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ロザリンドのスペシャリテ

 さて、久しぶりの再会なのです。私も全力でおもてなしすべきでしょう。


「食べたいもの、何かありますか?夕飯は私が作りますよー。デザート付きますよー」


 ディスクさん以外が挙手した。奥さんが身重で出産が近いから、夕飯前には帰る予定らしい。


「ならお土産にスイーツを包みますね。奥様、好きな果物とかあります?」


「すまないな。妻は桃が好きだ」


「では、桃のタルトを作りますね。ご家族で食べられるよう大きめにしておきます」


「…サービスがいいな」


 ラグラスに、胸を張って答えた。


「チビモフ抱っこのためならば、労力は惜しみません!」


「ぶれないのう…」


 ぶれない女、ロザリンドです。モフモフは正義なのです!

 ディスクさんは桃のタルトを持って帰りました。とても美味しいと喜ばれたらしく、後日奥様からお礼状が来ました。そして、念願のチビモフ抱っこが叶いました!赤子のチビモフ…ちみっこチビモフ…尊い!!むしろこっちがゴチになりました!



 それはさておき、晩御飯は何にしよう。オムライスとハンバーグを希望する人がいました。オムライスとハンバーグ…とくれば…


「献立が決まりました。早速作ってきます!」






 バートン家のシェフさん達に下拵えを手伝っていただき、完成です!!


「これは…」


 ハンバーグにウインナーの耳をつけ、ケチャップで顔を書いたウサミミハンバーグ、トマトで作ったバラをメインにしたサラダ、特大エビフライ(正確にはエビアンソルジャーという魔物のフライ)にオムライス。


 ロザリンド特製お子さまランチ風ディナーである。


「可愛い…」


 ちなみにオムライスには色々なものが描いてあります。ラァラちゃんのは猫、ディルクにはハートとLOVE、ディジャさんには薔薇。


「嫌がらせか!?なんで俺のはまたスゴい奴なんだよ!食べにくいだろうが!」


 ラグラスのは、リアルなヴァルキリー。我ながらよく描けました。素晴らしい出来です。私も食べにくいレベルです。


「いや、シェフさん達から器用とかスゲーとか言われて、正直調子に乗りました!ごめんなさい!」


 素直にラグラスに謝罪する私。そして食べようとするラグラスを止める双子。


「食べたらダメ!」

「こんなスゴい絵を台無しにしないで!」


「なんだかデジャ・ビュ?」


 見覚えがあるような気がする光景である。


「前にも大体同じことがあったよ。まだ俺達が婚約者で、双子も小さかった頃にね」


 ディルクは懐かしそうに穏やかな笑顔でそう言った。とりあえずオムライスは温かいうちに食べてくれと言った。


「ならもっと崩すのに罪悪感がない奴にしてくれよ!こんな見事なヴァルキリー、本当は崩したくないんだから!」


 ラグラスは涙目だ。なんかごめんよ。次があればもっと簡単な奴を描くことにします。

 皆さん、美味しそうにたくさん食べてくれました。そして、少食だと言われる私。いや、人間としては普通ですから。私からすれば、皆さんの食事量がおかしいですからね?5人前はあったのに、ペロッと食べれるの、おかしいですからね??しかし、どこに消えるのかしら…不思議である。




 そしてデザートはショートケーキです。ケーキにはチョコのプレートが載っていて『お誕生日おめでとう、ディジャさん』と書かれている。さらに、飴細工の薔薇で飾ったゴージャス仕様だ。


「今日がディジャさんの誕生日になると思うんです。だからお祝いのケーキを作りました」


「わあ…」


「おかえりなさい、ディジャさん。貴方に会えて、嬉しいです」


 本来ならば、会うはずはなかった。神様の気まぐれ…贈り物として会えたことに、感謝を。

 みんなで和やかにケーキを食べました。





 時間も遅いので年少組は帰り、大人達はお泊まりです。お酒が入ってちょっと雰囲気が……


「うう…ぐすっ…よかったのぅ…ディジャ…お前が幸せならわしは…」


「お父様、姉様はあっちです。それはディーゼルですよ」


 お祖父様はすっかり出来上がってしまい、ディーゼルさんをディジャさんと勘違いしている模様。


「父様、よほど嬉しかったのね」


「ええ、あんなに酔っぱらったのは初めてだわ」


「ほのぼのしてないで助けてよ!」


 相変わらずここの姉弟は弟が弱いようです。面白いので暫く観察してから助けてあげました。




「…ディジャ…夢みたいだよ…君がいるなんて…」


「あなた…」


 ラブラブなお二人はそっとしておいてあげましょう。




「ロザリンド…」


「ディルク、良かったね。ディルクが嬉しそうだから私も嬉しい」


 ディルクは少し酔ったのか、バルコニーで室内を穏やかに見ていたようです。近寄る私を覆い被さるように抱き寄せたと思ったら、獣化した。


「ちょっと寒いからね。こうしたら暖かいでしょ?」


「幸せです。ご褒美ですね?ぬくモフモフは至高の幸せですね。しかもこの毛並み…最高です。愛してます、ディルク」


 うっとりする私を優しく撫でるディルク。


「本当に…君に出会えてよかった。毎日幸せだよ。怖いぐらいにね。愛しているよ、ロザリンド…」


 優しく触れてくる熱。もう馴染んだようで…今でも…いや、確実に前よりもずっと彼に恋をして…愛している。


「私も、幸せ…」


 キスをして、互いに額をあわせて笑いあう。互いの唯一に出会えた奇跡を心から幸せに思う。


「きゃー、ラブラブね!」

「あ、こら!そんな声だしたら…」


「「………………」」


 ぎぎぎ、とぎこちなく室内をみたら、皆さんからめっちゃ見られてました。


「こらあああああ!!」


 笑い声と共に逃げる大人達。からかわれて真っ赤になるディルク。最近落ち着いててカッコいいディルクがむきになって皆を追い回す姿がほほえましくて可愛い。


「ふふ」


 ロザリンド=バートンは、旦那様のおかげで今日も幸せに笑っています。

 そして、ディルクに捕まりほっぺたをのばされるディルク父。


「だから、私の扱いがざつじゃないかな!?」


 多分、実父に1番遠慮がないディルクさんでした(笑)

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