私の可愛い弟妹達
さらに進むとジェンド達がいた。ポッチがやつれている…絶対連徹したな。マリー、ネックスだけでなく、孤児院を出て独立した子達もいた。
ジェンドが少し緊張した様子で話しかけてきた。
「ロザリンド、今からでもぼ…俺にしない?絶対幸せにするから「ごめんなさい」
あのね、進行方向に暗黒大魔神となったディルク様がいるの。浮気、ダメ絶対なの。世界を滅亡させかねないの。私の進行方向にダークオーラを感知したよ!憤怒の形相だよ!!
「知ってる。僕をフッたんだから、世界一幸せになってよね…ロザリンドお姉ちゃん!」
涙目になりながらも、ジェンドは祝福してくれた。
「もちろん!」
ディルクが居れば、世界のはてでも幸せに生きる自信がありますよ!あ、ディルクが浄化されている。よかった。世界は救われたようです。
「お姉ちゃん…おめでとう」
「ポッチ…ご飯はちゃんと食べたの?何日徹夜したの?無理したらダメだよ。ポッチが身体を壊してまで祝われても嬉しくないからね?」
オカンみたいと言うなかれ。たまに食事すらも摂らずに作業しているから、確認は必要なんですよ。それにしても、毛艶が悪いな。少なくとも三日は徹夜したとみた。頬を撫でる手に、甘えるようにスリスリしてきた。でっかい弟みたいになっても、やはりポッチはあまえん坊の可愛い弟なのですね。
「うん、作品作りで無理するのはこれが最後。僕は遠く離れてもお姉ちゃんの弟だから。お姉ちゃんが僕に…僕たちにしてくれたことを、今度は僕があの国でしたいんだ。絶対やりとげてみせるよ。僕はお姉ちゃんの弟だから!」
「ポッチ…」
体格だけでなく、中身も立派になりましたね。偽リンド達もいるし、なんの心配もありません。むしろあの迷惑なオッサンを必要時にだけ喚べるとか、便利すぎる。
「それで、皆の毛並みが良くなったら招待するからね」
「絶対遊びに行きます」
もふもふ天国に招待されたなら、行くしかないでしょう!!眺めるだけでも幸せになれます。いつか、ポッチの子供も抱けるかもしれないね!
「ぶれないな………」
「…………………(こくり)」
「お姉ちゃんはえーえんのモフラーだってリンカが言ってたにゃ!」
もふもふは愛!もふもふは世界を救うのですよ!
「あ、もちろんもふもふ毛並み改善計画に協力するから言ってね。すでに兄様が協力してるみたいだけど」
「ふふっ、ありがとう。おめでとう、お姉ちゃん。遠く離れても、お姉ちゃんの幸せを祈ってるよ。お姉ちゃんは僕の世界をあっという間に変えてくれた救世主様だから」
「それはない」
皆好き放題言い過ぎだし、私は自分の好きにしただけだ。ポッチの世界を変えた覚えはない。
「お姉ちゃんのおかげでおいしいご飯も食べれたし、優しいパパとママに会えたよ。パパ様とママ様達とも向き合えたよ。マリー、ずっとマリーのままでネックスと居たかったからずっとずっと逃げ続けるつもりだったのにゃ。お姉ちゃん…ロッザリンドパワーはスゴいんだにゃ!」
「……………(こくこく)」
「いやいやいやいや!ロッザリンドはヴァルキリーってか、私パワーって何!??」
変な特殊能力を付与しないでいただきたい。私パワーなんてないから!頷くな、ネックス!!
「いつのまにか色んな人を巻き込みながら、皆を幸せにしちゃう力かにゃ?そんな感じで、お姉ちゃんは世界一のお姉ちゃんなのにゃ!」
「…………………感謝、してる。マリー、助けてくれたし……俺、お姉ちゃんより強くて優しい人…知らない」
「ネックスが長文をしゃべった!??」
「…そこ、心の底からどうでもいい。お姉ちゃん、感謝してる。俺達、何があってもお姉ちゃんの味方。幸せ、祈ってるよ」
「う、うおお………ありがとう」
いまだかつて、こんなに喋るネックスを見たことがあるだろうか。いや、ない!感動したよ!
「俺も、多分気がついたらロザリンドに救われてたクチだな」
「オルド…」
暗殺者として出会い、殺さないなら責任をとれとうちに居着いたオルド。
「わけがわからない飼い主だと思っていたが…長い時間をかけてあんたが俺を道具から人間にしてくれた。感謝なんて言葉じゃ足りない。何があろうと、俺はずっと…あんたのためならなんでもするよ………姉さん」
あの事件から、一番成長したのはオルドなんじゃないかな。暗殺者として育てられたオルドに、自分の常識を押し付けてもいいのかと迷ったこともある。だから、すごくすごく、嬉しい!
「オルドが泣かそうとしているぅ……オルドも私の可愛い弟なんだから、オルドが困ってたらお姉ちゃんが助けてあげるからね!」
「ああ、ありがとう」
「そうだ。オルドも…血こそ繋がっていないが皆私の可愛い子供達だ。何かあれば、言いなさい」
父の優しくて力強い言葉に泣きそうになる。しかし、化粧が崩れたら不細工になるから耐えた。可愛い私の弟妹達は、皆素敵な笑顔の大人になった。
誇らしい気持ちと共に、なんかあったら前提はガチでナニかが起きそうだからやめていただきたいと思った。




