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クランもふもふ主義の本気

 司会は兄がやっている。兄のアナウンスが聖堂に響いた。


「最後に、我が妹の友人達による出し物です。どうかお楽しみください」


 また闇様(ユエ)の魔法で聖堂内が暗くなり、壁に白い幕が垂らされた。そこに、映写機魔具がナニかを映し出す。

 それは、見覚えのあるお屋敷。そこで笑う可愛らしいゆるふわウエーブの女の子。女の子を見守る眼鏡の少年。目付きが悪い美形男性と儚げな美女がふわりと微笑む。

 視点が浮き上がり、風と共に見覚えのあるお城へ舞い降りる。輝く少年と腹黒そうな少年。そして、セクシーな黒豹が素敵な騎士様に変わる。他にも騎士が数名現れ、魔物を倒していく。

 城の中を抜け、中庭に獅子のような獣、ケツアルコアトル、ドラゴン、バハムート、もぐら、妖精さん達、ゴラちゃん………。

 精悍な狼獣人が荒野に立ち……


 ラストはクラリンの投げキッスだった。




 これらは、歌と共に映し出された。


 私は、真琴だけに出し物をやらせるべきだった。凛花と優姫…腐界の民は日本が誇る技術をこの世界で再現してしまったのだ。






 アニメーション。






 そう。彼らはこの結婚式でアニメを披露したのである!しかも、完成度がすごく高い!オリジナル主題歌まで作っているよ!彼方さんの仕業だな!


 ちなみに、主題歌の歌詞は以下の通り。


 ずっとずっと、運命に抗った。諦めかけた時、あなたに会ったの。


 きっと二人なら、なんだってできる。皆でなら、この絶望を希望に変えられる。


 だから、皆!いっせーのせ!!


 筋肉肉肉!


『ロッザリンド!』

※ここだけ複数の声。


 肉肉筋肉!!


『ロッザリンド!!』

※ここだけ多分肉ロザ信者達の声。


 未来を拓くぞ!


『ロッザリンド!!』

※やっぱり複数の声。


 無敵で素敵な!


『ロッザリンド!!』

※もちろん複数の声。


 世界最強!


『ロザリンドォォォォ!!』

※やりきったぜって感じの複数の声。



どこにツッコミしたらいいかわからないけど、とりあえず頼むから他国の王様とか来賓がたくさん来てるのに肉ロザコールを歌にぶっこんでくんなあああああ!普通でいいじゃん!肉ロザコール&レスポンスはいらないわああああああ!!


「お嬢様、ヘアメイクしてるんだから急に動かないでください。私、今日のためにものすごく練習してきたんだから!」


「え?うわぁ…めちゃくちゃ複雑に編まれてる!」


「ジャッシュさんとドレスを見て考案したんですよ!きっと私がお嬢様の支度をするのはこれが最後だからってヘアメイクの権利をもぎ取ったんです。最高の仕上がりにしてみせますから、大人しくリンカちゃんの作ったあにめでも観ててください」


「は~い………ん?」


 こちらには当然ながら『アニメ』なんてないし、似たようなものもない。映画もない。

 では何故、ラビーシャ=ワルーゼは『アニメ』を知っているのか。


 考えながら画面を黙って見ていたら、聞き慣れた声がした。




「皆さん、異世界のアニメをお楽しみくださいッス!ちなみに脚本はクリスティアの至宝、人気作家のウサメガネ大先生ッス!」






「リンカちゃああああん!?」

「ゴルアアアアア!ラビーシャちゃああああん!!」


 まさかの協力者だったよ!脚本書いてたよ!私の追求に、ラビーシャちゃんが白状した。


「うう…だって『氷王子と白兎』かお嬢様の話しかって二択を迫られたら、お嬢様にするでしょう!?お嬢様の話って面白いですし!結婚祝いだから、お嬢様の話の方がいいと思います!」


 確かに、結婚式でBLアニメはやめていただきたい。その二つなら仕方ない気がする。


「…それ以外の選択肢もあったでしょうよ。異世界の結婚式紹介とか、ディルクの生育歴とか」


「…………お嬢様の話の方が絶対面白いですよ。ポッチがすごくやる気を出したんで、背景とかも緻密ですごいですよ。特にお嬢様にはこだわりにこだわりぬいて、リテイクを出しまくりましたからね。最終的に全部パーツに至るまでポッチが描きましたからね。私から見ても納得の仕上がりです。やはりうちのお嬢様は世界一!強く、賢く、美しく、気品に溢れ……何より誰より可愛いのです!!」


「お、おう……」


 ラビーシャちゃんのテンションについていけない。


 ちなみに作画はポッチ以外にも画家が多数呼ばれていた。中にはなんで引き受けた!?と思うような人もいた。

 ポッチは最後、連日徹夜だったそうな。


 そして、このアニメは魔法院の最新技術が使われているそうな。技術の無駄遣いだなぁと、本物より数倍可愛い幼女な自分をぼんやり眺めるのだった。

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