シャムキャッツの災難リターンズ
シャムキャッツ国王視点になります。
私が自ら指揮をとり、マチビト様を歓待する手はずを整えていたら城で爆発が起きた。
「なにごとだ!!」
「報告いたします!謎の覆面二人組と……前国王陛下、陛下のご子息達が……大きくなって暴れております!!」
どうしてそうなるのだ。ため息を吐きつつ、騒動の中心へと移動した。
「マリーアント!!今度はナニをやらかした!?」
「マリーに意地悪してたやつとか、パパ上やスフィ達に意地悪してたやつをぶちのめしてるのにゃ~」
「パパ様~、元気ににゃったよ~」
「パパ様~、会いたかったのにゃ~」
「スフィ、マカ………ン??」
我が子らは、筋肉でムチムチしていた。どう考えてもおかしい。
「弟よ、苦労をかけたな」
「兄……………うえ??」
兄も筋肉でムチムチしていた。おかしいな、兄上達は謎の病気で……ふと、身体の違和感に気がつく。確認してみると、私の胸にあったはずの痣が消え失せていた。
「お前が驚くのも無理はない。我らはものスゴいロザリンド様により授かった力で、我らに不当な扱いをしおった馬鹿どもに仕置きをしておるのだ」
「ものスゴいロザリンド様に授かった、とは?」
そもそも、ものスゴいロザリンド様って誰だ。マチビト様か??そんな名前だった気がする。
「うむ!ものスゴいロザリンド様が持ってきてくださった虹色に輝く鍋を食べたらこのように力がみなぎり、立派な体躯となったのだ!!」
そもそも、そんな怪しげな鍋を食うなよ。しかし、私が言う前に我が子らが謝罪してきた。
「ごめんにゃさい…おにゃかがすいてたのにゃ……」
「ごめんにゃさい…おにゃかがすいててたべちゃったにゃ……」
空腹に耐えかねて、ということか?兄達には世話のための人員もいるはずだ。そやつらが兄達に不当な扱いをしていたと?
怪しげな食物すら貪るほどに空腹だったと??
「……不当な扱いとはどういう意味だ?お前達は満足に食事を与えられなかったのか?」
我が子らは頷いた。
「イジワル、たくさんされたのにゃ~。このおじさんはごはんをじめんにこぼして、はいつくばってたべろってしたにゃ」
「あっちのおじさんは、ぼくらがくさいからってつめたいお水をかけてきたのにゃ。なぐるけるがふつーにゃ。ぼく、ちゃんとマカンをまもったのにゃ!」
「……ほう………」
大切な我が子らにそのような扱いを?殺しても足りないな!
我が子らに不当な扱いをした馬鹿どもを後悔させてやろうとしたら、野菜達が走ってきた。
???
野菜って、走り回るモノだったか??その野菜は私に問うてきた。
「もふもふヲイジメタカ?」
「いや、してない。それは向こうに倒れている奴等だ」
もふもふが何かはわからんが、他者を虐めたのは間違いないので馬鹿どもを指差してやった。
「大根足キィィック!!」
「豆マシンガン!!」
「ニンジン…カンチョー!!」
動く野菜達の活躍により、あっという間に馬鹿どもが無惨な姿になった。
「ルーお兄ちゃんのお野菜そるじゃーなのにゃ~」
「…………(こくり)」
「……ルーお兄ちゃんとは誰だ?」
該当しそうな人間が思いつかない。マリーアントに確認した。
「ルーお兄ちゃんは、ロザリンドお姉ちゃんのお兄ちゃんなのにゃ~」
「……そうか」
そうかとしか言えない。マチビト様の身内もとんでもないらしい。
「ものスゴいロザリンド様の兄上か。もしや、あの奇跡の鍋の材料はあの野菜達か?」
「…オマエタチハワレラガドウホウヲタベタノカ。オイシカッタカ?」
「うむ!ホクホクで美味であった!」
兄は馬鹿正直に美味しかったと告げた。我が子らもとても美味だったと言った。
「ウラヤマシイ…」
全く理解できないが、野菜達は美味しく食べられたいらしい。
「お野菜そるじゃーさん達はなにしに来たのにゃ~?」
「我々ハ、ルーニタノマレテもふもふヲイジメルバカヲ成敗シニキタ」
「にゃふっ、お手伝いに来たのにゃ~!パパ上!一緒に成敗するにゃん!!」
「うむ!行くぞ!!」
「わははははははは!!」
「待つのにゃ~!」
「仕返しなのにゃ~!」
「にゃははははははは!!」
「あはははははは!!」
勢いよく走り去った筋肉と覆面達を見送った。理由も理解したし、もう気力もないので私は私の仕事をすることにした。
その途中、傷だらけの兵士が必死の表情で駆け込んできた。
「殿下、一大事です!!」
「…申せ」
今日一日、シヴェリハスの襲撃やらナニやら…色々ありすぎた。私はまだマチビト様の歓迎ができないらしい。




