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恐らく、それはフラグだった。

 脳ミソをフル回転させる。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。おうちに帰りたい。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだおうちに帰りたい。ダンのスペシャルディナー食べて帰る。ディルクに癒してもらう。逃げちゃダメだ…めっちゃこの辛い現実から逃げたいけど。


 最善手かは微妙だが、閃いた。もう、これで行くしかない!パン!と手を叩いて注目を集める。


「皆様!最後の余興は楽しんでいただけましたでしょうか!?」


 ドラゴンやお野菜さんダンス、アニメ…あれだけ手の込んだ余興が続いたのだ。サボテンが神様に扮して舞い降りて来るぐらいありそうな気がすると思ってくれ!ガチな神様がサボテンに宿っていると見破らないでええええ!!


「さ、結婚式…誓いの儀をお願いいたします!」

「そうですね。お願いいたします」


 ディルクもつっこまれないうちに式をやるべきだと判断したらしい。私に同意してくれた。教皇達は神入りサボテンやポッポちゃん、クラリンが気になるらしくチラチラチラチラ見ていたが、手はず通りに誓いの儀を始めた。高位の神官だから、神入りサボテンにナニか感じるものがあるのかもしれない。


「…愛と魔力を司りし「ちょっと待つの。(ラブ)の担当はクラリンになったの。残念ボインは魔力だけなの」


「ちょ!残念ボインって誰サボ!」


 クラリンの暴言にミスティア入りサボテンが反応した。気持ちはわかるが、これ以上話をややこしくしないでいただきたいので黙らせた。私の殺気とカバディの構えに怯えたミスサボテンは大人しくなった。


「クラリン、文言を変えてもらうからお客さん席で見てて」


「はーいなの」


「ポッポちゃんは変態鳩マスクをやめないならハウス」


「くるっぽー、仕方ありませんね」


 クラリンと神入りサボテン達はうちの魔獣さん達のエリアに移動した。神入りサボテンは違和感がないが、クラリン…今にも魔物に襲われそうな女装した小柄なおじいちゃんにしか見えない。ポッポちゃんは文鳥になって祭壇にいた。魔の教皇に頷いて、続きを促した。


「で、では…魔力を司りし女神、ミスティアよ」


「知を司りし神、インジェンスよ」


「武を司りし神、スレングスよ」


「技術を司りし神、シヴァよ」


『今より、我らが神に誓いの儀を執り行う』


 会場が静寂に包まれた。とても厳かな雰囲気なのだが、私はヴェールに絡まったままの睫毛とクラリンが気になる。クラリンが、クラリンは?愛の神様なのにと言っている。乱入したりやらかさないかが心配で仕方ないよ!


「新郎、ディルク=バートンよ」


 武の教皇が語りかける。


「汝は病める時も、健やかなる時も、この者を妻とし生涯愛し、慈しむことを誓いますか?」


 知の教皇が続けた。


「誓います。俺は…いや、私、ディルク=バートンは、ロザリンドを生涯愛し、共に幸せになることを誓います」


 ヤバい。二回目の結婚式なのに超嬉しい。ディルクが尽くすんじゃなく『共に』ってひとことがとんでもなく嬉しい。


「新婦、ロザリンド=ローゼンベルク」


「はい」


 もうすでにバートン姓なんだけど、他国の人は知らないかもしんないのでローゼンベルク姓で誓いをすることになってました。バートンに慣れちゃったから変な感じがする。そして、その実感が嬉しい。魔術の教皇に返事をする。


「汝は病める時もこの者を夫とし生涯愛し、慈しむことを誓いますか?」


 技術の教皇が言葉を続けた。


「はい、誓います。私は未来永劫ディルクのご飯を作って…死が二人を別つまで、二人で幸せに生きていきます」


「では、誓いの口づけを」


 ディルクがそっと私のヴェールを外してくれた。ようやく睫毛が取れたよ。ディルクも気がついたらしく、苦笑してからキスしてくれた。歓声がおこる。


「よろしい。結婚証明書にそれぞれサインを」


 ディルク、私の順でそれぞれ証明書に署名する。結婚証明書を教皇達が掲げた。また歓声がおこる。


「最後に、指輪の交換を」


 ミス・バタフライが流行らせたおかげで、他国でも常識となった婚約指輪と結婚指輪。互いの結婚指輪を互いの指にはめる儀式。以前の結婚式で、この場面でロージィ君が生まれたんだよなぁと思う。今回はこれまでの反省をいかしてロージィ君とヴァルキリーによる指輪交換だから、なんの問題も起きないはずだ。その油断がいけなかった。





 ここで事件が発生してしまったのである。






 指輪を交換した瞬間、教皇達が私たちの結婚を祝福した。静かな聖堂に、彼らの声が響き渡る。


「「「「今ここに、新たなる夫婦が誕生しました。二人に祝福を!!」」」」


 そして、ヴァルキリーとロージィ君が空に舞い上がった。そこには、神々しき翼をもつ者達。

 それでは皆さん、BGMは残酷なサボ天使のテーゼでお願いします。思い出を裏切ったかは知らないが、誰よりも光を放つ神入りサボテンがいた。神話にしてやろうかな、この馬鹿神…略してバカミ共がああああ!!


「ロザリンド、結婚おめでとうサボ!」


 ありがとう、ミスサボ。余計なことしないで普通に見学して欲しかったサボ。


「ささやかな、祝いサボ」


 ありがとう、スレサボ。うん、せめて人目がない時にして欲しかったサボ。


「受けとるがいい………サボ…くっ、ついサボと言ってしまうサボ」


 インサボ…心底どうでもいいサボよ。馬鹿野郎サボ。


「我らが愛し子に、幸あれサボ!!」


 今私を不幸にしているのはお前らサボよ。


「ロザリン、おめでとう!素敵なラブをありがとう!!」


 クラリンがウェディングモードに変身…だと!?激レアだな!この結婚式のラブをちゃっかり貰っちゃったな!?私は、息を吸った。


「ブラボー!ブラボークラリン!!」

「クラリン、綺麗ッス!!」


 クラリンへ惜しみ無い賛辞と拍手を贈った。凛花もクラリンに拍手している。


「サンキュー、ロザリン!サンキュー、リンカー!!ロザリンにハッピーシャワー、ラブ多め!!」


 クラリンから大量のハートが送られてきた。これまで、知らないうちに感謝されていた人や、よく知る人たちの気持ちが流れ込んできた。そして、それはヴァルキリーとロージィ君に流れ出す。


『世界を救いし勇者に祝福を…サボ!』


「あ、あばばばばばば」

「ロージィ!?ロージィ!!」


 流石に想定外過ぎて役立たずな私と、ロージィ君を呼ぶディルク。


「ふむ、どうせなら我らも祝いをやろう」


 まさかの天狐様が立ち上がってしまった。天狐様ああああ!?しかも、大天狗である天狐様に続き、俺も俺も~と他の日本の神様達まで力を送り始めた。


「み、湊さん!?勝野さん!?稲荷さん!?狛江さんまで!??」


 ちなみに湊さんは竜(水神)で勝野さんは河童、稲荷さんはお狐様、狛江さんは狛犬。神ではないが、神に連なる者…いや、もうどうでもいいわ!!どうなっちゃうの!?うちのヴァルキリーとロージィ君、どうなっちゃうの!??


「ロザリンド…ロージィはどうなっちゃうの?」


 ディルクが泣きそうです。私も泣きそうです。ごめんよ、色ボ賢者。理不尽レベルのわかんないことを聞かれても、わかんないよね。色ボ賢者は死んだ魚みたいな目をして白くなってました。


 いや、あのじじいは元から白かったわ(現実逃避)

長くなっちゃったので、次回に続く!!

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