表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/192

犯人を探せ!

 早く言えと兄、兄っぽい親友、オカン的親友に叱られて正座をさせられております。だって仕方ないじゃないか。普段と違うことして、犯人が警戒しても面倒だし。


 ちなみに、人を意のままに操る魔法の代表格は以下の3つである。


・隷属

→奴隷等に使用。特定人物の命令に逆らえない。逆らえば激しい苦痛を伴う。

・操作

→意識を失い、術者に操作される。外見がゾンビみたいで怖い。

・暗示

→基本は変わらないが、特定ワードや行動で発動。長期にわたると自分の意志だと刷り込まれて意志を捩曲げられてしまうことも。


 今回は暗示と操作の混合魔法が多分使われていた。何故多分なのかというと、魔力がヨッッッワイからである。弱いどころではない。ヨッッッワイのである。微弱すぎたために、私もなかなか気がつかなかった。いや、気がつけないぐらいにヨッッッワイ魔力だった。じっくり見てようやく気がつけるぐらいだった。


 例えるなら、蜘蛛の糸が1本手首に絡まってたみたいな感じ。細くて儚くて…普通なら気がつけないほど微弱な魔力。

 人ごみに紛れた某バスケ漫画の影薄い系ほくろみたいな名前の主人公並みに気がつけない。


 しかし、恐ろしい。天啓持ちの私ですらよく見てようやく気がつける魔法…つまり普通の人間は感知すらできないだろう。もし犯人が意図的に微弱な魔力による魔法でカーライル公爵子息を狂わせていたのだとしたら、他にも被害者がいるのだとしたら…非常に頭が痛いことになる。

 私しか気がつけない…しかも私だってよぉぉく見てやっと気がつけるレベル。もし術者が人並みの魔力持ちなら、何人に魔法をかけられるか……


 しかもそのヨッッッワイ魔力でもある程度効果があって、実際カーライル公爵子息は凶暴化している。術式が非常に繊細で無駄がないのでヨッッッワイ魔力でも効果を発揮したのだろう。


「カーライル公爵子息は心当たり、無いんですか?恨まれてるとか怨まれてるとか、近頃定期的に会う人間とか居ませんか?」


「…何故恨まれてるが2回なんだ」


「大事なことなのであえて2回言いました」


 どやぁと笑ったら、兄にしばかれた。女の子の頭をどつくなんて酷いわ。


「…うちの愚妹は気にしないで。くだらないことが大好きだから、基本はスルーしていいからね。で、どうなの?」


 兄、私の扱いが酷くない?あ、さりげなくナデナデされ…くっ、私はこんなナデナデごときで懐柔されるほどチョロくなんかないんだからね!カーライル公爵子息よ、何だその『微笑ましい』と言わんばかりの慈愛に満ちた瞳は!


「まず、恨みなら…ディッツだろうな。それから……」


 カーライル公爵子息が心当たりを話始めた。どうしよう、該当者が多すぎる。あまりにも多すぎる。シルベスターの従者クラスが網羅されてしまっている気がする。


「あ、カーライル公爵子息が暴力的になる前!そしたら該当者が減るんじゃない?」


「なら………」


 よかった。大半が凶暴化後の案件だった。しかしカーライル公爵子息のライフがゼロだ。後で謝罪とお詫びリストを作らなきゃとぼやいていた。自業自得だが、操られていて不憫な部分もある。この件が決着したら、さりげなく操られていたことを教えて被害者の心証を多少ましにしといてあげよう。


・容疑者その1

➡ランズデルト侯爵子息。カーライル公爵家が潰れれば次の公爵になるんじゃ?というぐらい息子がデキスギ君。


「ないな」

「ないね」


 私と兄が即座に否定した。ランズデルト侯爵子息と私達はそこそこ仲が良いのだが、あのデキスギ君がそんなリスクが高いことをするわけがない。そもそも彼は最近のカーライル公爵子息にガチギレしていた。彼はカーライル公爵子息が凶暴化しても多分嬉しくない。そもそも正攻法を好むタイプだから、こんな搦め手は使わないだろう。


・容疑者その2

➡レムリア侯爵令嬢。


「彼女は怪しいんじゃない?」


 レムリア嬢は魔法学のスペシャリストで、呪いの研究をしている。ゆえに兄の知り合いなのだが、研究者気質のためやりかねないらしい。


「多分、違う…黒幕の可能性は捨てきれないけどあの魔力は彼女じゃない」


 魔力を視覚化できる私からすると、レムリア嬢の魔力は闇寄りだから黒紫っぽいのだ。カーライル公爵子息を呪っていた魔力は白銀。微かな魔力だから確証は持てないが、実行犯ではないと思われる。


・容疑者その3

➡なんかよく会う令嬢。気がつくと隅っこにいるし、なんかブツブツ言ってて怖い。


「…誰?」


「多分、ダイナー伯爵令嬢じゃないですかね」


 ディッツ君が補足した。なんでもいつもカーライル公爵子息を物陰からひたすらに見つめているらしい。実害はないから放置していたとのこと。つまり、ストーカー??


 とりあえず、カーライル公爵子息には誰かしらがつくことになりました。普段は基本私。トイレなんかはアルディン様。

 もとから魔力がヨッッッワイので、定期的にかけ直す必要がある。犯人は、必ず現れる。


 さて、誰が犯人なのかな?

 多分探偵ものにはなれないな…と作者が1番よくわかってます。コメディ君が強すぎて………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ