すべすべも正直好きですよ
白雪君達にモフモフ好きが集まってきたら、負けじともふ丸がアピールしてきた。ケサランパサランは温厚で愛玩魔獣としても有名だからそれなりに人が集まってます。もふ丸はいつの間にかお嫁さんをもらっていて、もふ丸ベイビーがたくさんいます。ケサランパサランの赤ちゃんは毛が柔らかいです。初めて知りました。
「けちゃ~」
「ぱちゃ~」
ケサランパサランの赤ちゃんは、ケサ~、ぱさ~と鳴きます。世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあります。何故かケサランパサランベイビーになつかれている私。幸せです。
クリスタルラビットも大人気です。クリスタルラビットは現在捕獲が禁止されている種族だから、こんなにたくさんいるのは珍しいそうな。こちらも愛玩魔獣として人気だそうです。
おお…ポッチ…クリスタルのオブジェかと思いきや、クリスタルラビット達にたくさん乗っかられたポッチだった。いつの間にあんなに仲良くなったんだろう
「きゅ」
うちの栗栖君がおいでと手招きしています。そして仲間に何かを説明しています。
「……きゅうう」
クリスタルラビットの長老?みたいなやつが、とても見覚えがある兎型の石を差し出した。
「もふ丸、通訳」
今回は受け取りを拒否しました。どうせなら彼らを救ったポッチにあげるようにと言いました。
人気があるのはもふ丸、白雪君、栗栖君、そしてウインドホークの北条君。北条君は風魔法を駆使して子供たちを浮かせてあげたり、乗っけたりとキャッキャしてます。聖獣様も人気で、気まぐれながらも子供と遊んでいます。
そして、人気がないのが闇様とコウ。
コウ達はドラゴンだから近寄りにくいのだろう。闇様は…本人がやる気だったから止められなかったけど、こうなるのはわかっていた。
とりあえずコウ達をどうにかしようかな。コウに近づく。ドラゴンかっけぇ、と主に男の子達が興味津々です。わかるわかる。ドラゴンはかっこよくて可愛いんですよ。
「コウ~」
私が機嫌よく呼ぶとなぁに?と首をかしげるコウ。子供と遊びたいけど近寄ると逃げるからじっとしていたようです。
「つるすべ、ぎゅー」
頭を私のそばまで下ろしてくれたコウにぎゅうっとする。恥ずかしいよと言いながらも嫌ではないのか逃げません。
そこへ、コウと仲良しな孤児院の子供達が駆け寄ってきました。
「コウ、勇者ごっこして!」
「すべり台ごっこがいい!」
「いいよ~。勇者ごっこは他のドラゴンに頼んでごらん。多分やってくれるよ~」
「マジか!なぁなぁ、俺と遊ぼうぜ!」
あの子、マジすげぇな。私が経営してる孤児院のちみっ子達は、すっかりドラゴンを怖がらなくなってしまいました。いいような悪いような。まぁ、いいのかな?今この場にいるのは友好的なドラゴンだ。
うちの孤児院の子供達が遊ぶのを見て、貴族の少年がドラゴン達を下僕のように扱おうとした。案の定吠えられて腰を抜かす少年。
「ははは!バカだなぁ!ドラゴンは頭がいいんだよ。上から目線で言ったら怒られるに決まってんじゃん!コウ以外はトシウエだから、ウヤマワないといけないんだってロザリンドねーちゃんが言ってたぞ。オレも吠えられた時はちょービビった!なぁ、一緒に遊ぼう!」
「………ふ、ふん。仕方ないな」
何だかんだで、どちらも子供。すぐに仲良くなり、ドラゴン達も上から目線でなければ怒ったりしない。ドラゴンも含めて遊ぶ彼らを見て、他の人達もおっかなびっくり近寄った。
ドラゴンはいいが、問題は闇様だ。巨大なケツァルコアトルは魔物にしか見えない。闇様はすでに泣きそうだ。ちなみに同じく一般受けがイマイチな水月さんは人間姿で案内をしている。パラライズスネイクの真昼さんは雷ショーをしていて、触れあいはしないが観客を楽しませている。
「闇様…じゃなかった月」
「ロザリンド…何故我はヒトと仲良くなれぬのだろうか…」
「ちょっと方法を考えるから待ってね……よし!月、ゴンドラつけてもいい?」
「かまわぬが」
世界樹に移動して月の頭にくくりつけられる座席を作った。さらに後ろの座席がフラットになるので、すべり台のようにも遊べる。
「カルテ!一番乗りする!?」
「するする!すっげぇ!なぁ、飛ぶの??」
ドラゴンと勇者ごっこをしていたカルテはすぐに走ってきた。孤児院の中でも好奇心が強く怖がらないので乗るだろうと思ったが、すごい食いつきだ。一緒に遊んでいた貴族少年は真っ青になっている。
「なあ、お前も来いよ!」
多分カルテに悪気はない。プライドの高い貴族少年は、カルテに負けじとガクブルしながらも月にくくりつけた座席に座った。私は落ちても平気なので指輪で騎士服に着替えつつ座席の後ろにしがみつく。
「月、飛んで!」
「任せよ!」
ドラゴンはわりと飛行が荒いことが多い。反面、月はのんびり優雅に飛ぶ。
「すごい…」
「スゲー、たっけぇ!!なぁなぁ、もっと速く飛べねぇの?」
「できるが、お前の友が辛かろう。それに、速く飛ぶならドラゴンに乗ればよい。見よ、お前達の町だ。知り合いは見えるか?」
「あ、ハンナだ!ゆっくり降りれる?ハンナ!おーい!!」
すぐに知り合いを見つけたカルテ。目がいいな。ハンナと呼ばれた少女はいきなり現れた月に驚いたようだが、私達を見たら笑顔で手を振った。お騒がせしております。
「なんでえ、よく見たらロザリンドお嬢の精霊様じゃねえか」
「びっくりして損したぜ」
「オレは知ってたぜ。しかし、ロザリンド様は変わってるよなぁ。サボテンとドラゴンと大量の蜘蛛飼ってるんだろ?」
「マジか」
「変わってるよなぁ」
「巨大魚も飼ってるはずだぞ」
「マジか」
『まぁ、ロザリンドお嬢だからなぁ』
お騒がせしております。なんか、ロザリンドだからとか言われていたよ。泣いてもいいですか?
「その…すまぬ。我のせいでロザリンドに悲しい思いをさせた」
「いや、平気よ。月にお友だちが増えるといいね」
ゆっくりと庭に着陸する。
「はい!はいはい、はーい!オレりっこーほ!ユエ、友だちになろーぜ!」
コミュ力がカンストしているのではないかと思っちゃうカルテが手をあげた。
「うむ!」
貴族少年もおずおずと月に話しかけてきた。
「私とも、と……友だちに、なってくれない、だろうか」
「うむ!ロザリンド、見たか!ロザリンドの助けなしでも友だちができたぞ!!」
興奮のあまり人型になって貴族少年に高い高いをする月。
「え!?なんで人間に!?えええええ!??」
少年とカルテは月が精霊ではなく魔獣だと思っていたそうな。とにかく、月にお友だちができてよかったね。




