強襲のロッザリンドオオ!
ハリセンの一撃により正気に返った真琴。すぐに人を呼んでくれて、応接室らしき部屋に通された。すぐにお茶を出される。うん、なかなかいいお茶だね。ディルクもすぐ来てくれたので、隣でお茶を飲んでいる。シープルちゃんも一緒だ。左右を素敵なモフモフに挟まれて、幸せ~。向かいには難しそうな表情の真琴。
「ロザリンド、ディルク様、本当に申し訳ありませんでした!」
そして、真琴に勢いよく頭を下げられた。
「ふぇ?」
モフモフに意識がいっていたのもあり、いきなりすぎてビックリしてしまう。ディルクとシープルちゃんの尻尾がビビビビーンとなった。モフかわゆす。
「完全に、こちらの手落ちだ!貸し切りにするなりすべきだった!」
ああ、それについてねー。でも、予測しようがない事態だったからなあ。
「まあ、私達は無事だったから気にしないで。今回はそっちが悪いわけじゃないから。クリスティアにも実家にも、ちゃんと伝えたし大丈夫」
魔については悪用する馬鹿が現れると困るから情報規制もあるし、仕方ないと思う。私達以外は無事にこちらへ到着したそうで、何よりだ。異世界初のハイジャック事件で、死傷者ゼロ。素晴らしいじゃないか。
「……ああ、本当に無事で良かった。凛さんも急に亡くなっちまったから……」
ガチで心配されていたようだ。これ以上謝罪されても居心地が悪いので話をそらすことにした。
「そういえば、シープルちゃんについてなんだけど」
忘れ去られた村についてと、村人がシープルちゃんを連れてきた理由を説明した。シープルちゃんを拐った村人からの話も伝えた。シープルちゃんをいじめるクソガキが多数いたらしい。魔力だけではなく、こんなに辛い思いをするぐらいならと拐ってきたそうだ。しかし、シープルちゃんは王族なんだろうか。ヤバいなー。どうしよう。
「………そうか……」
今度は真琴がシープルちゃんについて話してくれた。シープルちゃんはウールンさんのお姉さんの子供。本来ならば王族だが、お姉さんは駆け落ちしたので平民として暮らしていたそうだ。シープルちゃんも産まれたし、そもそも父である国王陛下はお姉さんの結婚に反対していたわけではなかったそうだ。なので城に里帰りしていたら、事件が起きた……らしい。
「シープル、すまなかった」
「マコト様はなんにもわるくないです!」
健気なシープルちゃんにほっこりしていたら、太った豚……じゃなくて羊?の女性がノックもなく部屋に入ってきた。
「あぁら、臭い!高貴なるユーフォリアの血を汚す、猿と犬の臭いがするわ!!わぷっ!?」
やかましいので特製消臭除菌スプレー(トイレ用)を吹きつけてさしあげた。消臭殺菌してあげるなんて、私ってば親切ぅ!!
「な、何をするのよ!」
「臭いとおっしゃるので消臭して差し上げましたのですわ」
にっこりと微笑む私。隣でディルクがガクブルしている。え?猿呼ばわりされたから怒るのは正しいよね?
「………え?」
「わたくし、クリスティアからユーフォリアに招かれましたの。どこのどなたですか? 参考までに御名前をうかがっても?」
丁寧に、私は国賓やぞ。国王陛下にチクるから、名を名乗れやゴルァと伝えてあげた。国のためにもこーゆー問題児は早めに摘んであげないと。私ってば、親切ぅ!!
「わ、わたくしはウルリア公爵夫人ですわ。申し訳、ございません。非礼をお許しください」
ふむ、そこまで馬鹿でもないらしい。きちんと謝罪をしてきた。
「わたくしへの謝罪は、お受けいたします。では、わたくしの親友達にも謝罪していただけますか?」
「………………………………は??」
ポカンとするウルリア公爵夫人と真琴とシープルちゃん。当然だよね?馬鹿なの?うん、馬鹿にもわかるように説明してあげよう。私ってば、親切ぅ!!
「だって、今ウルリア公爵夫人が謝罪したのはいきなりノックもなしに入室したあげく、他者への悪口をわめき散らした事………つまりわたくしへの非礼だけですわよね?親友達を貶められて、わたくし非常に不愉快ですわ。親友達への謝罪を要求いたします」
うわあ、ウルリア公爵夫人ってばスゴい顔してるぅ!リアル般若だわ!でもでも、絶対に許さないよ。だからわざわざ親友って言ったんだもの。
「い、いや……お……私は、別に……」
真琴に笑顔で威圧した。弱腰になってんじゃねーよ。あれ、真琴君たら、なんでそんな究極の選択突きつけられたみたいな顔をしているのかな?こういう手合いに弱腰はよくないよ。
「あ………謝ってください!あた……私のお父さんは臭くなんかない!優しくてカッコいい、大好きなお父さんなんだから!!」
真琴と違い、毅然と言い放ったシープルちゃん。よく言った、シープルちゃん!ウルリア公爵夫人はシープルちゃんに謝罪したくないらしく、ちょっとあがいてみせた。
「ま、マコト……様、はともかく、その娘はお嬢様の親友とは思えませんわ。わたくしにも公爵夫人としての矜持がございます。平民風情に頭を下げるなど、あってはなりませんわ」
「かしこまりました。真琴、今すぐユーフォリア国王陛下にご挨拶をしたいです。ユーフォリアはクリスティアと戦争がしたいのか、確認しなくてはなりませんわ」
「は!?」
「な!?」
「え!?」
何故真琴とシープルちゃんもびっくりしたのかにゃー?ロザリンドわかんなぁい。
「だって、ウルリア公爵夫人はわたくしに『この件を揉み消さなくていいから謝罪はしない』とおっしゃったのでしょう?」
違うの?と首をかしげる。だって、私よりも二人に……特にシープルちゃんへ謝罪して欲しいんだもの。あっはっはー。オバサン、顔が真っ赤だわぁ。愉快痛快!そう簡単には許してあげないんだから!めっちゃ楽しくなってきたよ!まだまだこれからだよね!
長くなっちゃうので、いったんここで切ります。その代わり、続けて更新しまーす!




