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毎度思うがどうしてこうなった

 シャムキャッツ王城に戻ったら、何故か歓迎されてしまった。


「マチビト様!我が国を救っていただき、もはやなんと言ったらよいか……ありがとうございます!」


「おお!女神よりスゴいロザリンド様!本当にありがとうございました!」


 皆さんやたら腰が低いんだけど、何故に??シャムキャッツの国王は超あっさり私の案をオッケーしてくれた。彼も貧民には心を痛めていたらしい。聞いたらけっこう不遇だったので、だいぶ同情した。この王様は母が人間だったから頭脳労働が得意で…だからこそ魔の感受性が低く残ってしまった。さらに、純血を重んじる馬鹿にも苦労させられたようだ。

 脳ミソ筋肉ばかりの獣人社会で仕事するのはつらいし、絶望的な状況で荒みまくった上にグレていたらしい。

 私が言い出しっぺだから孤児院なんかは出資すると言ったら彼は泣きながら感謝の言葉を延べていた。

 その後の話し合いもスムーズ過ぎるほどだった。孤児達はとりあえず我が家・各国の孤児院で一時的に保護し、孤児院が完成したら帰国する約束もした。



 もう少しどうにかしてやりたいなぁ…そういや、やたら木々が枯れかけていたような……


「兄様、なんだかやけに植物が枯れてませんか?」


「……うん。どうもこの近辺ではユグドラシルの魔力を感じられないせいかな…?ただ枯れているというよりは、マナ不足による休眠状態になってる気がする…」


 流石は兄。ちょっと見ただけでも植物関連ならばドンとこいですね!

 ディルクはユグドラシル関連だと役に立たないだろうから、先に孤児達の対応をしているねと言ってくれた。流石はデキる旦那様!有能かつお気遣い紳士!!

 マリー達もユグドラシルは私達に任せてディルクと孤児達のところに行った。





「スイ~」


 スイならユグドラシル関連に詳しいだろうと喚んでみた。


「何か用事?」


「この辺り、やたらユグドラシルのマナが少ないんだけど、何か知らない?あと、ユグドラシルに聞いてみてくれないかなぁ」


「んん…聞いてくる」


 スイはすぐに戻ってきてくれた。


「この国のユグドラシルは国に魔が満ちてきちゃったから、魔がつくと他のユグドラシルにも広がるんで休眠してるらしいよ」


「おおう…お寝坊さんを起こしに行きますかねぇ」





 というわけで、ユグドラシルの元に来たんだけど、どうやって起こそうかなぁ。魔力を注ぐのは非常事態じゃない今、危ないからやりたくない。


「兄様、何かいい方法あります?」


「そうだなぁ……」


 私達が考えていたら、歌が聞こえてきた。日本で有名な、ヘイヘイホーな木を切る歌である。


「「…………」」


 嫌な予感がして音源を確認したら、たくましい筋肉ムキムキな木こりのオッサン姿の凛花……略してきこ凛花が斧で素振りをしていた。



 ん?




「うおおおい!?」

「何してんの!?」

「馬鹿なの!??」


「ちょ!皆酷すぎねッスか!?生命の危機に瀕すれば起きるかと思ったッスよ!」


「何も知らずに見たら切り倒す気かと思うわ!超絶ビックリするわ!そういうリスキーな手段を初手に持ってくるな、馬鹿凛花!!」


 いや、マジでビビったわ!せめて初手は話しかけるぐらいにしてあげて…………ん?



「……まあ、確かにリスキーな手段ではあるけど…」

「効果抜群だったみたいだね。母さんはねぼすけだから、リンカの対応は正しかったかも」


 ユグドラシルがめっちゃ震えていた。正しかったかもしれんが、可哀想だよ…。精霊体が出てこないぐらい怯えてるみたいで、めっちゃ震えているよ。


「……とりあえず、サクッとユグドラシルの魔力を届けて、お野菜をたくさん成長させようか。この土壌だとナニが育つかな?クリスティアに無い野菜とかあるかなぁ?」


 やべ。兄の植物オタクスイッチがオンになってしまった!目がキラキラしている。


「ええっと…」


「ここの特産は…確かコニャクイモだよ。加工するとプルプルに「蒟蒻芋!?」


 なんてこった!探していた食材ではないか!!蒟蒻ゼリーに蒟蒻麺……売れる!ダイエット食品として売れるし私も食べたい!じっくり煮た玉こんにゃく…いや、味噌田楽も捨てがたい!!


 いやいや、欲にとらわれてはならない。私には崇高な目的があるのだから!!


「で、コニャクイモって何に使うの?」


「多分蒟蒻に加工するんです。ゼラチンがわりに使えますから、ダイエット食品として売れます!でも、飢餓に苦しむモフモフ達には不要な品。……今は…いえ、今こそ兄様の研究成果を見せるときではないでしょうか!!」


 この時、私は蒟蒻発見でテンションが上がりまくっていたので、暴走する兄特急のブレーキをうっかり破壊してしまった。










 結果。







「ああああああ!?」

「ええええええ!?」


「ごめん、やりすぎた」


 兄は巨大なお野菜さんをしこたま育成してしまった。どーすんの!?これ、マジでどーすんの!??どーしよう!!

 必死で頭を回転させるけど、全く答えがでないのでした。

 ただいま活動報告でクリスマスSSを掲載してます。興味のある方は見てくださいね。

 ローゼンベルクと賢者の家の話を掲載中です。

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