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夢だったらいいなと思った結婚式

皆のヒロインロッザリンド視点です

 前座が色々ありすぎてツッコミ疲れたが、ぐったりしているわけにはいかない。どんだけ落とされようが今日の主役は私とディルクなのだ。ラビーシャちゃんやマーサ、母が本気を出してくれたおかげで…いや、たくさんの人のおかげで、装備は完璧!いざ、出陣!!


 エスコート役の父が私の手を取る。マーサが号泣して、ラビーシャちゃんと双子がもらい泣きしている。やめて、私もつられそう。母はいつもと同じでニコニコしていてホッとした。


「ロザリンド、幸せか?」


「はい!」


「…………そうか。結婚してもお前はうちの娘だ。助けが必要ならば言いなさい。誰より、お前達の幸せを願っている」


「…私も父様の幸せを願っていますから、困ったら抱え込まないでくださいよ?」


「……………善処しよう」


 ああ、私は幸せだ。水月さんの糸で作られた布は、虹水面の布と名付けられた。光に反応して虹を発生させるのだ。淡く輝くこのドレスは、唯一無二。私も気に入っている。


 一歩一歩進んでいく。客席の花飾りは兄の指導で双子や孤児院の子供達が作ってくれたもの。ステンドグラスや、飾られた絵、客席の椅子と机、柱に刻まれた彫刻はすべてポッチの作品だ。セインティアのイメージを損なわぬように施された彫刻に、教皇達も喜んだ。

 床のすばらしい絨毯は、彼方さんの領地から取れるウルファネアシルク製。ウルファネアの商人さん達がこの会場に一番合うのはどれかと熾烈な争いをしたらしい。


 三段ほどの階段の上にディルクが待っていた。ディルクのも水月さんの糸で作った礼服だが、黒を基調にしたせいか虹はでない。当初はディルクも白の予定だったが、黒が似合うからと黒にしてもらった。ディルク、マジかっこいい!!


 父からディルクにエスコートを交代する。その瞬間、小さな精霊達が花を降らせた。


「これは………」


 花?いや、花じゃないね。魔力を圧縮させた『精霊の祝福』ってやつだ。


「ロッザリンド、おめでとー」


 ありがとうと手を振る。火の精霊さん達だね。でもロッザリンドはやめてくれ。それヴァルキリーだから。私じゃないから。


「怖いロザリンド、おめでとー」


 ありがとう、二度とハルをいじめるなよ。今度ヤったら、トラウマレベルで後悔させるからね。風の精霊達は私の殺気を感じたらしく、逃げ出した。


「ハクのロザリンド、おめでとう」


 地の精霊さん達…踏みそうだから地面からはやめようね。あ、避けてくれた。ありがとう。踏んでも大丈夫とわかってても怖いからなぁ。


「歌姫様、おめでとうございます!」


 よし、無茶すんな!なんか干からびてる!お、お客様の中に水槽をお持ちのかたは!?と叫びそうになったが、クーリンが水球を作ってくれたので大丈夫だった。


「おめでたいの~」


 アリサも花を降らせてくれた。ちゃんと空気を読んでミニマム妖精さんサイズ。流石はうちの子!!


「お姉ちゃん、おめでとう!」


 コウもちゃんと子犬サイズです。流石はうちの子です。空気が読める子です。


「……おめでとう」


 ぶっきらぼうなお祝いはスイ。少年姿ですね。笑って手を振ったらちょっとだけ返してくれました。ツンデレなんだから!


「ロザリンド、おめでとう!」


 ハルが風で花を巻き上げた。いたずらっ子め!でも綺麗だから笑ってしまった。


「ロザリンド、幸せにな!」

「お姉ちゃん、綺麗だよ!」

「お姉ちゃん、頑張ったね!」


 孤児院の子供達や、領地の人達。クリスティアだけでなくウルファネア…たくさんの人から祝福を受ける。ハクは?とチラ見したら、号泣していた。子供達にヨシヨシされてる。


「フゥ~!」


 ゴラちゃんも葉っぱ裸族にならないでダンスしている。こんな場で変態…じゃなく変体?しようものなら切り干し大根にしてやろうかと思ったが、大丈夫そうだ。


「ろじゃりんど……おめでとう……ぐしゅっ」


(ユエ)、ありがとう。いいから人型になろうか!観客がびっくりしてるから!!」


「そうだぞ、闇の。我を見習うがよい」


 モンドこと聖獣様はちゃんと人間姿です。えらい!(ユエ)は慌てて人間姿になってくれた。しかし、安心できたのはほんの少しの間だけでした。


「「「マチビト様ああああ!!おめでとうございまぁぁす!!」」」


 精霊王キタアアアアアアアアアアアアア!!


「圧迫感ハンパない!貴方達が精霊王だとバレたらどーすんですか!!チートはもういらんわああ!!小さくなれえええ!!」


 私の怒りを込めた叫びにより、あっという間に精霊王達は小さくなった。祝福が多い!手土産は後でにしてよ!と思ったが、ラビーシャちゃんが素早く回収してくれた。


「ロザリンドちゃん、おめでとう!!」

「おっっめでとぉぉ!!」

「祝いにきたぞ!」


「会場が壊れる!小さくなってください!!」


 バハムートのクーリンパパ、コウのママドラゴン、とヤマタノ首領(ドン)ラゴンが来ちゃいましたよ!招待客がドン引きしてるじゃないか!!そして会場はカオスと化した。サボテンさんやら、アリサ本体やら、兄のお野菜音楽隊&ダンス部隊が踊り出す。どうにか落ち着かせたが、疲れた。もうおうち帰りたい。一番のメインが終わってないけど、帰ったらダメだろうか。





 そして、祭壇で誓いの儀式を行うのだが、やたらと神父役が多い。





 招待客が首をかしげている。私だって好きで4人の神父…しかも教皇達にお願いしたわけじゃないんだよ!神々の代理闘争回避…世界平和のために仕方なくだよ!とか脳内で必死に弁解していたら、まつ毛がベールに絡まった。やべぇ。天然の立派な毛があるのに欲張って付けまつげなんかするんじゃなかった!ど、どうしよう!??


 慌てる私の前には、余計なことはしないようにと注意し忘れた存在が神々しく舞い降り………て??




 皆さん。BGMは残酷なサボ天使のテーマでお願いします。


「サボさん!?サボノバさぁん!?サボンヌさぁぁん!?サボノビッチさぁぁぁぁぁぁん!!?」


 神クラスに進化したことのあるサボテン達が、サボ天…いや、サボ天使に!!なんでサボテン使ったんじゃい!!神々しく羽を広げた白サボさんとセクシーサボノバさんと眼鏡サボンヌさんと筋肉サボノビッチさん。どうしろと。いや、サボ天使のインパクトと羽根が邪魔で気がつかなかったけど、他にもなんかいる!!

 ウエディングドレス風クラリンと、能面を抱いた鳩マスクことポッポちゃんが……!!


「チェストォォォ!!」


「はとぽっぽぉぉぉぉ!??」


 とりあえず、ポッポちゃんに全力でシャイニングウィザードをかましておいた。八つ当たりである。墜落するポッポちゃん。優雅に着地する私。ディルクに駆け寄り抱きついた。


「ディルク…おうち帰りたい」


「俺もだよ」


 ディルクも死んだ魚みたいな瞳をしていた。一人じゃないって素晴らしいね。これ、起きたら夢オチだったとかないかなぁ…心から夢オチであってほしいと思った。

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