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久々に来たよ、ウルファネア

 今日はお休みなので、お祖父様達を送るついでにラブ集めを兼ねてウルファネアにやってきました!転移でお祖父様達を送り、ウルファネア王都に来ました。


 マイダーリンとクラリンも一緒に来たのですが、クラリンが気を利かせたのか、あっさり離脱して二人きりです。


「ロザリン、時には休息も必要よ」


 クラリンはそう言いつつ串焼きを見つめていた。そして、よだれがタラリ。串焼き食べたいからじゃないよね!?私を思いやってくれたんだよね!?

 クラリンは屋台をハシゴしまくり、見えなくなった。


「久しぶりにウルファネア観光でもする?」


 仕事でちょくちょく来ているが、城下をぶらつくことはここしばらくなかった。年単位かも?


「そうだね。行こうか」


 ディルクと手をつないでメインストリートを歩く。あの大海嘯があった頃と違い町は活気に溢れ道行く獣人達も毛並みがいい。







 そして、メインストリートの真ん中、中央広場に『それ』はあった。







「「……………………」」


 見上げる。

 互いを見る。

 見上げる。

 互いを見る。

 見上げる。

 互いを見る。





 そこにあったのは……




「すごいだろう?肉の聖女・ロザリンド様と筋肉の英雄・ディルク様の像だよ!」


「「………………」」


 二人揃って親切なおば様の話に崩れ落ちた。ちなみに私たちは変装している。ちょっと髪の色を変え、香水で匂いを誤魔化すだけだが獣人にはけっこう有効である。


 そう、メインストリートの真ん中…中央広場には、巨大なヴァルキリー(ロザリンド)と筋肉ムキムキディルク様像がドドンと設置されていたのだ。

 誰だよ!こんなの設置したやつ!!


 とりあえず、ヴァルキリー(ロザリンド)。相変わらず私=ヴァルキリーである。しかし、リボンつければなんでも女の子になると思ったら大間違いなんだからね!

 余談だが、ウルファネアからの留学生がどうしても私に会いたいと言うので面会したら首をかしげていた。なんとなく察して、サービスでヴァルキリーを鎧っぽく装着したら『謎は全て解けた』的な顔をしていた。

 しかし実はその答え、間違いですから!残念!!


 そしてディルク。なんでムキムキなんだよ!!しかも顔が仁王様かよ!!厳めし過ぎるわ!!うちのディルク様はもっと美人で細マッチョで……

 あと、耳と尻尾のモフモフ感が足らん!!!なってない!ディルクの最大のチャームポイントなのに!!


 あれ?像の間によく見たらもう一体あった。


「………あれ?あの間にある女の子の像は?」


 なんか誰かに似ているような……つか、昨日見たような??


「ああ、あれは魔法勇者☆リリカルリンカー様の像だよ」


「ぶふっ!?そ、そうですか」


 やっべ、吹き出してしまった。まさかの凛花…確かに言われてみれば似てるわ。


「数年前にロザリンド様信者とディルク様信者が大乱闘をしかけてね、それを颯爽と止めたのが魔法勇者☆リリカルリンカー様さ。しかもロザリンド様もディルク様も争いは望んでいないと諭して、以来ロザリンド様信者とディルク様信者は仲良くなったんだよ」


 なんかその話、聞いたかも。ラヴィータと凛花がウルファネアでデートしてた時だっけか?

※悪役令嬢になんかなりません。ロザリンド14歳・凛花と精霊と魔編・ウルファネアといえば参照。


「元々はロザリンド様像だけだったけど、その過ちを繰り返さない戒めと魔法勇者☆リリカルリンカー様に敬意を表して二つの像が後から造られたのさ」


 凛花に教えてやろう。お前も仲間になったぞと。しかも、魔法少女フィギュア的な像だよ、やったねって言ってやろう。


「ご親切にありがとうございます」


「魔法勇者☆リリカルリンカー様フィギュア!買わないかい?」


「買います」


 流石はウルファネア。素晴らしいクオリティのフィギュアだ。ミルフィフィギュアも作らないかなぁ…いや、ウルファネアがオタクの聖域アキハバーラ化しても地味に困る。美少女フィギュアはやめとこう。

 とりあえず、お土産に二つ買っておくか…いや、天ちゃんの分もだから三つだな。



 あ、ヴァルキリーが…ナイト・ヴァルキリー様フィギュアもある!!


「これください!」


「ロザリンド!?」


「大丈夫、うちに飾ります」


「やめて!人の黒歴史を目につくとこに設置しないで!!大丈夫な部分が全くないから!!」


 ディルクが必死です。むう…どうしようかなぁ。


「お目が高いね、お嬢さん!このナイト・ヴァルキリー君はこの剣を刺すと…」


 なんとナイト・ヴァルキリー君が…ディルクがバラバラになってしまった。その場に倒れる私。


「わ、私のナイト・ヴァルキリー様になんてことを!許せん!!責任者を呼んでください!!」


「ええ!?ただの玩具じゃない!」


 ディルクに宥められるが、絶対嫌だ!許せない!!


「嫌です!玩具でもディル…ナイト・ヴァルキリー様が刺されてバラバラ死体になるなんて許せないぃぃ!!」


 ディルクも私の本気を見て諦めたらしく、もう止めませんでした。結局作成者も人気がなかったのもあって、もう作らないと言ってくれました。当たり前だ!あんなフィギュアはいらないよ!


 その後まともでカッコいいナイト・ヴァルキリー様フィギュアを見つけて買いました。

 うちに飾っていたら、いつの間にかなくなってました。知人にあげたらしいです。知人にあげてでも処分したかったのか…悪いことしたなぁと思いました。


 しかし、ディルクは失敗をしました。ナイト・ヴァルキリー様フィギュアはそれなりに高級品だったので、箱に商会の名前が入っていたのです。ディルクはその箱ごと知人にあげてしまいました。

 知人さんは熱心なナイト・ヴァルキリー様ファンなので当然その商会に問い合わせ、ナイト・ヴァルキリー様グッズを大量輸入。ディルクにおすそわけしてくれました。

 まさかの増えたナイト・ヴァルキリー様グッズ。ディルクはふてて丸くなってました。


 しかし、さらにその後…ウルファネア商人が売れる!と思ったのでしょう。



 ナイト・ヴァルキリーブームが到来し、ディルクがしばらく外出を拒否する事態になりました。


 どうしてこうなった!?

 ナイト・ヴァルキリー様、万歳!


 いや、うん。本当になんでこうなったんだろうか。不思議です。


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