先輩の教えと実践
ラヴィータから実践で力の使い方を教わることになりました。
「要は絡まりをほどく感じなんだ。ためた力を『糸を正しい形にするために使う』イメージだな。あのキラキラ王子は難しいから、ユエはどうだ?あっちはそんなに複雑でもない。」
「わかったわ」
一応本人に了承を得ることにしました。
「…あまり他者の力を使いたくないのだが…」
「あくまでも愛の神の力はきっかけにすぎないし、神の力は人の祈り…つまりは人間の力だ」
「なるほど」
「それに、愛の神の力を復活させるためでもあるの。だからできたら協力して欲しい」
「ならば、私はかまわん」
故ちゃんは男前です。イケメン女子です。
「クラリン、今の彼女にふさわしい結晶を選べ」
「わかったわ!行くわよユンユン!!」
クラリンがピンク色に輝いた。
「神☆変身!!ミラクルクルクラ☆クラリンリン☆」
クラリンに桃色の光がまとわりつき、ハートのエフェクトと共にクラリンのコスチュームが変わっていく。
「愛の神☆ミラクルクラリン、降臨☆☆」
クラリンは見事に決めポーズをとった。
「ブラボー!ブラボークラリン!!」
私は惜しみない拍手と称賛をクラリンに送った。かつて私が考えた変身台詞とポーズにアレンジを加え、更なる高みへと同志は到達したのだ。
「素敵ッス!!ワンダホーッスよ、クラリン!!」
「サンキュー、ロザリン!サンキュー、リンカー!!」
クラリンは投げキッスで私たちに応えた。
「………ついていけないのだが…」
「大丈夫だ、私もよくわからん」
真面目二人はおいてけぼりです。ノリが悪いですよ。こういうのはアレです。考えるな!感じろ!的な奴ですよ。
「勇気と!素直さを!貴女に!!」
奥方様&賢者のラブと母のラブをクラリンはチョイスした。
柔らかな光が故ちゃんを包んだ。
「なんだろう…優しい力だな…うん、フィズと話してみるよ。今なら…ちゃんと話せる気がする」
故ちゃんは穏やかに微笑んで去っていった。
「この場合、結果はどうなったらわかるんです?」
「クラリン…手を」
「いやん」
「…………………」
ラヴィータがイラッとしたのが伝わった。
「短気な男はモテないわよ」
「モテないわよ」
「…………………………」
ラヴィータは更にイラついた…が、高らかに宣言した。
「僕はリンカただ一人にモテればいい!ロザリンドとクラリンにモテてもしかたない!!リンカの愛だけが欲しい!!」
「ラヴィータ君!自分はラヴィータ君にメッロメロッスよ!!」
ラヴィータが勝ち誇った。くそ、流石は愛の神様だな!
「とにかく、やるぞ!力を与えた人間の様子を見ることができるんだよ!」
ラヴィータがクラリンの力を使ったらしく、空間に故ちゃんの様子が映し出された。
多分騎士団の団長室かな??人払いをしてあるみたいですね。
「フィズ、好きです」
「ブフォ!?ぬななななな何を!?」
まさかの先制パンチに我々も驚愕しています。前フリ無しのスーパーストレートです。フィズに至っては動揺しすぎて書類が破けたよ!几帳面な彼があんなことをするなんて、相当に動揺したみたいですね。
「フィズ「ユエは、勘違いをしている」
「してない」
「している。俺は確かに…友人夫婦のように愛し愛される存在が欲しいとずっと願っていた」
「そして、私はそれに応えた。私は心からフィズを好きになった。何故信じてくれないんだ!私の心は私のものだ!私は私の意思で、貴方を愛している!その生真面目さも、融通のきかない所でさえも!!」
故ちゃんは苛立たしげにフィズの机を叩き、睨みつけた。
「……ユエ…本当に?」
フィズは信じられない、と言いたげだ。確かめるように故ちゃんの頬に触れた。
「私は本気だ」
机を挟んで向かい合っていたが…故ちゃんは身をのりだしてフィズにそのままキスをした。
「な…」
「私の初めての口づけだ。どうせなら、責任とって結婚してくれ」
「……………………わかった。とりあえず婚約しよう」
「は?」
「覚悟を決めた」
フィズは席を立つと故ちゃんにひざまづいた。
「ユエ=アモウ…私は貴方を心から愛している。私の婚約者となってほしい」
「喜んで!!」
故ちゃんは満面の笑みでフィズに抱きついた。フィズも故ちゃんを抱き上げ、幸せそうにキスをする。
後で聞いたのだが、フィズはずっと故ちゃんが神様の力かなんかで自分に好意を持っているのではないかと思っていたらしい。
「団長、おめでとう!」
「リア充爆発しろ!!」
部屋に押し掛けた騎士団員達にもみくちゃにされたフィズがキレるまで、あと5秒。
故ちゃんは無事に恋を叶えたようだ。ホッとしてクラリンを見た。
「クラリン!?」
クラリンが桃色に輝いている。なんか、すげぇ見覚えのあるシルエットですよ………尻じゃなく、桃っぽいんですが。
クラリンが桃になった。
「ラヴィータ君や、これは一体」
「知らん。サナギ的な何か……なのか??」
「これ、割るべきっスか?待つべきなんスか??」
「待て。何故割る」
ラヴィータがひきつっていた。彼からしたら、かの有名な桃から生まれた勇者の話を知らないのから、私たちの行動がサナギを割る暴挙に出た小学生男子に思えたのだろう。
「いや、川に流すべき?」
「それッス!」
「いや、どれだ!お前達はクラリンの友達じゃないのか!?」
「友達です」
「むしろ心友ッスよ」
そんな馬鹿なやり取りをしていたら、桃が輝いてまっぷたつに割れた。
「ひとーつ、人に愛を教え。ふたーつ二人の幸せを説く。みーっつ皆をラブラブにしてみせよう!愛桃太郎侍!!クラリン!!」
「「そっちかよ!!」」
即座につっこむ私と凛花。ラヴィータはオロオロしている。
故ちゃんの恋を叶えた結果、クラリンは侍になりました。
どうしてこうなった!??
この話はいったいどこに向かうのか…作者にもわかんなくなってきた今日この頃です。とりあえず、つねに明後日な方向な気がしてきました。
あと、ストックが切れたんで毎日更新は難しいかもしれません。




