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私をレディにしてください!(装備編)

 ダンスはもう問題なく、後はフィズと練習して仕上げるということになりました。


「とりあえず、故ちゃん着替えようか」


 故ちゃんは楽だからと男子制服を着ています。


「着替える?」


 故ちゃんは首をかしげました。


「故ちゃんは立ち居ふるまいも男性的なところがありますから、日頃からスカートを着用することで自然な女性的立ち居ふるまいをマスターするのです!」


「なるほど」


 しかもシルベスターの女子制服は略式ドレスでロングスカートタイプ。練習にはもってこいだ。マナーの授業時にわざわざドレスに着替えなくても問題ない。


「お家でもちゃんとスカートはいてね。なければ私が仕立てます」


「家でもか!?」


「自然な女性的ふるまいは一朝一夕では身につきませんよ」


 私やミルフィ、レティシア嬢なんかはもはや染みついているレベルだ。







 というわけで、レッツらお着替え!






「お、落ち着かない…女子は何故こんなに防御力が低そうな装備で平気なんだ…」


 スカートをおさえてプルプルしている故ちゃん。


「てい」



 秘技、スカートMEKURI!!

 説明しよう!これは小学生男子が気になるあの娘についやってしまう悪戯奥義である!


「きゃあああああ!?」


「ロザリィ!?」

「ロザリンド嬢!?」


 故ちゃんはへたりこんだ。


「いいですか、故ちゃん。油断すればこのような辱しめにあうのです。だからこそ、女子は油断せず、美しい立ち居ふるまいで不埒な輩を追い払うのです!誰も私にスカートめくりをしかける愚か者はおりません!」


「…ロザリィになんて、色んな意味で無理ですわよね…」


「そうなんですか?」


「仮に成功しても、確実にディルク様が激昂してひどい目にあいますわよ、相手が」


「…そうなんですか」


 ミルフィよ、どういう意味だい?だが間違ってはいない。



 この作戦は、わりとうまくいった。スカートが頼りないせいか歩行も小股になるし、足さばきにも自然と気を使う。もとから姿勢がよく、身長が高い故ちゃんはすらりとして美しかった。


「可愛いよな…」

「ああ……」

「ユエ様…今日も凛々しいですわ……」


 その結果、男女問わず故ちゃんファンが増えた。スカートに慣れずに戸惑い、スカート姿を誉められてアワアワする姿が普段の凛々しい感じからいい意味でのギャップとなったらしく、とてもモテた。


「故ちゃん、婚約者いるから。あのスカートも婚約者のためだから」


 基本的に出そうな杭は私があらかた叩いておいたが、根強いファンは残った。さらに、全く予想外のネタが飛び出してきた。


「ロザリンドちゃん、故ちゃんがスカートはくようになって、最近腐界では女装男子が流行ってるッス」


「この異界の住人めぇぇ!腐った世界なんぞ知らんわ!むしろお前が布教しただろ、女装男子!!」


「てへぺろ」


「この馬鹿娘ぇぇぇ!!」


 凛花には鉄拳制裁をしておきました。腐った女子の流行りなんか知らんがな!!

 ふて腐れて机に伏せていたら、故ちゃんが来ました。


「ロザリンドちゃん、フィズにスカートが似合うと誉めてもらったんだ!ロザリンドちゃんが仕立ててくれた服だからお礼を言いたくて…」


 故ちゃん、可愛い。私は故ちゃんにハグをしました。凛花のせいで精神的に疲れた私は、故ちゃんに癒されました。しかもいい匂いでした。


「良かったね、故ちゃん」


「ああ、ありがとう!」


 そして私は故ちゃんにどんな服が似合うかや、コーディネートのコツ、今の流行りについて話していたのですが……


 たしーん、たしーん。


「……………ん?」


 たしーん、たしーん。


「………………え?」


 たしーん、たしーん、たしーん。


 うちのマイダーリンがちょっと離れた位置でこっちをみつめ、尻尾をたしたしとしています。何がお気にめさなかっ………故ちゃんにハグしたからか!


「ディルクさんはどうしたんだ?」


 こっちに来ないディルクに首をかしげる故ちゃん。


「あれは、俺というものがありながら他の子にハグするなんてヤキモチやいちゃうにゃんという状態なんです」


「……………そうなのか?」


「多分」


 故ちゃんに残念なものを見る目で見られた気がします。私はディルクの側に行きました。


「ディールク」


「…………(ぷい)」


 プイをしつつ、尻尾は私に絡んでいます。うん、マイダーリンは今日も世界一可愛いです。


「ディルクに会えて嬉しいなぁ、ぎゅーしてほしいなぁ」


「ちょっとだけ、なら…いいよ」


「よっしゃあ!」


「わっ!?」


 勢いよく抱きつく…いや飛びついてもディルクはちゃんと抱きとめてくれます。


「…ロザリンドちゃんの解釈は合っていたようだな。大切な奥方に失礼をして申し訳ない」


 故ちゃんにハグしたのは私なのに、故ちゃんは頭を下げた。


「いや、その…こちらこそ申し訳ない…妻の事になるとどうしても我慢がきかなくて…」


 ディルクも謝罪した。その後ディルクも混ざってフィズが好みそうな服なんかの話題になりました。


 故ちゃんがいなくなってから、ディルクが言いました。


「ロザリンド、ユエさんにあまり服は用意しない方がいいかも」


「え?」


「フィズから苦情が来てる。ユエさんの服は自分が用意するから不要だってさ。ユエさんが急にモテてるってカーティスがばらしたし、なんか可愛すぎて落ち着かないらしいよ」


「……そう」


「あ、悪い笑顔」


 私はその後、故ちゃんにフィズの好みにどストライクな清楚可憐系コーデをプレゼントしました。靴から小物までセットです。

 悔しがったフィズが故ちゃんとお買い物デートをしたと後に報告されました。故ちゃんはとてもフィズに誉められたらしくご機嫌です。いい仕事したよ、私!

 最近俺の婚約者が可愛くて色々辛い。

byフィズ

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