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ありがとう、皆

 少しずつディルクに近づいていく。


「おめでとう、ロザリンドちゃん」


「おめでとう、ロザリンド」


「「姉様、おめでとう!」」


 家族が笑顔で祝福してくれる。


「おめでとう、ロザリンドちゃん!」


 新しい家族……お義父様やお義母様も、祝福してくれている。そう、こんな結婚式が良かった。豪華な料理もドレスもいらない。ただ、親しい人達に祝ってもらえたら良かった。

 でも、ワガママだってわかっていたから言わなかった。そんな願いを叶えてくれたのは……彼だ。


「行きなさい、ロザリンド」


「はい!」


 勢いよくディルクにタックルをかました。もはやこれはハグではなくタックルである。


「ハイヒールで走るなんて、危ないよ?」


 そんなタックルをものともせずに抱き上げてくれる旦那様。本当に大好き!


「大丈夫!慣れてるから!はぁ、モフモフ……」


 軽々私をお姫様抱っこするディルク。ちゃっかり耳をモフモフする私。柔らかくて気持ちいい。


「くすぐったいよ」


 耳がピルピルと震えて、逃げようとする。ふはは、よいではないか。


「えへへ~、ディルク大好き!」


「…………うん。俺もロザリンドを……好きなんかじゃ足りないな。愛してるよ」


「ぴっ!?」


 耳元でイケボはやめていただきたい。しかも、ディルクはお姫様抱っこのままで祭壇まで私を運ぶ。祭壇にたどり着いた瞬間、光に包まれた。




 そして、空から神々しいクラリンが降りてきた。




『……………………』


 呆然とする一同。残念なことに一番クラリン耐性がある私が真っ先に復活した。それに、きっと頭のどこかでこうなる気がしていたんだよ。絶対神の誰かは来るだろうなって。やっぱりかって感じだわ。


「ロザリン、おめでとう。クラリンも、皆も反省したの。そして、ジャンケンで権利を勝ち取ったの。だから、クラリンを含めて皆から、お詫びなの。そなたの願いを、一つだけ叶えてやろう」


 そこで結婚式に乱入しない選択肢がない辺りが神様達が迷惑と言われる所以だよね。そして何故、そなたの~からシェン□ンボイスになったの?クラリン、七つのつかもうぜ的なボールを知ってるの?実は現代人だったの??

 願い事については心の準備ができていた私は、ディルクに抱っこされたままで願いを言った。


「凛花のつーさんにも神の力をください」


「はぁ!??」


 凛花よ。仕返しだよ。しかし、純粋な嫌がらせだったこの行動が私達の…いや、世界の運命を変えただなんて今の私には知るよしもなかった。嫌がらせだった。


「よかろう」


 クラリンの両目がビカッと光った。凛花のつーさん(現在はブレスレットモード)は相変わらず杖なのかが怪しいが、光輝いた。


「つーさん!?つーさああああああん!?」


「そなたの願いは叶えてやった。では、さらばだ」





 クラリンが七分割して飛び散った。






「クラリィィィン!??」

「クラリィィィン!?つーさ……あああもう、どうしたら!??」


 予想外すぎる展開に、もう叫ぶしかできない。誰だよ、わりと予想してとか言ったやつ!予想外すぎるわああああああ!!


「レーダー!?ドラゴンなレーダー作る!?いや、クラリンレーダー!??エルンスト!お客様の中にエルンストはいませんかあああああ!?」


 ディルクの腕から飛び降りて、エルンストを探す。エルンストも困惑していてオロオロしている。


「ロザリンド、落ち着いて」


「待ち人様、落ち着かれよ」





 瞬時に頭が冷えました。





 私の眼前には、筋骨粒々で髭を生やした男性フェロモンをムンムン撒き散らしまくる………バニースーツ風魔法少女服を着たオッサンがいたのです。脊髄反射で一撃でした。自慢の右ストレートです。


「どちら様ですか?」


「……ロザリンド、とりあえず殴り倒してから聞くのはやめようよ」


「いや、つい……」


 こんな珍妙不可思議で胡散臭い男を見たら、まずは右ストレートでいいと思うんだけど……ディルクは優しいね。


「私はリンカ様のつーさんです」


「…………はうっ」

「ロザリンド!?」


 なんてこった!私はまた何の考えもなしにやらかしてしまった!こんな超強力生物兵器を世に生み出してしまうなんて!!

 絶望のあまり倒れる私に、手のひらサイズクラリンが現れた。


「サプライズ成功なの~」


 サプライズ……サプライズ(英:Surprise)とは驚き、不意打ちの意味。

 日本では他者へ不意打ちで「驚き」を与えた後、喜ばせるための計画やそれを実行することの意味でも使われる事が多い。しかし、一般的には悪意を持って他者を辱めたりするための行為にも使用される。正しいな。


「………そうね。びっくりした」


 クラリンはクラリンだし、悪意はないだろう。相当ビビったが、ただのイタズラだ。


「ただ、クラリンが死んじゃうかもってイタズラは今後やめてね」


「く、クラリン二度としないの」


 私の笑顔と殺気に怯えながらもクラリンは約束した。うっかり産み出された超強力生物兵器については、無かったことにしたい。


 なんでこうなった!??

Q・なぜこうなった?

以下から選択せよ


1ロザリンドさんがいらんことをした

2クラリンがよけいなことをした

3リンカがくさっているから



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