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そして、伝説へ

 緑の精霊王…彼女が遊べば他の精霊王達も当然遊びたい。普通の上級精霊サイズに縮んでくれたので特に何も言わなかった。

 息子と芋を焼く火の精霊王。なんて贅沢な焼きイモだろうか。おイモは甘く、中までホクホクで美味しい。素敵な焼き加減である。

 水の精霊王はパイナップルやミカン等のフルーツを凍らせている。冷凍ミカンは正義です。

 土の精霊王様は庭にあった石でロックゴーレムを作り子供と遊んでいる。

 緑の精霊王は言われるがままに私でもわかるぐらい超貴重な植物をポンポン出してって…うおおおい!??


「何をしてらっしゃるんですか?」


 大魔神・兄が降臨した。顔は笑っているが、目から冷凍ビームが出ている。私が悪い・悪くないにかかわらず、即土下座をチョイスする表情だ。これはヤバい。


「何を、して、いるんですか?」


 これはアウトだ。赤信号だ。エマージェンシーでSOSな奴だ。


「えっと……見てみたいって、言うから……見せて、あげてました」


「見せるだけですか?」


 あくまでも、とても丁寧な応対なのだが……ひねくれた私の脳内では『見せるだけじゃなかったよな?ガキみたいな言いわけしてんじゃねぇよ、ゴルァ!』と変換されていた。もうビームではなく兄ブリザードだ。叱られているのは私ではないのだが、怖い。


「見せて………あげました」


 子供のようなどちらとも取れるもの言い。兄ブリザードが!兄火山が噴火カウントダウンです!!暑いか寒いかわからなくなってきたよ!


「あいや、待たれよ!待たれよ、ルー殿!」

「そうだよ、ルー!精霊さんは悪くないよ!ただ、僕らの植物愛に応えただけだ!」


「………ディルやオタッキーさんは悪用しないだろうね。でも、禁止された植物は、何故禁止なんだと思う?例えばこの花は確かに美しいが、悪魔の薬の原料になる。君達は、悪用しないだろう。だが、君達以外のものが盗んだら?それで苦しむ人がいたら?無害な花でも高価だったら盗む馬鹿がいるかもしれないね。売ったお金は間違いなくろくでもない使い方をされる。一度しか、聞かない」


 兄の冷気が、ついに絶対零度を突破した。流石はあの父の息子。次代の氷の宰相様である。



「君たち、責任取れるの?」



『すいませんでしたああ!!』


 絶対零度の大魔神・兄は緑の精霊王と友人に対しても容赦がありませんでした。


「しかし、ならばルー殿は責任が取れるのでござるか?ここには希少な種が山ほどあるでござる!それこそ猛毒性のある種まで!!」


「そもそもうちに泥棒に入ろうなんて馬鹿は居ないから。肉食魔獣どころか、サボテンが常に巡回しているしドラゴンも…深海にしか居ないはずのリヴァイアサンすら飛来する。とてつもなく不本意だけど、ご近所では危険区扱いだからね!最近ではスパイや暗殺者からも関わると不幸にされるローゼンベルクとして有名なんだから!!」


 何故だ。末尾にロザなんとかさんのせいでとついている気がする。ドラゴンとリヴァイアサンは……私か。


「異議あり!」


 私は手をあげて兄に反論した。私だけのせいにされてなるものか!!


「我が家がリアルホラー扱いなのは有能すぎるマーサ達のせいでもありますからね!?」


「近年、そのマーサさん達がさらに、とてつもなぁぁく、強くなりました。理由を述べよ」


「……え、英雄ブートキャンプ……」


「不正解。多少は関係あるけど、マーサの攻撃力が明らかに増したのは、その後」


「………気のせい!」

「んなわけあるかい。正解はロザリンドの武器。もうマーサに勝てる暗殺者なんて、この世に居ないんじゃないの?」


「………………」


 そもそも、マーサに勝てる人間が…ほぼいない。数えるほどしかいない。私、ディルク、ジェラルディンさん……ぐらいか。

 ラビーシャちゃんは…やり方次第かな。タッグバトルならイケる?

 ジェンドとジャッシュはどうかなぁ。


「……ルーの家はどうなってるの?」


「認めたくないけど…クリスティア一の魔境らしいですよ。クリスティア最強の女戦士(アマゾネス)をはじめ、凶悪なラインナップだし」


「うわぁ……でもレジェンディアキングシャボテンまでいるもんね…盗難以前に侵入もできないよね…」


 植物オタク達はドン引きした。しかし、中には猛者もいた。


「では、こちらで盗難が心配な希少種を預かっていただくことはできますかな!?」


「ええと…まあ、かまいませんが……」


 そんな話をしていたら、歓声があがった。


 ちょっと目をはなした隙に、すっごい遊具が完成していたのだ。



「「ナニアレ」」



 兄もびっくりし過ぎて呆然としている。私もびっくりである。


 テンションが上がっちゃった土の精霊王が、どうせならスゲーの作ろうと言い出した。粘土質の土山を呼出し、水の精霊王がいい感じに水を含ませてユグドラシルを参考にざっくり形を整え、火の精霊王が焼き、風の精霊王が表面を滑らかに加工したそうな……。


「お姉ちゃん、ごめんなさい…あっという間すぎて止める暇が……」


「いや、コウは悪くない…」


 しかし、瞬時にこれだけの建造物を作れる存在はそうそういない。どうも魔術をかじっている人間が『明らかにおかしい』と気がつき始めた。


「…………………ゴラちゃん」


「………ふっ、私の時代が到来したようだな」


 二度と来ていただきたくなかったがな!ゴラちゃんは見事に建造物のインパクトを塗り変えて………いや、塗りつぶしてくれた。さらに変態鳩マスクと変態魔法少女風のおっさん(どうも凛花だったらしい)が出たりと阿鼻叫喚だった。


 最終的にダンと作った記憶を曖昧にするほど美味しい封印のアップルパイで記憶を曖昧にしてお帰りいただいた。


 曖昧にしただけではあのインパクトを完全に消去することはできず……


「ロザリンドの実家って変態がたくさんいるのか?」

「いないから!!」


 しばらくアルディン様やクラスメイトから精神攻撃を受けるはめになりました。

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