!!」
すげー。魔物が紙細工かなんかかってぐらいブッ飛んでいく。ジェンドのお父さん、相変わらず超強い。
「わはははは!!我に続けぇぇ!!」
なんでだろ。疲弊していた冒険者達が…元気になっていく。ジェンドのお父さんは、やっぱりすごいなぁ。
「お姉ちゃん!?馬鹿親父を送りこんだのはお姉ちゃんでしょ!僕らだけでも大丈夫なのに!」
ジェンドがお姉ちゃんに苦情をいってる。ジェンドのお父さんが来たおかげで通信するぐらいの余裕はある。でもジェンド、嘘ついたらダメだよ。俺たちだけじゃ、かなり厳しかったよ。
「ジェラルディンさんが居れば、内部まで一気に行けるでしょ!ジェラルディンさんの操縦を含めて、ジェンド達に任せたからね!」
「操縦の方が難しいよ!でも、任された!一気に行くよ!!」
『おう!!』
「よし、どうせなら皆もパワーアップだ!!」
ぱわーあっぷ…ジェンドのお父さんに言われて一瞬なんのことかと思ったけど、すぐにわかった。
「にゃはははは、へーんしーん!ウルファネアがーる!」
マリーは多分何にも考えてないんだろうなぁ。可愛いからいいけどさ。
「変身!ウルファネアボーイ2号!」
オルドも変身した。けっこうノリノリだ。俺は知っている。オルドはけっこうウルファネアマスクとかのひーろーが好きなんだ。
「変身!ウルファネアボーイ4号!」
エルンストもひーろーが好きだ。お姉ちゃんが作ったとくさつえいがも好きだ。
ひーろーすーつは強いし、俺もやるかな。
「変身…ウルファネアボーイ5号」
「えええええ!?は、恥ずかしくないの!?」
ジェンドにとってウルファネアボーイとして慈善活動をしていたのは黒歴史なんだよね…でもいいことしてただけなんだから、別にいいと思うんだけどなぁ。
「わはははははは!何も恥じることなどない!」
うん。そもそもジェンドのお父さんが恥ずかしがるの、想像つかないや。
「お父さんは色々感覚がおかしいから!」
そうだね。普通ではないね。ちょっと…だいぶ変…というか、色々と大雑把だよね。
「マリーはへーきにゃん!」
「マリーはマリーだからなぁ…」
「にゃあ?」
うん。マリーはマリーだから仕方ないよね。マリーだもん。
「俺も平気だ!」
「オルドもわりと感覚がお父さん寄りだろ!」
確かに。良くも悪くも自分に正直なんだよね、オルドって。そういう意味ではジェンドのお父さんに似てるかも。
「俺も恥ずかしくないぞ」
「エルンストもかなり感覚おかしいからね??研究ばっかりしてるからか、その辺りはかなり変だからね!?」
エルンストはまともそうなんだけど、たまに異常なレベルの世間知らずを発揮する。あと察するとかは苦手だし、普通恥ずかしいとかもわからない時があるんだよね。
「………俺も、平気」
俺はウルファネアボーイ、恥ずかしくないよ。皆とのいい思い出だし、カッコいいじゃないか。お姉ちゃんが作ってくれた、皆お揃いの強化魔具だしね。
まあ、お姉ちゃんが技術の無駄遣いしてるのは間違いないけど。ふつーの強化魔具にしないあたりがお姉ちゃんだよねぇ。
「さあ、ジェンド!変身だ!!」
「さあの意味がわからないから!」
「すーつ、強い」
僕は話すのが苦手だけど、ジェンドは僕が言いたいことをちゃんと察してくれる。嫌かもしれないけど、ウルファネアボーイのすーつは強い。
ジェンドのお父さんが来たおかげで喋りながら魔物を倒しまくってるけど、なるべく早く迷宮を制圧しないといけない。時間が経てば、それだけ犠牲者が増える。
「あああもう!変身!ウルファネアボーイ1号!!」
俺の説得と皆からじっと見られて…ジェンドは負けた。
「うむ!ではやるぞ!!」
「ウルファネアボーイ1号ぉぉ!」
※もはやヤケクソ
「ウルファネアボーイ2号!」
「ウルファネアボーイ4号!」
「ウルファネアボーイ5号」
「ウルファネアがーる!」
「ウルファネアマスク!」
『勝利を我が手に!ウルファネア戦隊・ロザリンジャー!!』
1列に並び、上半身を円の動きで滑らかにスライドさせた。少しずつずらしているから全員顔が…というか覆面が見えているはずだ。そして、指がそれぞれの並び順だ。
「うおおおお!!」
「なんかかっけぇ!!」
「3号はいないのか?」
冒険者さん達ってのりがいい人が多いからか喜ばれた。3号はコウだから今日はいないんだよ。ちなみにポッチは6号だよ。
あれ?そういえば、なんかもう一人いたような…まぁいいか。
とにかく、頑張って魔物をたくさん倒すぞー!
長くなりそうなんでここまでです。
ネックスにまで忘れられるウルファネアシャドウ。しかたないよね、影薄いから(笑)




