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新婚強制スカイダイビング旅行

新章突入です

 引きこもリンド一日目。癒しのマイダーリンが言いました。


「ロザリンド、新婚旅行に行こう」

「行く!!」


 引きこもリンドは即座にちょロザリンドにジョブチェンジしました。わーい、新婚旅行だ!


「どこに行くの?」


「先ずは……ご招待を受けたモフモフ接待かな。向こうから打診があって受けたんだ。後はいくつかピックアップしたから、二人で気ままに旅をしよう」


「うん!」


 すぐに荷造りをして、レッツ旅行!羊のモフモフベイビーをモフりに、出発!





 ディルクがきっちり旅券を準備してくれて、飛空艇での移動になった。お高かっただろうに、貴族用席……いわゆるファーストクラスだ。


 優雅な空の旅………にはならなかった。私は忘れていたのです。やたらとトラブルに巻き込まれるということを。ロザリンドが歩けばトラブルに当たるとか、トラブル吸引力の変わらないただ一人のご令嬢(笑)とか言われていたことを。





「動くな!全員手を上げろ!!」


 なんと飛空艇が世界初のハイジャック犯に占拠されました。何も今日じゃなくてもいいじゃないか。


「この中に、姫勇者ロザリンドとかいう女がいるはずだ!」


 私狙いだったか。そりゃ、今日じゃなきゃダメだわ。さて、どう動くべきか。ディルクをチラリと見ると、名乗り出るなと首を振った。


「………こいつは、ババアだから違うな」

「誰がババアですって!?」


 ハイジャック犯はおば様にビンタをくらったが、やり返したりはしなかった。あくまでも私が目的ってわけね。


「お前は………小さすぎる」

「………………(じょわああああ)」

「ぎゃああああああ!!漏らしやがった!」


 そりゃ、一歳か二歳の小さすぎる子だからね。覆面の怖いおじさんに囲まれたらそうなるわ。泣かなかっただけえらいわ。


「思ったより、いるな……」


 いやいや、ターゲットがわからないとか、どうなのよ。身体的特徴ぐらい聞いておきなよ。目立たないように魔法で認識阻害をかけているので、実は私と同年代の女子の中に、私自身はいない。


「この中にはいないんじゃね?確かこう………もっと美人なはずだろ?」


「馬鹿!今日、この場にいるのは確実なんだ!トイレかもしれねえ!お前、ついてこい!!」


 トイレに人は居たが、ズボンをおろしたままのおじさんだった。不幸にも至近距離で見てしまった女の子は悲鳴をあげた。


 チラリとディルクを見る。このままにしておくわけにはいかない。ディルクも頷いた。男達を瞬時に気絶させ、縛って転がす。人質にされると困るので、客室の扉は魔法で封印しておいた。


 飛空艇の操作デッキには、明らかに今までのハイジャック犯とは毛色の違う奴がいた。


「ウンバラウンバラ、ウンバアアアアア!!」





 どうしよう。人語が通じない気配がする。






 毛色というか、どちらかの部族の方ですかねって感じ。こう………派手なカメレオンみたいな仮面をつけて、上半身は裸。アクセサリージャラジャラで、腰ミノ。


「ロザリンド、どうにか意志疎通がはかれないかな?」


「いや、明らかに人語が通じない気配がしますよ」


「カバディに動きが似ている気がしたんだけど」


「……………………んん………」


 いや、まあ、確かに似ているけどさ………。





「ウンバラウンバラ、ウンバアアアアア!!」

「カバディカバディカバディカバディカバディ!!」


「ウンバラウンバラ、ウンバアアアアア!!」

「カバディカバディ、カバデイイイイイ!!」


「ウンバアアアアア!」

「カバデイイイイイ!」


 よくわからんが、多分通じた。


「いや、助かったよ」


 仮面の中身は普通の……いや、変なおっさんだった。おっさんは考古学者でとある遺跡を発掘していたら黒いもやにとりつかれたらしい。そして手下を増やして私に襲撃したそうな。


「意識はあったんだが、身体が動かなくてね。君の謎の動きに怯えてどこかへ行ってしまったよ」


 わかりあってなかった。


 いや、待て。あれが魔のカケラだったとすると……?飛空艇が激しく揺れだした。


「き、機関室に異常です!」


 どうやら飛空艇を落とすつもりらしい。私達はともかく、乗客がまずい。


「ディルク!」

「うん!」


 あっさりと魔を倒した、と思いきや………。


「うわ!?」


 最後の力を振り絞ったのか、機体に穴が開いてしまった。魔物にほぼ会わない高度にいる飛空艇。気圧調節をして地上と同じ気圧にしている。飛行機と同じく、穴が開けば猛烈な気圧変化で穴に吸い込まれる。

 位置が悪かったのと、衝撃で体勢を崩したため、私は空中に投げ出されてしまった。


「ロザリンド!」


 迷いなく私に手を伸ばし、一緒に空中へダイブしたディルク。飛空艇の穴を凍らせて塞ぎ、コウか闇様(ユエ)を喚ぼうとしたが、反応がない。


「ヴァルキリー!」


 ヴァルキリーを飛空艇にしようとするも、うまく作動しない。比較的簡単な構造であるパラシュートにはできた。


「ディルク、つかまって!」


 こうして、私の新婚旅行は不時着から始まったのだった。

ウンバラウンバラ、ウンバアアアアア!!


気に入りました(笑)

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