元ヒロインとヒロイン(仮)
凛花とラヴィータ、故ちゃんとフィズからもお祝いの言葉をいただいた。
「ありがとう。次の花嫁はどっちかな?」
男性陣がアワアワしているのが面白い。
「私じゃないか?」
「意外とウサメガネ大先生かもしれないッスよ!」
ラヴィータが自分達は後だと宣告されてしょんぼりしていた。フィズは照れている。
このカップル達も色々共通点があるよね。フィズとラヴィータ…の半分である魔は私の敵だった。凛花はヒロインの代役……いや、真のグランドエンドのためのヒロインとして召喚され、故ちゃんは本来召喚されるはずだったヒロインだ。つまり、ヒロイン(仮)と元ヒロインだ。
「なんスか?人の顔をじっと見て」
「いや、凛花はヒロインっぽくないなと」
「自分、ゲームだったら良くてサポキャラ、悪くてモブッスよ。ヒロインとか無理ッス。嫌ッス」
「いやいや、立派にラヴィータをたらしこんだじゃないか」
「人を悪女みたいに言わないでほしいッスよ!人聞きが悪すぎるッス!!」
ヒロインとしての仕事は完遂したし、まともにしていれば美少女と言えなくもないが、腐っているからヒロイン枠って気が微塵もしない。
故ちゃんもどちらかと言えばイケメンっぽいからヒロインよりは親友のサポキャラっぽい。むしろ、百合エンドがありそうだ。
「どうした?しかし、やはりロザリンドちゃんは美しいな。輝いて見える」
「故ちゃん、あのドレスは多分マジ輝いているッス。そしてその理論でいくと、アルディン様はもっと美しくなっちゃうッス!」
「よし、訂正しよう!今日のロザリンドちゃんはとびきり綺麗だ!」
「一気に語彙力が下がったッス!でも、シンプル・イズ・ベストッスね!ロザリンドちゃん、意外に可愛いのも似合ってるッスよ!」
「あはは、ありがとう。個人的にはすごく好みだけど似合わない気がしてたんだよね。着てみたら意外に悪くなかったけど」
そんな風に話していたら、拗ねていたラヴィータが復活してブーケに光の薔薇を追加してくれた。
「その……上手く言えないけど、すごく感謝してる。俺を……俺達を止めてくれてありがとう」
「私はやりたいようにやっただけですよ。自分なりにベストを尽くした結果です。チタはともかく、魔は脅かしまくっていたし」
「………あのカバディは怖かったな。ロザリンド、無表情だったし」
自分で言っといてアレだが、だいぶ黒歴史なので掘り返さないでいただきたい。ソレは間違いなく地雷だ。
「フィズも昔はヤバかったよね」
「………そうだな。本当に………最悪だったよ」
目の前の地雷を回避しようとして、特大の地雷を踏み抜いてしまったあああああああ!!もうディルクも私も怒ってないから気にするなよ!自分に厳しい奴ばっかだなぁ、もう!!
おろおろする私を故ちゃんが救ってくれた。
「フィズ!いつまでもウジウジするな!私がいる!間違っていたと理解し、償おうとしたのだろう!?ロザリンドちゃんもディルクさんもフィズを責めてない!自信を持て!私は誰よりフィズが好きだ!愛している!!だから自分を卑下するな!不幸に酔うな!罪も悲しみも喜びも、私がフィズと分かち合うから!!」
「……本当に、ユエは最高の婚約者だな」
セェェフ!!故ちゃん、ナイスセーブ!!いやあ、嫁…じゃなかった婚約者様の存在って偉大だね!フィズもジャッシュと同じで根っこが真面目だから、いまだにウジウジしてたんだよ!
「当然だ。私が間違えたら、フィズが叱ってくれ」
「……ああ」
ラブラブだなぁ。ディルクをチラ見したら、とても穏やかな表情をしている。フィズがウジウジしだすと自分が原因だけにディルクも困っていたもんなぁ。故ちゃんなら、フィズをウジウジさせないでひっぱってくれるだろう。
凛花も魔を愛して、愛されて、神として本来の姿に戻した。ヒロインの真価は、そういう影響力なのかもしれないなぁ。本人も相手も、成長させて、成長して、望んだ未来を勝ち取る力だ。そういう意味では、二人は立派なヒロインだね。
「どうしたッスか?なんかニコニコしてるッスね」
「んん?二人はやっぱり、立派なヒロインだなぁって思っただけ」
さっき考えた事を伝えると、凛花は呆れた様子になり、故ちゃんは苦笑した。
「その定義でだと、ヒロインはロザリンドちゃん一択ッスよ!」
「そうだな。確かゲームのディルクさんは、もはや別人じゃないか」
「……実は攻略対象は、全員原形をとどめてないッスよ。ルー様とエルンスト君はインドアからアウトドア派に、アルディン様は俺様から輝ける白様に。アルフィージ様は腹黒から真っ黒様に、カーたん達は暗殺者から騎士に寝返り、ジェンド君はママン死去で過酷かつ孤独な生活を回避し……ジャッシュさんは名前も毛色も違うッス」
そういやあ、そんなこともあった。とりあえず、言いたいことがある。
「アルフィージ様は私、何もしてない」
そして私は必死で自己弁護した。他はある程度、私が影響した部分もある。だが、あくまでもきっかけにしかすぎない。私が主導で動いたのは、カーティス達とジェンドとジャッシュだ。あれ、おかしいな?半数以上じゃないか。
「ロザリンドになったことで、色んな変化があったのは確かだろう」
「うっ」
父からも冷静な指摘が入った。あれ?父、優しい笑顔だ。
「私にたくさん幸せを運んでくれたよ。お前がいなかったら、私は仕事にかまけて本当に大事なものを失っていたかもしれない」
父がそう言って母を見た。母の死亡フラグ回避については、話していなかったはずだが……父は変に勘がいいので気がついているのかもしれない。
「そうだな。私もロザリンドちゃんに感謝している。おめでとう、ロザリンドちゃん。君にたくさんの幸せが訪れますように」
「私も君と会った事件が変わるきっかけになった。心からの感謝と、祝福を。ディルクは君と出会ってからずっと幸せそうだよ………友を、よろしく頼む」
「任されました!」
フィズの話はディルクに聞こえたかな?とチラ見したら、すごく嬉しそうだった。良かったね!
「そッスね!凛姉ちゃん時代からお世話になりっぱなしッス!自分も語り尽くせないぐらい感謝してるッスよ!結婚、おめでとう!ロザリンドちゃんなら何があってもディルクさんと幸せになるとは思うッスが、自分もロザリンドちゃんの幸せを祈ってるッス!!」
「俺も……返しきれないぐらい恩がある。せめて感謝と、祝福を」
「ありがとう!!」
二人のヒロインとその婚約者から祝福を受けて、自然と笑顔になりました。
主人公はやっぱりロザリンドってことで(笑)
ここでお知らせがあります。悪なりに大ニュース!もうご存じのかたもいると思いますが、活動報告をご覧ください。




