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夢のような結婚式

どっかの王族さん視点です。

 前座がスゴすぎてもはや何をしに来たかを見失いそうだった…というかもはやさっきまで完全に見失っていたが、ようやく今回のメインである結婚式が開始された。


 花嫁は見たことがないほどに美しく、光によって色を変える水面のようなドレスを身にまとっていた。その美貌はヴェールで遮られているが、本人の美しさは微塵も損なわれていない。ヴェールごしでもその美しい顔は隠れていないし、まるで美の女神…名工が作った彫像のような完璧なプロポーションをしていた。

 花嫁は父親にエスコートされてゆっくりと祭壇へ歩いていく。歩くたびにドレスからふわり、ふわりと虹が現れる。ほんのり淡く輝く不思議な虹のドレスも本人も、まるで芸術品のように…いや、この世のモノとは思えぬほどに幻想的で美しかった。

 あのロッザリンド騒ぎの子供がこんなに美しく清楚な女性になるなど、誰が想像できただろうか。


 そして、美しい花嫁は父親から花婿の手をとった。その瞬間、小さな精霊達が花を降らせた。


「これは………」


 花?いや、花じゃない。魔力を圧縮させた『精霊の祝福』だ。こんなとんでもない規模の祝福は!見たことがない!


「ロッザリンド、おめでとー」

「怖いロザリンド、おめでとー」

「ハクのロザリンド、おめでとう」

「歌姫様、おめでとうございます!」

「おめでたいの~」

「お姉ちゃん、おめでとう!」

「……おめでとう」

「ロザリンド、おめでとう!」

「ロザリンド、幸せにな!」

「お姉ちゃん、綺麗だよ!」

「お姉ちゃん、頑張ったね!」

「フゥ~!」


 大根みたいなやつも、精霊なんだろうか。あと、あのドラゴン…も??しかし、こんなのは序の口だった。


 あの巨大な翼がはえた蛇は魔物?なんかえぐえぐ泣いているんだが…。花嫁は優しく蛇を撫でていた。蛇の隣には変わった装束の獣人が呆れたようすだ。なんか会話が通じているっぽい。やっぱり魔物なのか?不思議な花もクネクネ踊っているし、金魚も………あれは魔物じゃないのか??金魚は空を飛べないはずだ。

 魔獣達も負けじと先ほどの芸を披露する。あれは主を祝っているのだろうな


「「「マチビト様ああああ!!おめでとうございまぁぁす!!」」」」


 巨大な精霊が舞い降りてきた。


 花嫁がナニかを叫ぶとあっという間に巨大な精霊達は小さくなる。なにやら大量の祝福を降らせ、手土産を押し付けていた。後でにしてやれよ。気が利く少女が素早く回収していた。


「ロザリンドちゃん、おめでとう!!」

「おっっめでとぉぉ!!」

「祝いにきたぞ!」


「会場が壊れる!小さくなってください!!」


 巨大な魚と赤いドラゴンと頭がたくさんあるドラゴン…バハムートとフレイムドラゴンとヤマタノ首領(ドン)ラゴンじゃないか!!災害級とも言われる魔物にまでコネがあるとか、本当にどうなっているのだ!?大丈夫なのか!??しかし、心配をよそに魔物も祝いに来ただけだった。しかも花嫁に叱られていた。


 ここは、真の理想郷ではないだろうか。人も、獣人も、精霊も、魔物も、ドラゴンも…種族に関係なくこの結婚式を皆が祝っている。誰もが笑顔で語らう場所。それは、かつて夢見て…諦めた光景だった。

 我が国は人間を特別視していて、獣人を下賎の民としている。だけど、私は知っているのだ。幼い頃に私は獣人に助けられ、我々はそこまで違う生き物ではないこと。人と獣人で幸せに暮らす夫婦を知っていたのだ。だから、偏見をどうにかしたかった。だが、私にはそれを変える力がなくて……嫉妬と羨望をはっきりと自覚した。


 この輪の中心にいるのはロザリンド=バートン。本日の花嫁だ。是非、話を聞きたい。噂では彼女は獣人との和睦に熱心なのだという。クリスティアも我が国と同じく人間を特別視している国だが、かなり改善されているという報告も聞いている。彼女の関わり方はとても上手かった。夫のためなのか他にも目的があるのかは知らないが、こんな少女がなしたとは思えぬ手腕だった。





 そして、祭壇で誓いの儀式を行うのだが、やたらと神父が多い。





 んん??いち、にぃ、さん…よにんいる。

 どういうことかと首をかしげる。そういえば、結婚式ではいずれかの神を祀るシンボルを飾るのだが…まったくないな。しかも、よく見たらあれは全員が教皇ではないか!!本当に彼女の人脈はどうなっているのだ!?しかし、この程度はまだ可愛いものだったと私は思い知るのであった。

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