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とんでもないご褒美

 それから、私はクラリンとラブを集めた。ディルクがあらかじめ話を通しておいてくれたので、王城で国王陛下、王妃様、側妃様からラブをいただき、父、宰相執務室やミルフィパパであるローレル公爵、カーライル公爵からもラブをいただいた。


 まさかのクリスティア上位貴族・王族コンプリートである。


 さらにディルクが呼んでくれたアーク、ダン、トムじいさん、領民の皆様からもラブをいただけた。




「やあ、待ってたよ」


 そして本日のラストはお義父様。しかし、お義父様の話を聞こうとしたら、クラリンが待ったをかけた。


「ロザリンとディルルンにご褒美があるの。だから待って欲しいの。ディルルンを呼んで欲しいの」


「ご褒美?」


 なんかご褒美貰うようなことしたっけか?勇者をやりきった件でシヴァから報酬貰ってるし、別に心当たりはないけど。


「ご褒美なの。ミスティとメガネと筋肉とクラリンからのご褒美なの」


 待て、後半。メガネと筋肉て。インジェンスとスレングスが泣くぞ?


「え?」


「ロザリンはシヴァだけの勇者じゃないの。クラリンのラブ集めも手伝ってくれてるの。だから、たくさんたくさんありがとうを返したいの。ロザリンはディルルンが喜ぶと喜ぶから、ディルルンが嬉しいものを用意したの」


「…そっか」


 私は覚悟を決めた。シヴァ以外の神様からの贈り物とか厄介事の気配しかしないが、何が来ても受け止めようと決意してディルクを呼んだ。


「こっちなの」





 クラリンが私達を連れてきた場所は…


「え?ここって…」


「まさか…」


 そこは、薔薇に囲まれた墓地だった。かつて…生前女性が愛した薔薇を周りに植えていた。

 その中に、光の薔薇もあった。


(ゴッド)変身(チェンジ)!!ミラクルクルクラ☆クラリンリン☆」


 クラリンに桃色の光がまとわりつき、ハートのエフェクトと共にクラリンのコスチュームが変わっていく。


(ラブ)(ゴッド)☆ミラクルクラリン、降臨☆☆」


 クラリンは見事に決めポーズをとった。


「ブラボー!ブラボークラリン!!」


 私は惜しみない拍手と称賛をクラリンに送った。クラリンは私に投げキッスをした。


「サンキュー、ロザリン!」


「…さっきから気になってたんだけど、あのおじいさんは何者なの??」


「ええと、新しい愛の神様…だよ」


「へー」


 お義父様はディルクの説明を聞きつつ、死んだ魚みたいな目をしていた。気持ちはわかるけど、クラリンは本物の神様なんですよ、お義父様。


「愛と!魔法と!知識と!力!!神の奇跡よ!!願いを叶えよ!!」


 クラリンの魔女っ子ステッキからピンクハートの光が溢れ、光の薔薇から女性が現れた。


「はー、よく寝た。あれ?」


 首をかしげる金髪ケモ耳美女。どっかで見たことがあるような気がする。誰かに似てるんだよね…シュシュさん…には似てないし……


「かあさん…?」

「ディジャ!!」


「え?」


 かーさん?ディジャさん??え??


「あなた…それにディルク?ディルクなのね?大きくなって……」


 え?ディジャさんて…ディルクのお母様で??なんで金髪…いや、むしろ……え??まって、すごい混乱してる。黒豹の獣人だったディルクのお母様??パツキン??ダメだ、考えがまとまんない。


「ああ…夢のようだ…再び君に会えるなんて…」


「私もよ…ずっと貴方達を見守っていたわ」


「かあさ…うっうう………」






 神様達、マジでとんでもないご褒美をくれやがりましたよ!??



 死んだ人を生き返らせたのか!?クラリンに目で訴えると、クラリンは首を振った。


「あの子は薔薇に愛されたから、光の薔薇の精霊になったのよ。生まれる時期を早めて、期間限定…あのディルルンパパが生きてる間だけ生前の記憶を保ったままにしてあげたの。ロザリン、嬉しい?」


 歓喜して泣くディルクに、お義父様とお義母様。幸せそうな家族に、自然と笑顔になる。


「…ありがとう。とても素敵な贈り物だったわ。ミスティア達にもお礼をいっておいてね」


 心から神様達に感謝して、クラリンに笑いかけた


「うふふ、ラブもゲットしたの」


「いつのまに」


 クラリン、ちゃっかりしてます。


「でもいいの?人を一人転生早めちゃうとか、やっていいわけ?」


 明らかに駄目な気がするんだが、大丈夫なんだろうか。しかも記憶を保持したままとか、ほぼ生き返ったようなもんではないか。


「大丈夫よ。そもそもロザリンがそれ言っちゃう?」


「はい?」


「ロザリンママ、のーきん英雄、スイ、ハル、アリサ、ハク、ラヴィタン、ユンユン…数えきれないほどのウルファネアの人達……そして、全世界の人々……心当たりは?」


「あるけどありません!!」


「ロザリンが救った命達よ」


「がふっ!?」


 そんな気はちょっとしてた!でも聞きたくなかった!


「ロザリンは世界を救ったの。このぐらいの贈り物では…本当なら足りないくらいよ」


「いえ、充分ですよ。ディルク、喜んでるし」


「そこがロザリンの良いところよね」


「え?」


「ロザリンド!」


 あ、ディルクが呼んでる。


「ロザリン、今日はラブ集め終わりにしましょ。ディルルン達、水いらずがいいと思うの」


「そうだね。じゃあクラリン、また明日」


「また明日なの」


 クラリンは飛んでいった。そして、ディルクが満面の笑みでまた私を呼ぶ。


「ロザリンド!来て!母さんに紹介したいんだ!母さん、この子が俺のお嫁さんでロザリンドって言うんだ」


「はじめまして、お義母様。ロザリンド=バートンです」


「まあああ、可愛らしいお嬢さんだこと!あの初恋の女の子に気持ち悪いってフラれちゃったディルクにこんなに可愛らしいお嫁さんが…!」


 お義母様、ディルクが涙目なのでその話はやめてあげてください。私もハグされちゃいました。誰かに似てると思ったら、ディルクそっくり。金髪だからすぐには解らなかったんだなぁ。


「ずっと見ていたけど、知らないこともたくさんあるの。私が居なかった間のこと、たくさん教えてちょうだい」


 こうしてディジャさんは復活し、執事さんや皆さん、泣いて喜んでいました。そんなわけでバートン公爵邸はとても賑やかになったのでした。


 まさかのネタに作者もびっくりですが、ロザリンドが未来をねじ曲げまくったのに比べれば、大したことないという…ロザリンドが絡むと相変わらずシリアス先輩がお仕事できません。

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