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魔法院の書類はためちゃダメ映像

 色々と予想外すぎる出来事があったものの、普通の結婚式らしく来賓の挨拶が始まった。すでに自分の挨拶は終わり、暇でしかたない。退屈な挨拶が終了したところで、先ほどの嘘です娘が現れた。司会をしている青年に何やら耳打ちする。


「ええと、新郎新婦入場の前に『ウルファネア戦隊ロザリンジャー!書類がなくて激ピンチ!』を上映します」


 何ソレ。私たちがついていけなくても、先ほどと同じように映像がスクリーンに映し出される。そういや、次回予告にチラッと出ていた気がするが、あれか?


 しかし、今回の映像はあにめではなかった。実在する人物が演劇をするらしい。


 ウルファネア戦隊ロザリンジャーとは、悪いやつを倒す正義のひーろーなんだそうだ。実際、英雄が参加している気がするのだが、気のせいだと思いたい。しかし、あのウルファネアマスクは見れば見るほど英雄ジェラルディン殿にそっくりだ。


「今日の報告書、書いた?」

「面倒だから、後でまとめてにしようか」


 書類あるあるだな。後回しにすると忘れるんだよなぁ。そんなことを考えながらぼんやり眺めていた。そして、また悪人と戦いに行くロザリンジャー。多彩な技が見ていて楽しい。子供向けの勧善懲悪かと思いきや、意外と話が深い。笑いあり、涙ありで引き込まれた。



 そして、忘れた頃に奴はやって来るのである。



 そう『提出期限』と『監査』である。地味~なウルファネアシャドウだけはきちんとしていたのでこの危機を免れている。どこまでも地味で目立たない奴である。

 何故か擬人化された『提出期限』は、変わった扇?のような白い武器をパシパシしながらロザリンジャー達に提出を迫る。何故か少年の姿をした『監査』は先程も見た野菜によりロザリンジャー達を包囲していた。ウルファネアマスクは逃亡をはかろうとしたが『提出期限』に白い武器で小気味いいスパァァァンという音と共にしばかれ『監査』の鳳仙花とエンドウ豆から重点的に尻を狙われた。おい、英雄でも勝てないのかよ!?『提出期限』と『監査』に睨まれ、必死で書類を書き上げるロザリンジャー達。ウルファネアマスクは、倒れたまま動かない。こ、これどうなるんだ!?とてつもなくドキドキする。


「で、できました!」


 おお、ロザリンジャーの一人が書類を提出した!しかし『監査』がここで動いた。


「文法が違う。誤字脱字が多すぎる。こことここ、計算が違う!ここにいたっては計算してないのか書いてない!そして字が汚い!!字に関しては今回だけ許すけど、やり直しぃぃ!!」


「キャィィン!!」


 書類を提出したロザリンジャーは『監査』から書類を返されたあげく、ヘルメットにデカデカとバツ印をつけられてしまった。


「次同じミスをしたら、ゴラちゃん乱舞を見ていただきます」


「フゥ~!」


 股間を葉っぱだけで隠した変態青年が激しく腰振りダンスを始めた。ぎゃああああああああ!?うああああああ、近い近い近い!画面一杯に葉っぱ…つまり股間がぁぁ!地味にこっちも罰ゲームじゃないか!


「い、いやああああ!?気をつけます!字を綺麗に書きますからぁぁ!!」


 ロザリンジャー全員が固まっている。確かに、あの男はインパクトが………いや、後ろってどうなっているんだ!?


「汚い尻を見せないでほしいのにゃ!」


 紅一点、ウルファネアガールの蹴りが炸裂した。


「ゴラちゃん死すとも裸族は死せず……書類仕事をサボれば、第二第三の「擦りおろすにゃ?」


 擦りおろすってナニソレ怖い。恐ろしい娘だ。え!?そのおろし金でおろすんですか??


「きゃあああああああ!?」


 変態は可愛らしい大根になって逃げた。サイズ的に、そちらの姿の方が擦りおろされる気がするが、パニックになっているのだろうな。

 紅一点のロザリンジャーによって、変態からは救われた。しかし、まだ書類は終わっていない。どうでもいいが、ちゃんとどういう書類がダメなのかという解説が詳しくてわかりやすい。だがロザリンジャーが小さい子供のせいか、長期休暇中宿題をサボって最終日に必死で片づける子供にしか見えない。


 私は基本書類仕事はきちんとこなす方だが……この映像を見て、絶対書類をためないようにしよう……と強く思った。子供と同レベルにはなりたくない。大人のプライドにかけて!






 もう一本は魔法院の技術者がロッザリンド的なモノを作ったが、暴走。きちんと申請をしなかったために損害賠償を請求され、それに関わった者がどうなるか。一人一人が借金に苦しみ、不幸になっていく。一枚書類を書かなかっただけで、転落していく技術者達。





 話がリアル過ぎて、全員が真顔になっていた。





 これ、うちの技術者とかちゃんと書類提出しない騎士(バカ)共に見せたいな。貸し出しとかしてもらえないだろうか。周囲の王族も多分同じことを考えている。なぜなら『これ、うちのバカに見せたいな』『是非借り……いや、金なら払うから売ってもらえないだろうか』と本音が駄々漏れている。


 なんだか、頭が一気に現実へと引き戻されたのを感じた。とりあえず、この結婚式が終わったら交渉してみるとしよう。

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