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親しき友

 さらに進むと、珍しい組み合わせを発見した。物理的に白い二人はちょっと居心地が悪そうだ。


「ロザリンド、俺までよかったのか?」


「ロザリンド、俺は場違いじゃないか?しかもチビ達まで……」


 なんだかマゴマゴしているエルンスト&シーダ君。ナニを言い出すのだろうか。ちみっこ達もニコニコしながらおめでとうと言ってくれました。お姉ちゃん綺麗?お姫様みたい?いい子達ですね…。だからお菓子ちょうだい?よしよし、後でたぁくさんあげますよ。ちゃっかりしてますな。しかし、シーダ君は気を使うね。


「エルンストもシーダ君も、私の親しい友人じゃないですか。忙しいのに二度も参加してくれて、ありがとうございます。ちみっこ達も来てほしいからお招きしたんですよ」


「親しい友人……そうだな。ロザリンドは俺の親友だ!」


 エルンストはアルディン様辺りに触発されたのか?いつから光属性になった。前から思っていたけど、ひきこモヤシの面影が微塵もないな!


「そうか…俺もロザリンドは友人で…恩人だと思っているよ。ロザリンドが居なかったら、まだ盗みをやっていたんじゃないかな」


「どうかな?緑の手があるんだから、会わなかったらスゴい農園を作って野菜を売ってる気がする」


 ユグドラシルさえ活性化すれば、彼は作物をうまく育てただろう。食べていくことはできたはず。


「…でも、きっとミルフィには会えなかったな。おふくろも病死して、親父も…多分塀の中で処刑されてるだろ。ちゃんとした貴族に戻ることもない。食うだけで手一杯で、チビ達にマトモな教育を受けさせるのも無理だ。最悪、あの馬鹿貴族の養子になっていたかもしれない」


「んん…」


 そこは確かに…そうかもしれない。特にシーダ君のお父さんについては、もっと早く出会えていたら…と思わなくもない。


「出会えたことに感謝を。そして、おめでとう!」


 初めて会ったときのシーダ君は、痩せていてボロボロで…それでも懸命に家族を守りながら生きていた。

 今、成長して微笑む彼を見ると…感慨深いものがあるね。


「ありがとう。これからも兄共々よろしく。兄を…兄をお願いします」


 兄をどうにか辛うじて操縦できるのはシーダ君だけです。顔が若干ひきつりながらも頷いてくれました。


「………善処する」


「あと、感謝は不要です。シーダ君のおかげで超助かってます。持ちつ持たれつ。あくまでも私達は対等ですよ」


「……ああ」


 真面目な表情でエルンストが話しかけてきた。


「シーダは大変だったんだな。いや、シーダだけじゃない。ジェンドやネックス達の境遇に比べたら…俺はずいぶんと恵まれていた。それなのに小さな部屋に閉じ籠もって…ロザリンドが居なかったら、俺はずっとあの研究室に籠るだけで、世界にはもっと楽しいものがあるって知らないままだった。ありがとう、ロザリンド」


「いや、エルンストはたまたま私がきっかけになっただけで、そのうち引きこもりを解消して出てきたよ」


「いや、ロザリンドが来なかったらずっと引きこもってた。間違いない」


 そんなドヤッて言わんでも。思わず笑ってしまった。


「おめでとう、ロザリンド。出会ってくれてありがとう」


「ありがとう、エルンスト。こちらこそ出会ってくれてありがとう」


 お互い笑顔になる。そして、今までずっと黙って会話を聞いていた父が話しかけてきた。


「……シーダ殿の話は、よくルーやロザリンドから聞いている。二人のよき友人となってくれて、父として感謝している。今後もうちの子をよろしく頼む」


 そう言って、父はシーダ君に頭を下げた。当然慌てるシーダ君。


「や、やめてください!そりゃ、ルーが大暴走したりすると『こいつマジで絶交してやろうか』って思ったり、ロザリンドのぶっ飛び非常識に驚愕したりしますけど……二人は本当に恩人であり、かけがえのない友人です。たまに困るけど、そんなのと比較にならないぐらい大事なものを沢山守ったり、取り返してくれました。正直借りが多すぎて返済に困ってるぐらいです」


 シーダ君…そんな借金みたいに言わなくてもいいのに。あの兄をどうにかコントロールしてくれているだけでおつりがきますよ。


「いや、ルーはああ見えて気難しいし、人見知りだ。そのルーが君達の事を笑顔で話していた。父として、そんな友人達がいることを嬉しく思うよ。ルーもロザリンドも、恩など気にしていないだろう。ただ、あの子達が困ったときは助けてあげてくれるとありがたい」


「それは、必ず!」


 まっすぐに父を見て、頷くシーダ君。ええ子や。


「その、公爵様……えっと……」


「君は確か、ジェンドと親しかったね」


「えっ、あっ…はい」


 おお、エルンストが人見知りモード?父、見た目怖いしね。


「ジェンド達も私の子供みたいなものだ。変わらず親しくしてくれてありがとう」


「は…はい!」


 このエルンストの反応が珍しかったので後に聞いてみたところ、元魔法院院長を筆頭に、まともな大人が周囲に居なかったエルンスト。うちの父は彼にとって憧れの素敵な成人男性だったらしい。寡黙で渋くてカッコいいと言っていた。

 母に話したら、口下手なだけよ。パパは可愛いわよねといってました。個人的にはカッコよくて可愛いです。本人に話したら、多分照れてました。


 母、正解!

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