そして、恒例?のお祭りです
クラリンのシャイニング☆バットサンダーにより、シャムキャッツの民は大半が気絶した。
しかし、偉大なるトンガリを持つあのお方は言った。発想を逆転するんだ、と。
味方が気絶したり悶絶しているが、大海嘯も完全に停止した。どうやらウルフ系が多かったので気絶または悶絶しているらしい。
チャンスだ。殺るなら今がチャンスなのだあああ!!でかしたクラリン!殺ってやるわ!!
「ヴァルキリー、ロージィ君!ダブルキャノンモード!!」
「ロッザリンドォォ!!」
「オレもロッザリンドォォって言うべき?」
「言わんでいい!兄様、凛花、マリー、ポッチ!氷の魔力をヴァルキリーとロージィ君に!」
ヴァルキリーとロージィ君の間に、巨大なエネルギー砲台が出現する。臭さに悶えながらも、少年達は瞳を輝かせて歓声をあげた。男の子って、派手めな武器とかこういう重火器が好きだよね~。まあ、火薬とかは使わず魔力の弾なんだけど。
『了解!』
凛花とマリー、多分マリーあたりに教わったポッチが返事した。
「ナニソレ…ぶふっ」
「…それいいな」
了解がツボッたらしくプルプル震えている兄と今後ロザリンジャーと言っちゃいそうなロージィ君。
「ロザリンジャーはやめて!魔力充填開始!50、60……90…フルチャージ!!」
魔力を圧縮し、強力な魔力の弾にする。大丈夫、あの時よりもずっと…私は上手くやれる!!兄に圧縮を代わってもらい、英知のサークレットを使って効果的に発動させられる位置を計算する。
「絶対零度弾!!発射!!」
「ロッザリンドォォォ!!」
「ロッザリンジャァァ!!」
「ロージィくぅぅん!?」
何故ロッザリンジャァァと叫ぶんだぁぁ!??
蒼く輝く魔力弾は大海嘯の中心部に着弾し、大海嘯のほとんどを氷漬けにした。氷に耐性があれど、ああやって氷漬けになってしまえば窒息するから死ぬ。大海嘯の大部分はこの攻撃で殲滅した。なのでそれよりもロージィ君である。
「いや、こういうときは掛け声を合わせないと。いやぁ見事に凍ったね。全属性にしなかったのってなんか意味あるの?」
ロージィ君からの質問に、私はうつむいた。
「…私は7歳の時に、失敗をしました」
「失敗?」
「ええ……失敗です。後悔してもしきれぬ大きな失敗をしました」
「ロザリンド?」
兄も気遣わしげですが、これ内容によれば説教パターンですよね?しかし、私はずっと嘆いていたのです!
「全属性にしちゃうと、せっかく倒したのに食べられないほど焦げたり、消滅しちゃったり、ぺしゃんこになったりするんですよ!!せっかくの、せっかくの食料がああああ!!あのお肉達があれば、もっともっとたくさんのお腹をすかせたモフモフ達への救援物資となったでしょうに!!しかし、私は同じ失敗はしないのです!今回のように氷漬けにすれば、倒せる上に保存もきく!まさに一石二鳥!私ったら、いいお嫁さん!!」
「…ロージィ君…うちの妹、知ってはいたけど天才的な馬鹿だなぁ……」
「そうだねぇ…肉の聖女って、意味わかんないとずっと思ってたけど…実はこの上なく的確な呼称だったのかもなぁ……」
「ええ!?なんか私、微妙に…いや、めっちゃ落とされてる!??」
「あ!そんなことより、倒しこぼしが動き出したッスよ!」
そんなこととはなんだと文句を言いたかったが、優先順位は魔物なので英知のサークレットを使い索敵する。確かに魔物達が逃げようとしていた。散り散りバラバラになると厄介だ!周辺の村や町が危ない!
そして、私は通信をいれる。既に近隣の町へ移動したディルク、ネックス達にも状況を伝えるためだ。
「第一弾は命中!大海嘯の大半は氷漬けとなった!総員、殲滅戦に入る!」
『了解!!』
だからそれはもういいから!
ちなみにディルクとネックス達はクラリンのシャイニング☆バットサンダーの射程外にいたらしく、その餌食にはならなかったようだ。羨ましい。あれ、マジでキツかった。
「さて、競争だよ!何匹狩れるかな?それから、お城の兵士のみなさぁぁん!!沢山狩ればお肉が食べ放題ですよ!!それ、にーく!肉肉!!」
景気づけで言ったつもりだったが、肉はNGワードだった。
「筋肉肉肉!ロッザリンド!」
「肉肉筋肉!ロッザリンドォォ!!」
またしても肉ロザコールが始まってしまった。しかも、皆肉祭りへの期待に満ちた眼差しである。
「ああああ、もう!なんでこうなるのよぉぉぉ!!」
こうなったら、この苛立ちを大海嘯にぶつけてやるんだから!
「ヴァルキリー!飛竜モード!」
「ロッザリンドォォ!!」
「あはははははは!皆殺しだァァ!!肉汁滴らせてやるわぁぁ!!」
魔力回復薬をがぶ飲みした私は飛竜モードのヴァルキリーの背に乗り、それはもう大暴れした。兄とかディルクとか凛花が何か言っていたけど、ムシャクシャしてたし周りがうるさいのでよく聞こえなかった。
結果、私が討伐数トップだったのは言うまでもない。




