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シメは○ー○○で決まり!

 ウェディングケーキがスタッフによって配られ、皆さんまたしても真顔で食べている。仕方ないよね。ケーキの食材とダンの技術により、お話しするより味わいたいもん。


 皆が完食したようだ。ようやくお客さん達も晴れやかな笑顔で歓談を始める。お茶も美味しい……ドレスを着ててもガッツリ食べれる。それがバタフライローズのノーコルセットドレス!そんなどうでもいいことを考えていたら、ダンが再び現れた。


「本来ですとケーキではなくフルーツと菓子、コーヒーで終了となるのですが、今回はお嬢様の結婚式…ですからお嬢様が好むものをご用意させていただきました。最後の料理は………」


 どんなに満腹であっても、飲み会の後についつい寄ってしまう魅惑の料理。甘いものと並んで別腹に分類されてしまう。ハイカロリーだがペロリと食べれてしまう、まさに魔性の料理…日本では有名なその料理の名は…!




「らーめんです!」





「きゃあああああああああああ!」

「うおおおおおおおおおおおお!」

「マジでええええええええええ!?」

「来てよかったああああああああ!!」


 狂喜乱舞する贈り人達。酒も入ってるからガチで踊っているおバカさんもいます。そのラーメンハイテンションにドン引きしているラーメンを知らないこっちの人達。この間堪能したからそこまでのラーメンハイテンションになってはいないが、気持ちはわかる。ラーメンと聞いたら彼方さんなんて仕事放って来ちゃったし、私もラーメンスクランブルじゃああと大騒ぎしたしねぇ。

 それにしても、流石はダン。食後まったりした時間にラーメンを出すとは…よくわかってらっしゃる。


「あの、味は?俺、俺無理を承知で豚骨食いたいです」


 恐る恐る真琴がダンに話しかけた。ダンはニッコリ笑う。


「スタンダードなものは問題ありませんよ。塩海鮮、醤油、味噌、豚骨をご用意しました。醤油豚骨など、ブレンドも可能です」


「神か!全部食いてぇぇぇぇ!!」

「うおおおおおおおおおおおお!」

「ら・あ・めん!ら・あ・めん!!ラーメンラーメンラー○ンマァァァァン!!」


 あかん。贈り人のラーメンハイテンションがえらいこっちゃ。落ち着いてください。


「もちろん、トッピングも充実してます。ネギ増し、チャーシュー増し、バター、コーン、メンマもありますよ。そんなに喜んでいただけるとこちらも頑張ったかいがありますね。少量ずつ、全種でも大丈夫です。後ほどスタッフがご希望を確認してから作りますので、少々お時間をいただくかと思います」


「神か!」

「神だ!」

「ラーメン神!」

「ラーメン大明神!!」


 ついに拝まれたダン。苦笑しながらも穏やかにいや、ただの料理人ですからと言って厨房に戻っていった。大人の対応ってやつだな。流石はダン。


「ロザリンドちゃん、結婚おめでとう。ダンさんをしばらくウルファネアに派遣できない?」


 彼方さん、結婚おめでとうよりダン派遣に力が入りすぎ。気持ちはわかるけども。


「本人に聞いてください。ダンは実家の料理人ですから、人事的な意味で交渉するならうちの父ですよ」


 他にも聞いていたらしく、父が贈り人から懇願されて困っていた。見かねたダンがラーメンのレシピを無償提供したため、この世界でラーメンが急速に普及するのはまた別の話である。

 ミス・バタフライが売ればとんでもない額が手に入ると言ったが、ダンはこの世界独自のラーメンを食べてみたいからこれでいいのだと話した。彼がラーメンの始祖として歴史に名を残したのは言うまでもない。






 さて、シメのラーメン…それはあまりにも甘美なる誘惑。夕ご飯後に食べちゃうなんてと罪悪感にかられながらもペロッといっちゃうんだ、これが。


 私の前には湯気をたてて誘惑してくる塩海鮮麺固めネギ・チャーシュー・メンマ増し増しバター、コーンのせが……。ああ、今日の苦難はきっと、このご褒美のためにあったのだ!


「幸せ…」


 あっさりしながらもバターで濃厚になった塩海鮮…魚介の風味がいい仕事してます。


「ロザリンド、こっちも食べる?」


 小皿に豚骨を分けてくれたディルク。なんと優しい旦那様でしょう。


「ありがとう、私のもあげるね」


 私も小皿に分けるが、フーフーしてからあーんをした。サービスでバターを絡めた部分。間違いなく美味しい。


「おいしい……ロザリンドも、あーん」


 ラーメンはおいしいし、ディルクは優しいし…色々あったけど、今日はいい日でした。最後にスピーチをディルクと私がして、あまりにも波乱万丈だった結婚式は幕をおろしたのでした。もう結婚式はこりごりです。


 そして、私が知らないところでダンの料理に感動した馬鹿神(バカミ)達がダンに食の聖人なる称号をつけようとしたらしい。しかし、ダンはダンだった。


「学がねぇから、よくわからんがすげぇ名誉だってのはわかります。でも、俺はただの料理人でありたいです。ただ、俺の料理で大事な人達を…皆を笑顔にしてぇ。すんませんが、その食のなんちゃらは、俺の望みを邪魔するでしょう。だから、いりません」


 はっきりキッパリお断りしたそうです。おかしいな…私もさんざんお断りしたのに……と思ったのは言うまでもない。ダンは変わらずローゼンベルク邸で美味しいご飯を作ってくれています。

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