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ようやく普通?の結婚式

 あまりにもクラリン七分割事件とつーさん凶悪兵器化事件が衝撃的だったので、流石の私もどうしていいかわからない。しかし、うちの母は強かった。


「はいはーい、ロザリンドちゃん。戻ってらっしゃい。ディルクちゃんとの結婚式、終わってないでしょう?」


「あ、はい」


 母が手を叩いたのでようやく意識が辛い現実へと戻ってきた。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。つーさんがああなったのは凛花が腐っているからだ。うちのヴァルキリーは正しく萌え系だったじゃないか!クラリン七分割はクラリンだからしかたない!!よし、復活!!


「クラリン、結婚式の邪魔したらメッスよ」


「クラリン、反省なの。おとなしくリンカーと参列するの」


 最初から、そうしていただきたかったです。


「では、神父様。お願いいたします」


 今回の神父様はローゼンベルクで孤児院のようなこともしていたお方。私財をなげうって子供を育てていたんだよ。今はラビオリさんの孤児院と統合したので神父をしつつ孤児院を手伝ってくれています。信仰神はシヴァ。あいつ超適当な神ですよと言いたかったけど、やめておいた。

 この未来を掴めたのは、シヴァがずっと抗い続けてくれたおかげでもあるから。


 私は、ロザリアが知らない未来の先までディルクと歩き続けていくんだ。そう決めた。


「行こうか、ロザリンド」


「うん」


 ディルクにエスコートされ、祭壇に立つ。


「新郎、ディルク=バートン。汝は病める時も、健やかなる時も、この者を妻とし生涯愛し、慈しむことを誓いますか?」


「誓います」


「新婦、ロザリンド=ローゼンベルク。汝は病める時もこの者を夫とし生涯愛し、慈しむことを誓いますか?」


「誓います」


 今ではもう、ロザリンド=バートンになれちゃったからローゼンベルクに違和感があるなぁ。それがなんだか嬉しい。


「では、誓いの口づけを」


 ディルクがそっと私のヴェールを外してキスをした。歓声がおこる。


「今ここに、新たなる夫婦が生まれました。異種族ということで、困難もあるでしょう。ですが、二人はその困難すらも越えるでしょう。私も彼らに救われました。獣人と人に垣根などありません!二人に心からの祝福を!!」


 神達は流石に自重したのか、白い羽根だけが降ってきた。


「おお……神も二人を祝福しています」


「……ポッポちゃん、面倒な上司(かみ)へのストレスでハゲてなきゃいいけど……」

「にゅふっ………や、やめて。神聖なものから一気にこう……残念すぎる感じに……しかもこんな笑っちゃいけない場面で、勘弁して!」


 にゅふって可愛い。でも、悪いことしたとは思ったので、素直に謝罪した。


「ごめん。つい……こんなにたくさんの羽根……ポッポちゃん、むしられたのかな?」


「……ロザリンド、羽根を生やす薬か胃薬を用意しておこうか」


「…………………………うん」


 皆が感動する神秘的な場面のはずが、私のせいでしんみりしてしまった。とりあえずポッポちゃんの無事を祈ったら、声が聞こえてきた。


【ハゲてませんし、むしられてませんから。あれは神の祝福で、私の羽根ではありませんから】


「そっか。ついでだからポッポちゃんの負担が減るよう祈っとくね」


【神がやる気を出すと大抵ろくなことにならないので、お気持ちだけ受け取っておきます】


「そっか……無能な上に余計な事ばっかりしてくる上司がいると大変だね。今度会ったら全力でシメとくわ」

【お願いいたします】


 返事が早いな。なんか、ポッポちゃんイライラしてないか?


「……念入りにシメとくわ」

【お願いいたします。あんのクソ神、私がちょっと目をはなした隙に他の神とケンカして、別の世界で勇者の武器を量産しやがりまして……神々の代理戦争をやらかしたのを、つい最近まで隠蔽してやがったんです。そればかりか……】


 これ、長くなるやつだな。しかし、ろくなことをしない奴だなぁ。次会ったら、よくシメとこう。カバディも視野に入れておこう。

 だが、この羽根がポッポちゃんのではなくてよかった。


「ディルク、ポッポちゃんはハゲてなかった」


「そっか、よかった。じゃあ行こう」


「うん」


 ディルクにエスコートされて元来た道を戻っていく。


「じゃあ、皆!やるよ!」


 兄の号令で、攻略対象メンバーが前に……いや、ミルフィとシーダ君もいるな。


「先ずはアタシからね!」


 アデイルが手を振ると、バージンロードの隙間から土がモコモコと出てきた。


「次は、俺!」


 ヒューが風魔法で土を整え、何かをまいた。


「シーダ君!」

「応!」


 シーダ君が兄の声に応え、二人の魔法でヒューがまいた種が一斉に発芽し、緑のアーチとなる。


「アルフィージ様!」

「任せてくれ」


 ミルフィが霧を作り、アルフィージ様がその水分をいくつも球状にしていく。


「アルディン様!」

「ああ!」


 エルンストが闇魔法で周囲の光を消し、アルディン様が光魔法の灯りをいくつも水球内に作る。幻想的な光景となる。


「さあ、仕上げだ!」


「「おう!」」


 ジェンドとジャッシュの魔力を吸い、草のアーチから花が咲く。アルディン様の魔力光は金だが、この花の光は銀色だった。


「わあ………」


『おめでとう、ロザリンド』


 皆からの祝福を受け、自然と笑顔になった。ゆっくりと美しいバージンロードを進んでいく。本当に、怖いぐらい幸せだと思った。

これを書いていて、毎回毎回何かが起きてごめんよ、と作者が思いました。今回は(多分)もう起きない……はず、です。

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