名義を貸すのってよくないよね!
MAX強化したマッスルと強化ロザリンジャー達を送り出した後、私の足元にはちっさいモフモフ達がひっついていた。
「おねちゃ、おかちほちいにゃ~」
「おかちおいちいにゃ~」
しかもシャムキャッツでは獣頭の半獣化が普通らしく、ちみっこ達はモフモフなのです!ちょっとパサついているけど、モフモフじゃああ!ああん!短毛も長毛もいい!!私の撫でテクがお気に召したらしく撫でてにゃん、撫でてにゃ~んと寄ってくる白モフモフ2匹。
天国はここにあった!!
「「ロザリンド?」」
背後から、愛しの旦那様と愛しのお兄様の声がした。一瞬にして天国から地獄!!修羅場の予感です!!つか、なんでいるの!?
「に……にゃ~ん」
上目遣いのあざとい黒にゃん…じゃなかった小さな可愛い黒豹様。首をかしげて私を誘っています。ちょっと恥じらうところがまた…可愛いのだにゃん!
ちょっとした気の迷いぐらい許してやるぜ。俺を世界一愛してることぐらい知ってるんだからにゃあ。今すぐ俺の愛らしさにひれ伏すなら、モフらせてやるんだにゃん…ですと!?
※大体はあってますが、一部事実と異なる表現があります。
「いやああああん!ディルクぅぅ、最っ高です!!」
「ふにゃあ!?」
すぐさまその愛らしく偉大なモフモフにひれ伏し、抱っこしてすりすりする私。
「ああん、この史上最高のモフ心地!!ディルクぅぅ、愛してるぅ!!」
ディルクの毛皮は魔法のモフ心地。毎晩のブラッシングと栄養により、天使のわっかを保っております。それが子猫(正確には子豹)姿になる…つまり可愛くてモフモフで…最高です!!
「…さて、そろそろ現状説明をしてくれるかな?可愛い弟が泣きながら助けを求めてきたから、僕は抑止力を連れてきたんだけど?」
ポッチぃぃぃ!??
大魔神・兄を召喚したのは弟みたいに可愛いポッチでした。う、裏切りものぉぉぉ!
とりあえず叱られそうな部分を隠蔽して説明せねば!頭をフル回転させるのよ、ロザリンド!私はやればできる子のはず!!
「あ、ロザリンドは都合悪い部分を省きそうだからポッチが説明して」
「のおおおお!?」
読まれていた!流石は兄!私の行動パターンを完全に理解している!
「えっと……ルーお兄ちゃんを呼んだのは、お姉ちゃんがモフモフを虐げる馬鹿は私が滅するって怒って…なんかもうシャムキャッツごと滅ぼしそうだったからです」
「そう。いい判断だね、ポッチ」
「いだだだだだだ!」
兄のウメボシが痛い!一応女の子なんだから、手加減プリーズ!普段研究しかしてないくせに力が強い!!
「ルー、そのぐらいで…」
「ディルク、ロザリンドはある程度シメておかないと駄目だ。シメておいても予想外の騒動を起こすけど、予測できる範囲を未然に防げるようにする必要があるだろう。だから、甘やかしたら駄目だ。やらかしたらシメて同じ失敗を二度と繰り返さないようにしておかないと」
「………は、はい」
ディルクが納得してしまった。み、味方がいない!私が長時間の説教を覚悟した瞬間、シャムキャッツの城から爆発音がした。
咄嗟に爆発箇所を魔法で空中にうつしだした。
「わははははははは!!」
「待つのにゃ~!」
「仕返しなのにゃ~!」
「にゃははははははは!!」
「あはははははは!!」
聞こえてきた声に、全員の心がひとつになった。
『ネックスが爆笑している!?』
そんな場合ではないことは理解しているが、あのめったに喋らないネックスの爆笑……珍しすぎて事件レベルである。
ちなみに爆発をやらかしたのは多分マリーだ。筋肉達と共にめっちゃ暴れている。背後で王様が止めようとしてるっぽいが、あれを止めるのは無理だろう。
「…ロザリンド」
「はい」
「一応聞いとくけど、城でマリーと暴れている筋肉と関連はないよね?」
「……………………」
言いたくないが、兄に嘘をついても凛花辺りがすぐバラすだろうし、兄に嘘は通じない。
「え、えっと…お姉ちゃんに悪気はないんだ!ただ弱ってる人達に作った雑炊がアワアワで虹色で、食べたら筋肉になっちゃっただけなんだ!」
必死で兄に説明するポッチだが、焦りすぎて説明が意味不明である。
「…話はわかった。ロザリンド、雑炊の材料は?」
今の説明で理解するなんて、流石は兄です。
「…これです。そのうち効果切れますよね!?ずっとムキムキじゃないですよね!?」
兄は美しく微笑んだ。
「後で不安になるようなもの作るんじゃなぁぁぁい!散々混ぜたら危険と教えただろうが!この馬鹿妹!!しかも、何この豪華すぎるラインナップ!どう考えても僕の薬草だけでよかったでしょうが!!」
「せっかくだからもっと美味しい粥にしたいなって……ごめんなさい」
余計なことをしでかした自覚はあるので素直に謝罪した。
「おねちゃをいじめにゃいで!」
「おねちゃ、おなべたべろっていってにゃいよ!かってにたべた子がムキムキににゃったの!おねちゃ、わるくにゃい!」
「ふおお……」
プルプルと大魔王に怯えながらも私のために白モフモフっ子達が立ち向かってくれた……だと!?
感動して震える私に、大丈夫だからねと励ます白モフモフっ子達。……天使だ!
「えっと…ルーお兄ちゃんのおかげでお姉ちゃんも落ち着いたし…このぐらいで…あのね、お兄ちゃんはお姉ちゃんをいじめてないよ。お姉ちゃんが心配で怒ってるの。君達はとっても勇気があるね。僕のお姉ちゃんのために頑張ってくれてありがとう」
「にゃふっ、ほめられたのにゃ~」
「そうにゃの?おにちゃ~、ごめんにゃ~」
「…僕も怒りすぎちゃったみたいだから、いいよ。君達は優しいね」
兄にナデナデされて笑う白モフモフっ子達。兄の怒りを鎮めるなんてスゴい!
そしてほのぼのしていたところで、また爆発音がした。兄から冷気が漂っておる…!
「止めてきなさい」
「や、やだ!この天使みたいな白モフモフっ子達にろくなご飯も与えず虐げた奴らなんか、筋肉にパフパフされて潰れればいいんだ!!」
「…………………」
兄がちょっと黙った。我ながら意味不明な言動だった。
兄は城を眺め、白モフモフっ子達を見つめ………
「…そうだね」
なんと同意した。
「こうなったらロザリンドと敵対したらどうなるか、物理的に理解してもらおうか」
「え」
そして、兄のお野菜戦士達が大量に召喚され、筋肉達に加勢した。
「まっ、ちょ!なんでもかんでも私のせいにしないでぇぇ!!」
「ごめん、お姉ちゃん。もうお姉ちゃんの名前を借りた方が、事態が早く終息する気がする。力を…というか、名前を貸してくれない?」
「…………」
貸したくはない。これ以上の悪名はいらんのですたい。でも、可愛い弟のたのみ…………。
「…………うん」
「ロザリンドは優しいね」
「おねちゃ、えらいにゃ~」
「おねちゃ、よちよち」
嫌々ながら同意した私を癒すディルクと白モフモフっ子達。荒んだ心が癒されました。ディルク限定でチョロザリンドですから!




