そして、ついに来ました!
シヴェリハスとシャムキャッツの事件から数ヵ月が経ちました。ついに結婚式本番です。お客さんがめっちゃ来ています。
私は先ず前座としてうちの可愛い魔獣さん達と芸をする予定。少し緊張しつつ聖堂に入りました。
「わあ…………」
大聖堂は、まるでひとつの芸術品のように美しかった。窓は全てステンドグラス。天井がドーム型なのですが、そちらもステンドグラス。それぞれに美しい風景が描かれており、ため息がでる程に美しい。さらに、柱にはいたるところに精緻な蔦模様の彫刻が施され、机や椅子も凝った作りで、すべてに花が飾られている。
ポッチの最高傑作と言うに相応しい出来だった。お客さんが帰ったら、是非ゆっくり鑑賞させてほしい。
祭壇には大きな絵が飾られていた。私、ディルク、凛、ロザリア…私が出会った皆が、笑顔で描かれている。
こんなに素敵な会場にしてくれたポッチ達に感謝しつつ、私は彼らを呼んだ。
「カモン、可愛い子達!」
私の声で召喚された魔獣さん達。同時に闇様が聖堂内の光を奪い、聖獣様が光を収束させてスポットライトを作る。
「グルル!」
先ず、スノータイガーの白雪君が氷で足場を作る。そこにもふ丸が滑らないよう見えない毛をしきつめる。
進化した水月さんが美しい巣を編み出し、クリスタルラビットの栗栖君が巣をクリスタルで飾り付ける。パラライズスネイクの真昼さんが雷で輝く蜘蛛の巣に灯りをともす。仕上げにウィンドホークの北条君が蜘蛛の巣を吹き上げ、まるでシャンデリアのようにしたり、自在に空中で形を代える。
シャンデリア、ユニコーン、花……そして、蝶。フィナーレの蝶は美しく空を舞い、線香花火のような火花を散らして儚く消えた。
観客から拍手が贈られ、大盛況で幕を閉じた。
「さて、着替えないとね」
魔力コントロールを補助したり有事に備えて男装していたが、そろそろドレスに着替えなくてはならない。化粧やヘアメイク…女性の準備は何かと時間がかかる。
大聖堂の様子はモニターで見ることができる。
次は、エルンストの飛行魔具による出し物だ。司会の兄が合図すると、大聖堂の屋根部分が開いた。いつの間にあんな仕掛けを……。
上空でエルンスト達が操る飛行魔具達が綺麗に隊列飛行を見せる。そもそもクリスティアにしか飛行魔具がないのだ。各国の王達や招待客が大興奮した。特に男性が喜んでいるっぽい。
飛行魔具達は飛行機?雲で『結婚おめでとう、ロザリンド&ディルク』と書いてくれた。さらに、カラフルな雲で絵を書いたり、わっかを作って飛行魔具がくぐったりするなど、大盛況だった。
ヴァルキリーならできるかな?とか考えてたら、ヴァルキリー飛空艇モードがさりげなく混ざっていた。いつの間に。ズームで見てみたら、エルンストも驚いてた。どうやら飛び入り参加らしい。
色とりどりのわっかを作るヴァルキリー。それを隊列を崩さずくぐるエルンスト達。とても盛り上がった。
そして飛空艇が飛び去った後、兄がステージに上がった。
「皆様、ここでしか見られない特別なダンスをお楽しみください!」
兄の合図でクラッカーが鳴り、楽器がついた魔物だか植物だか微妙な生き物達が隊列を維持しつつ行進した。きちんと音楽を演奏しながら行進している。ステージに上がると隊列を変更して輪になったりしている。足踏みもピッタリ揃ってかっこいい。
「わああ…」
兄も踊っていて、すごく楽しそう!うわあ、混ざりたい!
「皆様も歌いたい方、踊りたい方はご参加ください!」
「ぬうん!わははははは!」
お祭り大好きなおっさん達こと、ジェラルディンさんとウルファネア前国王がステージに飛び降りた。よいこが真似したらどうすんだ。普通に来い。そして、上空からドラゴンとバハムートが現れ、巨大な植物とダンスをする。
脳内に『ガジラVSヴィオランチ』という有名な映画が浮かんできた。
冷静に考えたら、何も知らないお客さんがパニックになるのではと心配した。しかしドラゴン達が『ロザリンド&ディルク、結婚おめでとう!』と書いた垂れ幕を出したために余興だと理解されたらしい。よ、よかった!!
皆の息が合ったダンスは、素晴らしいものだった。参加するお客さんもいて、やたら上手かったり下手だったり、皆笑っていた。歌を披露するお客さんもいて、ダンスも大盛況!つかみはオッケーだね!もう結婚式やらなくていいんじゃないかな?とかちょっと思った。
ラストは真琴達。贈り人というか、クランもふもふ主義による出し物である。楽しみだね!真琴がトリとか勘弁してって泣いてたよ。わはは。




